「私の」NHK と 飛鳥美人
♦「私の」内閣と私物化した表現で捕らえる安倍が、今度は放送界でまたまた私物化を図っている。
NHK経営委員会の石原邦夫委員長(東京海上日動火災保険社長)が4月10日、委員長職を同日付けで辞任した(菅総務相の依頼で委員としては任期終了(6月)までは在籍する)。
代行にJR四国会長・梅原利之が就いていたが、先週末、内定と報じられたNHK経営委員会の新委員長に、富士フィルムHDの古森重隆社長(67)の就任が固まった。古森なる人物、安倍を囲む仲好しグループでつくる“四季の会”のメンバーだ。菅総務相の検討していた時期委員長候補には古森の名は上がっていなかったが、安倍の肝いりで仲好しの名前が上がってきたものだ。
国民の物言う権利を狭め、言論統制を目論んでいる安倍の放送法で定められている独立を無視する人事だ。もともと委員長は衆参両院の同意を得た委員の互選で選ばれ、首相は追認するだけだ。立大教授・服部孝章(メディア論)は「安倍首相が『政府任命の委員たちがオレに逆らうはずがない』とタカをくくっているのでしょう。国のトップが自ら正規の手続きを放棄した異常人事です」と語り、それを黙って見過ごしているNHK側も情けないことだ、という。
往年の『大本営発表』のように、政府の都合良いことしか国民には知らせない放送機関に成り下がり、安倍の「私のNHK」となるのだろうか。
♦放送話の序(つい)でに。見る度に胸が詰まる思いの奈良の高松塚古墳について。1300年を一足飛びに超えて別世界へ出された飛鳥美人たち、美人と呼ぶには余りに無惨な姿に変わり果てているではないか。色白だった肌は真っ黒な黴が覆い、目鼻立ち、容貌さえ判別できないほどだ。35年間の密室での管理が如何に杜撰なものであったかを如実に国民の目の前に曝け出している。現世の汚れた空気に見舞われた彼女たち、瞬くうちに色褪せ、魅力を失って行った。
今はもう、取り戻すことは現代科学をもってしては、35年間の不始末から判断しても不可能なことだ。10年の歳月を掛けて修復できたとしても、手を加えては元々の価値は失せる。レプリカと如何ほどの違いがあるのか。まして明日香の人たちが望むような現地保存なんてことは、古墳に故事来歴の有り難さがあるとしても、最早国宝として有り難がる対象ではないだろう。それよりは、速やかに「国宝」の指定を解除し、科学に名を借りた惨めな保存への取り組みとして、衆人監視の的として、博物館にでも陳列することを薦める。結果的に、国費(税金)の無駄遣いになるだけを嘆く。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント