銃規制 無理だろう
今朝のテレビが荷物をまとめて次々に帰国の途につく韓国人留学生の姿を写していた。去る16日、アメリカ・バージニア工科大学での乱射事件のあおりを受けて、韓国人への反感がつのることを恐れての早々の帰国だ。同大は韓国人留学生約500人近くが通う韓国の若者にとっての人気校だ。韓国では英語能力が出世するには必須とあって、ビザを取得した米国への留学生だけで9万人以上いる実態だ。ここ数年は小中学生が家族連れで米国留学するのがブームになっていることもあって、米国留学を目指す韓国人が学生や父母に動揺が走っていると言う。人種差別思想の強いアメリカだ、ことが大きくなり、事件になる前の帰国は賢明な対策だと思う。
毎日新聞(4/19)から
銃乱射事件の発生を受けて、銃規制に積極的な民主党議員から銃規制法案を求める意見書が出始めたことを報じている。しかし、同党指導部は銃規制立法が廃案の憂き目にあった過去の経過を踏まえ、及び腰になっている。08年大統領候補に立候補を表明した有力候補も、銃規制論議には慎重な態度を表明しており、盛り上がりに欠けているようだ。
銃規制推進派と反対派の意見を聞いてみよう。
【推進派】ストップ・ガン・バイオレンス連合広報代表:ラッド・エバリット氏
「銃を違法に使用した。犯罪者は法を守らないのだから、銃を規制しても仕方ないという声もある。しかし、94年成立の米連邦法「包括的犯罪防止法」(10年時限立法で04年、共和党の反対で失効となる)は150万件の違法な銃の密売を阻止した。適切な法は犯罪防止に必ず役に立つ。
だが、銃規制に反対する「全米ライフル協会」の力は大きい。豊富な資金力で議会に一定の影響力を保持し続けてきた。大統領選が近づく中、資金や支持率を左右する銃の問題は議員にとって敏感にならざるを得ない問題だ。米議会は民主党が多数派を占めるが、銃保有を支持する民主党議員も少なくない。ブッシュ政権下では銃規制についてはなされないまま、毎年3万人が銃で命を奪われている。今回の痛ましい事件を忘れず、規制強化の流れにつなげたい」。
【反対派】バージニア市民防衛同盟:フィリップ・バン・クリーブ氏
「犠牲者は銃を持った容疑者に抵抗できずに殺害された。社会には凶悪な犯罪が少なくない。罪もない人々から強奪し、強姦し、冷徹に殺す。銃の保持は犯罪から身を守る最適な方法だ。もしも、犠牲になった学生が1人でも銃を持っていたら、多くの命が救えたかもしれない。今回の事件を切っ掛けに、現在の銃規制を見直し、規制撤廃を目指すよい機会にできればと思う。
規制を強化しても従うのは善良な市民だけで、違法行為を厭わない犯罪者には意味がないのだ。憲法で保障された銃の所持をいくら規制しても、なくすことはできない。銃がある限り、犯罪者は必ず不正に入手する道をみつけ、不正に使う。しかし、銃があれば車椅子の女性でも犯罪者を撃退できるのも事実だ」。
《反対派のいう憲法で保障されている銃保持、一体現在の時代をどう捉えているのだろう。合衆国憲法が制定されたのが1789年、修正を含み実施されたのが1791年12月、今から216年前の話。時はあたかも初代大統領ジョージ・ワシントン(任期:1789〜1797年)の時代。南北戦争(1861〜1865年)すら70年後のことだ。列車強盗だ、銀行強盗だ、殺人だ、決闘だの狂乱の時代だ。未開の国に近かったアメリカは西部開拓とインディアン迫害の時代だ。銃も必要だったろう、身も守らねばならなかっただろう。それから216年が経過して時は21世紀に入った。それでもなおアメリカ人の多くが銃は必要だ、憲法で認められている、と声高に主張する。自らが、アメリカは200年前と変らない野蛮な銃社会、暴力社会であることを告白しているようなものだ。別の見方をすれば国がつくられて、たかだか200年あまり、まだまだ民主主義には程遠い国ということだろう。》
乱射事件から一夜明けた17日、民主党のリード上院院内総務は記者会見で銃規制の強化を検討するかどうかを聞かれ、次ぎのように答えている。「今は犠牲者のことを考え、捜査の進展を見守るべきだ。急いで何かをするのは望んでいない」と。同じく民主党の銃規制推進派のファインスタイン上院議員は16日の声明で「常識に見合った銃規制法を成立させる気運が高まることを期待している」と表明、ケネディ上院議員も「悲劇を回避するための議論をすべき時だ」と強調した。
もともと民主党は銃規制に積極的で、クリントン政権下には相次いで銃規制法案を成立させてきた。しかし、ゴア副大統領(当時)が00年の大統領選で敗北したのは銃規制新法を支持したことが一因と分析されている。04年には特定の半自動式銃の販売禁止を柱とする銃規制法の延長が認められず廃案になり、銃規制問題は下火になったままだ。民主党は今年1月、12年ぶりに上下両院で多数派となったが、銃規制を優先的に取り組む政策課題に含めていなかった。
一方、大統領選に出馬表明しているヒラリー・クリントン上院議員や共和党のルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長ら有力候補はそろって銃規制支持・容認派だが、規制強化を働きかける動きは鈍い。
《強力に銃規制問題を推進すれば、大統領とて暗殺されることの危険性が極めて高い国。今回の工科大学の乱射事件でも、被害にあった学生の側に、1人でも銃を持ったものが混じっていれば、「多くの命が救えたかもしれない」などと勝手なことを口にするお偉方のいる国だ。逆に開拓時代のようにお互いに銃撃戦になり、もっと多くの被害者が発生したかもしれない、と考えないのだろうか。西部劇映画のように何かというと先住民を殺戮した時代とは違うのだ。荒野を幌馬車が走り回っていた時代でもない。憲法が発布されてすでに200年以上が過ぎ、21世紀に入っているのだ。時の流れから何も学ぼうとせず、力こそ正義なり、と他国での戦争を繰り広げるブッシュにこそアメリカの銃社会そのものが見える気がする。とても銃規制ができる国ではないだろう。》
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