先の見えた安倍内閣
今朝のテレビで自民党衆議院議員・片山さつきが民主党菅直人の厚生大臣当時に行った施策を論(あげつら)うビラを得意げに指差すポーズを写した。
先に国会で菅の追求を受けた安倍が、一国を代表する総理にありながら、恥も外聞もなく口にしてしまった、「基は現在口を極めて自民党を攻撃する菅代表が厚生大臣当時に作ったものだ云々・・」を受け、民主党攻撃のために刷り上げたビラだ。ことは幼稚園児や小学生たちの口論ではあるまい。菅が厚生大臣(第一次橋本龍太郎内閣、1996年1月11日から約10カ月間、因に第2次橋本内閣1996、11、7発足の厚生大臣は小泉純一郎)であったから、責任は菅にある、という論理だ。それでは安倍が総理である期間に成立する法ははそれぞれ所轄大臣の責任で、総理である安倍にはその責任はないということか。日頃「私の内閣」というのはどう言う意味なんだろう。
毎日新聞(6/6)から
5日の自民党の副幹事長会議で、同党が年金記録洩れ問題に関し「基礎年金番号導入時の厚生大臣は菅直人民主党代表代行」などとする宣伝ビラを配布していることに「菅氏1人を攻撃することに意味があるのか」「泥試合をやってもしょうがない」などの批判が相次いだという。
ビラは、同問題への政府・与党の対策を説明することを目的に、自民党が10万部作製した。先週末から都道府県連などに配布している。しかし、菅氏や民主党を批判する記述には、自民党内からも「責任を押し付けている」との声が噴出している。森嘉朗元首相も4日の講演で「みっともない」と苦言を呈していた、という。
これに関し、中川秀直幹事長は5日の記者会見で「政府・与党だけの責任だというのは違うと申し上げている」と釈明に追われた。自民党では既に60万部を増刷中だが、今後、記述を改めるかどうか検討するとしている。
内閣支持率が急落して黄信号が点る中、安倍がこだわる憲法や、美しい国などの「理念」から、自民党が5日に決定した7月の参院選の公約を、年金問題や医師不足対策など、民主党が重視してきた「生活」へのシフトへ急旋回したことは、取りも直さず自民党の危機感を表わしている。
一方、民主党は自民党が同じ土俵に乗ってきたとし、攻めの姿勢を強める構えだが、民主党の主張が政府・与党よりもどうのように優れているか説得力のある説明が求められることになる。
国民は低次元の幼稚な泥試合を見たくない。民主党のマニフェストの柱♢年金抜本改革♢天下り・官製談合根絶♢格差是正の三つ。中でも「年金は圧倒的に民主党の方が認識が深い」(松本剛明政調会長)と言われるように、自信を持つ。一方新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)は5日、夏の参院選を「政権審判の選挙」と位置づけ、連立与党としてのマニフェストの早急提示と、与党が過半数を得られない場合は速やかに衆議院を解散することを求める緊急提言を発表した。
大上段に憲法改正を振りかぶってスタートした安倍だが、次から次の強行採決という数の論理だけの衆愚政治に危険を感じ始めた国民からそっぽを向かれ、思ってもいなかった支持率の急落に、サミットへ向かう飛行機の中でも「私の内閣」の短命におわることを予感していたかも知れない。
【追記】6月7日
子どもの喧嘩並のことをやった直後の恥の上塗りに気がついたか、政府自民党は昨日製作した広報用ビラの内容から、菅批判の部分を削除して、新たに作り直すことを決めたようだ。余りにもみっともない先走りの行動を恥じたのか「自民党から泥試合を仕掛けているように見える」と党内からも批判や疑問が上がり、作り直しを迫られたものだ。あの髪の鬱陶しい片山さつきは「最初のビラは見切り発車、対策がまとまったので第2弾をつくる」と宣うた。新しいビラは10万枚程度にして今月中旬には配布を始める予定なそうな。
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