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2007年5月17日 (木)

一人で朝食を

1961年の映画「ティファニーで朝食を」などというのんびりした話題ではない。安倍内閣があの手、この手で“美しい国”という恐ろしい国づくりを目指して、再生会議で録でもない思いつき提言を出させている。その中の一つに「親学」なるものがあった。この内容が「母乳による育児、子守唄に朝食を」と謳った。早速‘とんでもないこと’と大いなる不評を買い、急遽、目の前に控えている参院選のことを考えると、いつもの数を頼みで押し切ることも苦しくなるとの思惑から、「親学」の名前も取り下げることに方針を転換してみせた。

母乳というけれど、乳のでない母もいる、と言うのが最大の論拠。しかし、母乳の出る母親なら、母乳で育てることがわが子と接する最大の歓びであることを疑う人はいまい。子守唄にしろ、朝食にしろ、何も間違ったことを提言したのではないが、母乳の出ない母親がいることへの配慮が見えないことを突っ込まれ、たじろいでしまった結果だ。特に最近、やはり教育絡みで朝食の大切さが報道されることが多く見られるようになり、盛り込んだものと思える。

給食費の未払いと併行して、朝食を取らずに登校し、空腹に耐えられずに疲労を訴える生徒も出ていることも影響しているのだろう。しかし、これらを取り上げれば社会的な問題を内包しており、簡単には口にすることが難しい。格差の問題、父、母子家庭、共働き、長時間労働などが絡んでくるのだ。私も常にブログでは、働くことが先行し、育児に掛ける時間が疎かになる親たちの傾向を指摘し続けているが、これを言えば返ってくる言葉は決まって『頑迷固陋な男尊女卑』或いは男女差別となる。育児よりも、他人に子どもを預けても母親が働くことが完全に【善】として価値づけられているのだ。反面、男性の育児不参加を手厳しく攻め立てる。しかし、世界有数の長時間労働を強いられているのは日本の男性たちなのだ。それが元で自殺者さえ出ている現実があって、育児に係わることの難しさは並み大抵ではないはずだ。

閑話休題
毎日新聞(5/17)から
中学生の4人に1人が朝食を一人で取るなど、4割以上の子どもの朝食に大人が一緒にいないことが、構成労働省が16日公表した国民健康・栄養調査で明らかになった。肥満でも痩せ過ぎでもないない「普通」体形の小中学生が減っていることも分かり、同省は「食事など生活習慣の乱れが一因にある」とみている。

調査は05年11月に3588世帯に実施。朝食は9割以上の小中学生が毎日取っていたが、子どもだけで食べている割合は、小学校低学年で41%
       高学年 40%
       中学生 43%
 で、93年の前回調査時より 1〜14ポイント上昇した。

今回初めて調査した「一人で食べる」割合は、
    小学生低学年で14%
       高学年 12%
       中学生 25% だった。
 夕食を午後7時以降に取る子どもは46%で、
  前回調査より10ポイント高かった。

子どもの体形は「普通」が男女とも57%(前回60%)で、「肥満」や「痩せ過ぎ」の傾向がそれぞれ2割前後に上った。特に男子中学生は「普通」が半数以下の48%(前回58%)で、3人に1人が「痩せぎみ・痩せ過ぎ」と判定された。運動の量は総じて増えていることから、厚労省は「体形のばらつきは食生活の影響が大きいのでは」と分析する。

大人の体形は、中高年男性の肥満傾向がさらに強まり、40〜60代の肥満率は3割を超えていることが分かった。

《家庭の崩壊はここまで来ている、と言わざるを得ない。一家団欒とは家族が揃って食卓を囲む風景を表わす言葉だった。忙しい父親が朝食にいないことは昔からあった(わが家もそうであった)ことだが、子どもたちは母親のつくる味噌汁を、母親と揃ってすすって一日が始まった。今はそれがない家庭が増えた。子どもたちも朝食に両親がいなくても、どこの家庭も同じ日本の家庭の朝の始まりと受け止めている。

問題なのは、世界的な風潮だが、女性の痩せ願望が家庭の中で育児にまで影響を与えていることに気がついていないことだ。調査の結びには大人の特に男性の肥満傾向が書かれているが、女性の痩せ過ぎについては触れられていない。女性の痩せへの転換は1970年代の高度成長期に始まり、その後も一貫して痩せの傾向はとどまらない。

痩せの基準は今までにも触れたが、体重÷身長の二乗が18・5未満(ボディーマス指数:BMI)と定義されている。これで各国の女性との痩せ具合を比較すると、特に目立つのはパキスタンやバングラデシュなどイスラム国だが、ガーナ、フィリピン、タンザニアなどにつづいて日本は39カ国中10位に当る痩せっぷりだ。日本の女性だけで年齢別にみると、17歳(文部科学省調べ)は比較的落ち着いた横這いだが、20代、30代、40代、50代それぞれに1971年の体形から痩せに激しく移行し続けている。60代になると痩せることを諦めたのか、1994年ごろからは殆ど痩せの傾向に歯止めが掛かったようにみえていたが、2002年からまた、痩せへの挑戦を始めたようだ。(国民栄養調査「厚生労働省」2005年データ更新)

ここに子どもたちの約半数が朝食を大人と一緒に食べられないことと深い関係が見えてくる。母親たちは、おしなべて痩せることに疑いもなく、食べることへの執着もない。それが我が子に係わる食事の無関心へと繋がっていくのだ。職場進出する女性が増えたこととも関連するが、女性たちが無理してでも憧れるファッションの世界でも、痩せ過ぎで出演禁止にあうモデルも出て‘死活問題’と騒いでいるところもある。痩せることは良いことだのような宣伝が姦しく、ますますキリギリスのような女性が増え続けている。子どもたちが食育(なんて言葉がつかわれるようだが)の恩恵に与れるには、母親たちが痩せ願望から解放されなければ期待できない。それに気がつくまでは、子どもたちがずっと1人で朝食(だけではない筈だが)を食べる風景が、日本の朝(夕べ)の家庭の食事風景として定着するだろう。》

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