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2007年6月13日 (水)

バルトーク指揮者コンと日本の指揮者たち

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 白百合



バルトーク(Bela Bartok:1881.3.25-1945.9.26:ハンガリー)の曲はクラシックでもまだクラシック(古典)にはなり切れない現代の作曲家で、私には若い頃はどうしても馴染めない分野の音楽だった。

日本海側の軍港町舞鶴で(生まれは兵庫県姫路)敗戦を迎えた。趣味がクラシックの愛好家が隠し持っていた蒐集品(日本の楽曲以外は捨てることを強要されていた)のレコードコンサートを開き、惹き付けられたのが切っ掛けで、常連になった。勿論無料だった。それ以前、4年も続かなかった大平洋戦争が始まる(1941年12月8日)以前の低学年のころ、小学校の蓄音機(レコードプレーヤー)で小曲は聴いていた。お決まりのドナウ川のさざ波や、森の鍛冶屋や多くのシュトラウスのワルツ曲だった。

公会堂の一室で、初日のレコードコンサート、ベートーヴェンの交響曲第五番ハ短調「運命」(トスカニーニ、ニューヨークフィル)を初めて聴いた。私は13歳を過ぎていた、物凄いショック、カルチャーショックだった。何日間も耳鳴りが続いた。この頃のことは当ブログを始めたころにも書いた。その後は多くの作曲家の音楽を聴き、フルトヴェングラーを知るやその虜になり、自分自身にもライブラリーが増え続けた。1961〜1962年に亙ってアルバム7分冊全29枚、収納用木製キャビネットつきで東芝が当時手持ちのマスターから予約購入で、フルトヴェングラー大全集を出した。例のほこりシャットアウトの赤色のLP、エヴァークリーンレコードだ。まだ薄給の中から分割購入で揃えて行った。

61年の暮に6分冊目のバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番(メニューインのヴィオリン、オーケストラはフィルハーモニア)のカッティングを含むアルバムを手にした。20代のころは現代音楽は近寄れないジャンルだった。それにまだまだ古典には知らない曲が溢れていた。自分の好みは古いところでモーツアルト、バッハはまだ縁遠い存在だった。一方、近代はR・シュトラウス、やシベリウス止まり。バルトークにはまだ距離があった。そしてメニューインで、繰り返し聴く機会が訪れた。他のバルトークの曲も聴いてみたくなって銀座の山野楽器に通った。当時ハンガリーのHungarotonがバルトークの全てを網羅して全曲をプレスしていた。一枚一枚と聴き集めて全曲揃えた。少しだけ聴く範囲が広がった。

今でもバルトークから近い年代の作曲家の音楽はあまり聴かない。あまりというのは全く聴かないわけではないからだ。ショスタコービッチ、テオドラキス、ヴァンゲリス、武満徹などよく聴く。古典はおもったよりも遡った。近寄り難かったバッハを聴くようになったのは、カザルス(無伴奏チェロ組曲全6曲)のお陰だ。モノーラルの古い録音のLPだったがプレーヤーに掛け、音が流れ出した途端に胸に溢れるものが込み上げてきた。私は、40歳を過ぎていた。音楽を心で聴くものと改めて実感したひとときだった。

これを機にバロックにまで古典を広げた。テレマン、ヘンデル、ヴィヴァルディ、コレッリとどんどん遡った。そして、生活とともにあったのが音楽であり、踊りながら、食事をしながら、ワインを飲みながら共に聴くのが古典の音楽であることを知った。それが(教会音楽は別としても)いつの間にか一目置く咳一つできないようなタキシードに夜会服の堅苦しいものに変わって行った。日本でいえば、河原乞食の女歌舞伎が上流階級の人間たちのお見合いの場所にもなったような様変わりだ。

そろそろバルトーク指揮者コンクールのことに触れないといけない。
今月8日、ルーマニアで行われた「第2回バルトーク国際オペラ指揮者コンクール」で日本人が2人(1位、3位)入賞した。1位の橘直貴(38)は札幌市出身で現在は首都圏で活躍している指揮者。3歳からピアノを始め、指揮者の道を志し、桐朋学園大(東京都調布市)に進学。01年に若手の登竜門として知られる「第47回ブザンソン国際指揮者コンクール」(フランス)で2位に入賞している期待の指揮者だ。3位の菅野宏一郎(35)は現在ルーマニアに在住する。

ブザンソンで思い出すのは1959年、パリ在住中にチャレンジしてブザンソンの「第一回」のコンクールに優勝した橘にとっては桐朋学園の先輩、小沢征爾がいる。小沢は次いでカラヤンコンクールでも優勝。現在ではウイーン国立歌劇場の音楽監督に就いている。
ブザンソン国際指揮者コンクールには日本人指揮者が過去何人かが入賞している。目立つところでは1982年、女性では世界初となる小沢に次ぐ日本人2人目の優勝者、松尾葉子(東京在住)がおり、1989年には佐藤裕(パリ在住)が優勝、1993年は曽我大介(大阪在住)が第1位大賞を、そして橘の01年2位となっている。
この中から今後の世界の指揮者となる人材を期待したいものだが、小沢が師事したカラヤンのような頭抜けたマエストロ(好き嫌いがはっきり別れるが)がいない現在のクラシック界だ。抜きん出た指揮者がいない世界でどこまで伸びていけるか、ドングリの背比べで終わらないように研鑽してほしいものだ。

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コメント

こんばんわ。ペケ子です。(´v`)

クラシックは好きだけど、知名度のある楽曲しか知りません。
ただ日本では猫も杓子もモーツァルトをもてはやしてますが、天邪鬼のわたくしとしては、じゃ、違う人をということで、バッハを聴いたらハマってしまいました。(笑)
品格と重厚感のあるとこが好き。。。かな。

おやすみなさい。

投稿: ペケ子 | 2007年6月14日 (木) 01時46分

ペケ子さん、やはりおやすみなさい、だったんですね。

お疲れのところをわざわざお目通し下さって嬉しい限りです。天の邪鬼でバッハが好きだなど、一筋縄ではないようですね。
車を運転していて心が落ち着くのもバッハが1番です。

今夜もまた、音に包まれておやすみなさい。

投稿: 小言こうべい | 2007年6月14日 (木) 15時19分

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