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2007年5月 8日 (火)

書けない漢字

たった今配達された夕刊(毎日新聞)を開いている。2面に軍事アナリスト小川和久の自衛隊についての記事が載っている。讀む前に今年1月、庁から省に昇格して書き換えた看板の、取り付け除幕のスナップ写真が記事内に嵌め込まれているのが目についた。

以前、宝塚出の小母さんが、国土交通省のトップに座った際、自筆の書き換え看板を嬉しそうに眺めたのを記憶している。その時にも今回と同じことを感じた。「こりゃなんと!恥ずかしくないのか」って。余りにも下手で貧相な漢字が書かれていることか。少なくとも省の、或いは庁の顔になる看板だ。こんな貧しい字で書かれては省・庁が泣こうと言うものだ。立派な金釘流(かなくぎりゅう:字の下手なのを流派のように言って嘲ることば)の2大広告塔になっている。。

日本には確かな漢字が書ける書道家が幾らでもいるだろう。どうして彼らに依頼しないのか、ボスに立った人間に敬意を表しての事かも知れないが、これほどへたくそな字では、それこそ日本の漢字力がバカにされるだけだ。両省庁の看板は早々に書き換えをするべきだ。

本日の夕刊を見て、急遽、朝刊で取り上げられた小中学生たちの漢字力の貧しさについて書くことを思い立った。与えられた出題は各学年とも前学年で修得した漢字が対象になっている。ということは1年生で習った漢字から、6年生までに習った字の範囲だ。

小2  言葉     誤   正答   正答率
   ひとつ    人つ   一つ  70・8%
   いつつ    一つ   五つ  83・3%
   あおしんごう  —*   青   84・2%
小3 かいがい   会外   海外  37・4%
   しんせつ   新切   親切  38・0%
   ほうがく   方 -*   方角  50・9%
小4 はなす    話す   放す  29・1%
   とうこう   通校   登校  32・8%**
   めざす    目差す  目指す 38・4%
小5 かんしん   感心   関心  20・7%
   ふきん    府近   付近  31・9%
   ひでり    日出り  日照り 37・7%
小6 しじ     指持   支持   7・0%
   きじゅつ   記術   記述  15・2%
   ぶっし    物紙   物資  17・7%
中1 じゅうらい  住来   従来  15・5%
   えんせん   遠線   沿線  15・6%
   きゃくそう  客装   客層  16・2%
《 *印の2つは
  部首 青 の下が月ではなく 日に
  部首 角 の下が用になっているため、変換不能
 **とうこう 通る 「とおる」が正しいことを知らないと間違える》
   
このような漢字の読み書きをめぐる実態が日本教育技術学会の調査で分かった。読み、書きともに、日常生活で使用頻度が低い漢字は正答率が低くなる傾向にあり、同学会は宿題だけでなく、授業で指導する重要性を指摘している。

調査は04年4〜5月、全国480の公立小中学校(延べ3万7835人)の協力を得て、学習指導要領に示されている小学校の学年別配当漢字(1006字)のうち前年度に習った漢字の学年別修得状況を調べたものだ。平均正答率は「読み」が各学年とも90%代を維持したが、「書き」は学年が上がるにつれて落ち込み、4年生以上では6割台だった。高学年では、日常生活に使用することの少ない漢字で誤りが目立っている。

調査した千葉大教育学部の明石要一教授は「生活に密着していない漢字は放っておくと定着度が低くなる。高学年の正答率は先生の指導が影響している」と指摘している。

《大学生の漢字レベルが小学生並みであることを何度も書いて来た。小学生のまま漢字の知識を増やすことをしないで、高校、大学へと進んでいる様子がよく分かる。携帯やパソコンで漢字は眺めるだけで、書いて覚える訓練をしていない実態があるのだろう。書けばひらがなの多い文章になるのは、投書や、ブログなどを見ていれば一目瞭然だ。

私が漢字好きなのは何度もブログで書いた。遠く65年ほども前学んだ小学校は、毎週全学年一律の問題を解かせる漢字テストを実施していた。40〜50字、低学年生も上級生と同じ問題に挑戦できる歓びを味わえる仕組みになっていた。難易度で確か10階級に分かれており、合格すれば学年に拘わらず最上段に行けた。1点、1画、ハネやトメまで正確さが要求された。難しかったが全問正解の時の歓びは何ものにも替え難かった。四年生の時には2年上に在学中だった姉を抜いて、当時の小学校で学ぶ漢字はすべて読め、書き取ることが出来た。この歳になるまで、漢字で苦労したことが殆どないのは、この当時の田舎の小学校に入学したお陰であった。

小学校で学ばない漢字は父の封書からでも教えられた。匆々(そうそう)、所以(ゆえん)、如件(くだんのごとし)、砌(みぎり)、所謂(いわゆる)などは皆、手紙に使用されていた漢字から、その読みや書き、意味を教えてもらった。知っている漢字をどんどん増やす意欲も湧いた、殆どが宛て字のようなカタカナ言葉を漢字にしたものを覚えて行った。蒲公英(タンポポ)、莫大小(メリヤス)や外国の国名や都市名などの漢字にしたものなど、覚える漢字は無尽蔵だった。友好国の獨逸(ドイツ)、伯林(ベルリン)や、交戦国の亜米利加(アメリカ)、桑港(サンフランシスコ)、英吉利(イギリス)、倫敦(ロンドン)などはまっ先に頭に入れた。

小学生のころに覚えたものは、昨日の事さえ忘れるこの歳になっても、漢字に限らず、ずっと後々まで記憶の中にある。小学生には難しい漢字が並んだ教育勅語は高学年になると毎週1時限目に原稿用紙に書き取った。すべてを暗記して行った。音読みだけでなく難しい訓読みを覚えた。

新しい発見にも出会える。この歳まで読むことも書くことも、知らない漢字があった。横溝正史が小説の中で使用しているかどうか読んだことがないので知らない。彼には関係の深そうな『祟り』だ。「崇める」(あがめる)は読むことも書くことも簡単だが、『祟り』は全く読む事ができなかった。字が小さいから判り難いが、山の下に宗が(あがめる)、一方は出るの下に示すだ。これを(たたり)と読む。これで知ったかぶりは恥ずかしいことだった。

いろいろと書いてきたが、要は漢字は小学生の頃に覚えられる限り、数を増やすことだ。後はその漢字に出会った時に吸収していけばよい。昔の漢字と違って点が省略されたり、同じ漢字でも画数がうんと減って覚え易くなっている。‘くさかんむり’は以前は十を2つ横に並べて書いたから画数は1画増える。涙(戻るも同じ)の中の大は以前は犬だったから、1画増える、といった具合だ。

漢字だけを知っても中途半端だ、総合的な国語力がないと意思の疎通が滞る、外国語の翻訳をしても、日本語としての文章に置き換えることはできない。数学の出題の意味が理解できないでは答えは出ない。漢字と共に国語力、日本語力を身につけることが、特にこれからの知識人には必要になる。全国学力テストもいいが、1つの小学校でもいい、私が世話になったような小学校が生まれれば、漢字検定1、2級など簡単なことだ。

最後に「国家の品格」を書いた藤原正彦氏の言葉を思い起してもらえればいい。1に国語、2に国語、3、4がなくて、5に算数、英語など・・・・。算数はロジカルな学問だ、論理のうえにたった豊かな日本語力が身につけば、国際人として世界と渡り合える日本人になれる。》


       

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