リマ会議 閉幕
不発弾が市民を無差別に殺傷しているクラスター爆弾の禁止条約作りを目指し、ペルー・リマで開催されていた「クラスター爆弾禁止リマ会議」は禁止対象をめぐる意見の隔たりが大きく、条約について結論が出せないまま25日、閉幕した。
結論など最初から見え透いていた日本にとって、アメリカの御機嫌を損ねることは不可能なこと、「廃棄するかどうかは今後の議論」として、今まで道り不可能な手続きを主張するだけだ。日本の言うところは「100カ国以上が参加する国連の枠組での議論を重視する」と。他国にまで侵攻し、戦争を続け、地球の上に最も多くのクラスター爆弾をまき散らしているアメリカという国が入った会議を求めているのだ。日本は、はなから禁止条約など眼中になく、アメリカの出方を窺い、「アメリカが禁止に賛成ならば、我々も」の主体性など全く持てない国なのだ。
その日本には極めて不良品で不発率の高い(2〜20%以上)クラスター爆弾を陸空自衛隊は保有しているのだ。リマで全面禁止を議論しているさなか、田母神・航空幕僚長・田母神の「不発弾による(日本国民の)被害も出るが占領される被害の方が何万倍も大きい」との発言を聞いた、同会議に出席していたイギリスのエルトン上院議員は「日本国内で使えば市民の犠牲は免れない。軍の論理よりも民間人への犠牲を最大に配慮するべきだ」と疑問を呈している。
人道上の問題で全面禁止を議論している会議でも、日本は席上「人道面と安全保障面のバランスを考慮しつつ対処することが必要だ」、「防衛上必要」とも述べた。NGOの連合体「クラスター爆弾連合」のトーマス・ナッシュは「信じ難い発言だ。日本を占領できるほど軍事力を持つ敵だったら、クラスター爆弾程度で撃退できるわけがない」と語った。
戦争を知らない世代がリードする現在の日本、原子爆弾が本土に落ちる瞬間まで、女性に竹槍を持たせて1人1殺で国防を説いた60数年前の焼け野原になった日本を思い起こさせる発言だ。全面禁止に慎重である独・英・カナダでさえ、不発率1%以上の爆弾を対象に廃止を提案しているのに、不良爆弾を抱え込んでいる日本が、その不発率が遥かに高い旧型爆弾の廃棄にさえ躊躇しているのだ。オスロに続いて今回の会議でもまた、日本は孤立した。
「禁止すべきクラスター爆弾とは何か」という定義など、次回今年12月に予定のウィーン会議で目標とする08年末までの条約作りに向けて、多くの課題が明らかになって終わった。
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