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2007年6月17日 (日)

公衆の面前でキスは いい? よくない?

毎日新聞(6/15)石田衣良の白黒つけます、から。
先ず、昭和一桁の世代には、このような問いかけが出来ることすら驚きだ。先の大戦時をドラマにして見せることがあるが、男女の語らいを現在の感覚で簡単にシーンとして挿入する。しかし、当時は人知れず逢うことはあったろうが、路上で、或いは街中で立ち止まってする会話など殆ど許されなかった。それほど自由な男女交際は御法度であった。それでも通学時など、好意を抱く異性とすれ違えば胸をときめかせて青春を味わっていた。ましてキス(当時、この行為の表現としての日本語は接吻、或いは口づけ)は普通の日本人の生活の中にはないも同然だった。勿論浮世絵に代表されるように、事実は存在していても(浮き世絵師が活躍していた時代には、おおらかな性を楽しむ世情があり、厳しい取締りは幕藩体制の維持のための治安が図られるようになってからだ)戯画化され、誇張された痴態として描かれるだけだった。

1945年、日本は敗戦を味わった。西洋の生活習慣としての軽い朝夕の挨拶から、親子、恋人たちが交わすキスが映画館の大きなスクリーンに写し出されることが多くなった。当時のアメリカ映画でも、キスは倫理規制の対象であり、唇をあわせる時間にも確か10秒以上のものは禁止されていた(一説にはフィルムの長さ30センチまで、と記したものがあるが、当時は35ミリフィルムで1秒間に24コマ(1コマ約19ミリ)で映写されていたから、30センチではキスシーンは瞬きをする瞬間程度になり、こんな規制はあり得ない)。

だまって指を咥えるだけではすまない日本映画人たちも、真似をした。1946(昭和21)年、松竹が日本映画初となるキスシーン(?)のある映画「はたちの青春」を作った。?印をつけたのは、真実は不明だからだ。2人が唇を将に合わせようとした時、手にしていた傘で2人のその行為を隠し、スクリーンに見入っていた観客には肝心のキスシーンは想像しなければならなかったのだ。次いで1950年、東宝が名作「また逢う日まで」で有名な窓ガラスを挿んで学徒出陣する男との悲しい別れのキスシーンを撮った。日本映画はまだ純情だった。

アメリカ映画は規制が甘くなり、キスシーンは殆ど規制の枠がないかのようだ。口をあわせる時間はお構いなしの状態だ。普通人前では見せないような唾液が糸を引く欲情むき出しのものなど、キスシーンもますます激しいものになっている。石田衣良のアンケートにはわざわざキス(ディープキス)と断わっている。ディープキスという言葉はいつごろから使われ出したのだろう。私の世代にはフレンチキスの方が分りやすい。口中で舌先を絡ませ合うものだ。

ではアンケートの結果をみてみよう。《内は私見》
<有効投票数>3731(男:1396 女:2335)
        いい    よくない
  全体    29・8%   70・2%
     男  35・9%   64・1%
     女  26・2%   73・8%
 10代以下男 44・1%   55・9%
      女 29・7%   70・3%
 20代  男 42・3%   57・7%
      女 29・8%   70・2%
 30代  男 35・0%   65・0%
      女 26・4%   73・6%
 40代  男 34・6%   65・4%
      女 24・3%   75・7%
 50代  男 32・1%   67・9%
      女 15・9%   84・1%
 60代  男 22・5%   77・5%
      女 22・2%   77・8%
 70代以上男 28・6%   71・4%
      女 33・3%   66・7%

石田がいうようにモラルの問題は、教科書にも載っていないし、法律でも決められていない。早速 いい派 から見てみよう。「どんだけやめておこうと思っても、好きすぎてとめられない!」(兵庫県川西市・恵)。「彼女に路上でキスを求められ、よろこぶ自分に気づいた。未経験のとき『世も末だ、バカップルめ!』と毒づいていたのは、うらやましさの裏返しだった」(茨城県守谷市・さと)。「戦争中じゃあるまいし、別に人まえでキスしたっていいじゃないですか。TPOをわきまえて、おおいに愛情の発露をすればよろしい」(京都市西京区・頑固爺)。《頑固爺は77歳、戦争中じゃあるまいし、は関係ないこと、戦争しようがしまいがキスは何も関わりはないと思う。集計で気がつくが、女性によくない派が多いのに、電車内や路上で見かけるのはどうしてだろう。女性にくらべると肯定派の多い男に迫られてか、上の女性のように自ら求める女性もいるのだろうか。》

よくない派の意見は
「電車の中で化粧をする、コンビニまえでカップ麺をすする・・。もう恥さらしな習慣は増やさないでいただきたい。秘すれば花という日本の美徳を思いだしてほしい」(仙台市・M・A)。「完全に主観なのですが、もてない(と思われる)人ほど他人のまえでむやみにいちゃつきます。見せられる側としては、うらやましくもないし目ざわりです」(大阪府八尾市・立地骨炎)。「日本ってキスの習慣がないから、美しくない場合が多い。フランスに行ったがあちこちでキスする若者を見かけた。きれいでつい写真に撮った。《確かにパリではセーヌ河畔はアベックの溜まり場だ。膝枕に抱擁のベーゼ。私には決してキレイとは映らなかったのだが・・》キスってうまくなるには、どうすればいいんでしょうね」(愛知県豊橋市・らぶ)。「ノーです。道徳的にどうこうより、ディープキスはふたりきりで、あまーくゆっくりとたのしみたいからです」(札幌市中央区・ペイ)。「ノーです。でもイ・ビョンホン様とそんなことになったら、家庭を捨ててしまうかも」(東京都足立区・匿名)。《イって男?女?どっちでもいいか、イは多分男で、それに多分現(うつつ)を抜かしているのはおばちゃんだろう。この人はディープキスを理解しているようだ。ディープキスにはっきりと欲情を想像しているようだ。石田がコメントしているのだが、外国人のキスを美しいと見る意見が多かったという。これも文化の差、容姿の差だろうし、日本人はもともと性に関しては秘め事として人前で表現する文化、方法を作り上げて来なかった。ちんちくりんの日本人には仙台市のM・Aさんが言うように、秘すれば花の奥ゆかしさが似合うのだ。》

《地下鉄を利用して通勤をしていた頃、満員の人混みを利用して抱き合っている高校生カップルがいた。揺れてぶつかる体を周りの人たちが迷惑げに避けていたが、いつまで経っても止めそうにない。以心伝心とはその時の満員電車に乗り合わせた乗客のことだ。幾つ目かの駅で電車が大きく揺れて停車した。今まで我慢していた乗客が倒れてくる2人の体が倒れるに任せた。女子高生を抱いたままの格好で男が上になり、床にぶっ倒れた。誰も手を差し伸べなかった。人前の不作法は周りの顰蹙を買うことになる。心して行うことだ。もう15年以上も前の車内風景だが、その頃から若い男女の性意識はおかしかった。》

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