東京のタクシー値上げ先送りに
毎日新聞(6/1)から
6月実施が見込まれていた東京地区(23区と武蔵野・三鷹市)のタクシー運賃値上げが、8月以降に先送りされる方向になった。経済財政担当相・大田弘子らが「デフレ経済が続いているのに値上げを認めるのはおかしい」と反対しているほか、首相官邸などには7月の参院選を控えて「票を減らす値上げは極力避けたい」という思惑がある。ただ、参院選が終われば値上げのハードルはぐっと低くなりそうで、秋口には値上げが待ち受けているる。
「タクシー事業者には経営努力の余地がある」「最近業績は上向いている。何年か様子をみるべきだ」とは、東京地区のタクシー運賃値上げの是非を議論するため5月31日に開かれた政府の物価政策安定会議での発言だ。
《国民の税金を湯水のように使い、政策改善などお構いなしに浪費するお偉方たち、よそ様の会社のことになると、何かとケチをつけなさる。民間会社がどれだけの努力を重ねているかを想像する能力もないようだ。自分達は血税意識など持ち合わさず、何不自由なく湧いてくる税金を無駄遣いし、巨額の負債を生じさせても責任はお取りにならない。どうしてこのような無責任発言が出てくるのだろう。》
4月の会合でメンバーの有識者から運賃値上げに対する異論が噴出したため再度開かれた会合であったが、反対論は収まるどころか、むしろ強まった。内閣府の担当者も「反対意見が多く、調整に時間を要する。数カ月かかることもあり得る」と話す。通常は1回で済ます同会議が2回目の開催となった背景には「7月の参院選を控え、余計な国民の反発を招きたくないという首相官邸の強い意向があった」(政府筋)という。
《勝手なものだ、選挙のためにはお得意の数を頼みのゴリ押しで通過させることを見送ったのだ。それも仕方ないことだが、早くも内閣支持率はやっと30%台を保っている状態まで冷え込んでいるのだ。28日には松岡が自殺する、安倍の引責まで聞こえては、何がなんでも通すことも諦めざるを得なくなった、というのが本音だろう。ここはじっと我慢の子で行こう、7月の参院選ではどうせ、自民の勝利は動かないだろう。何といっても日本人は波風を好まない、保守が好きなんだから、とでも考えての決定と見た。》
会議を所管する大田経済相は値上げに反対する理由を「業界の努力が不明。運転手の収入減を消費者負担で(埋める)というのは納得できない」と説明した。塩崎官房長官も「消費者のために一番よい答えを出す」と、参院選前の値上げを強く牽制した。当初は6月値上げを認可する方針だった国土交通省は、航空自由化や成田国際空港社長人事に続き、再び首相官邸から横やりを入れられた格好で「政治的な判断だろう」(幹部)と多くを語らない。
《無駄遣いの上、予算が足りないとなると、あらゆるものの値上げを図り、そのしわ寄せを国民の納税で賄う自分達の無能を棚に上げて、タクシー業界に問題なしとは言わないが、よくも白々しく、と言いたくなる。》
そして、参院選が終われば「値上げ反対」も風当たりも弱まるとの見込みから、国交省は値上げに向け検討を進める構えだ。物価安定政策会議の反対論を受けて、実際の値上げ幅は業者が申請している平均18・7%を下回る見通しだが、秋口の値上げは避けられそうにないようだ。
タクシー業界が運賃値上げの最大の理由に挙げているのが「運転手の労働条件の改善」だ。都内のタクシー運転手の平均年収は431万円(06年)と全産業平均より248万円も低い。逆に、年間平均労働時間は2400時間と全産業平均よりも264時間長い。「東京乗用旅客自動車協会」は「10万人のタクシー労働者をワーキングプアーのまま放置しないでほしい」と値上げの認可を要請した。冬柴鉄三国交相も「現状を改めないと事故も増えるし、運転手が生活できなくなる」と理解を示している。
値上げが認められれば運転手の待遇改善につながるかといえば、そうも行かない。02年の規制緩和でタクシー業界が行ってきた安易な増車と歩合制が、運転手の労働条件を構造的に悪くしているところがあるからだ。増えないパイを増えた車で奪い合うことになり、一台当たりの収入は分散して減り、歩合制の運転手の給料は下がる、という構造だ。
そこで増える台数に歯止めをかけるため、一時的に参入を規制する案もあるが、「緩和した規制を後戻りさせるようなことはしたくない」(国交省幹部)と慎重姿勢だ。
タクシー業界は走行しながら客を見つける「流し営業」が9割を占める東京では、業者は手っ取り早い台数勝負で総売上を確保する経営に走りがちだ。一方で、楽でない経営を「年間3000万円の赤字。不動産管理などで赤字を埋めている」というところもある。値上げをしても運転手にまで回らない可能性もあるようだ。
《いずれにしても、人を大事にしない企業は消える運命にある。必要なら値上げは賛成だ。もともとタクシーは公共の乗り物ではない。いくら高くしても乗れる人が乗ればよいことだ。話は別だが、たばこ好きが一箱幾らに値上がりした時、禁煙しようと考えるか、との問いに、大勢は800円、と出たそうだ。タクシーも初乗り660円が1000円でも乗りたい人が乗ればよい。或いは別の対策を考える人も出ても来るだろう。よく言う「朝令暮改」は良からぬこととして使われるが、目まぐるしく世情の動く現代、状況によって「臨機応変」で対応できなければ何にもならない。国交省幹部のいう後戻りも含めて、朝令暮改ができなれば、おいてけぼりになることだってあるのだ。経営者たるもの会社の宝は社員とその彼らを支える家族であることを、いつも忘れないでほしいものだ。》
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