痩せすぎは不健康
孔雀さぼてん
強い黄色い花の咲く一株もあったが、
どうしたことか
ここ数年一輪も咲かない
「メタ・・、メタ・・、何とかシンドー・・」わが家の70歳を過ぎた横文字にはとんと弱い古女房が、最近(まだ1カ月程度だが)甘いものを極力口にしないように気をつけ始めた。若い頃薬学部を狙っていただけあって、私なんかとても太刀打ちできない知識を持っている。従来からずっと、惣菜やお菓子にも甘味としての味付けは、天然の砂糖以外は駄目、コーヒーや飲み物もサッカリンのような人工甘味料は避けるだけ避けてきた。ところがどういう風の吹き回しか近ごろは、甘味には砂糖を使っていないものを選ぶようにしているようだ。どう考えても手遅れなのだがそれで気が済むならと好きにさせている。
私は健康にはとんと無頓着だ。暴飲こそ経験したことはないが、これまでにも何度か書いてきたが、肉を殆ど口にしない魚に野菜党だ。日本海の旨い魚で育ったため、関東に東下りしてからは(もう関西の生活の2・5倍になる)旨い魚を口にしたことがない。それと、戦中、戦後の貧しい食生活に馴れているせいか肥りたくても太れない体質であった。ところが、そう、ところがである、現在腹だけが目立って出てきた。妻の気にするメタボリックである。(妻は元々肉好きで野菜嫌いだったが、私との生活で肉を断たれた。しかし、今は感謝しているようだ。姻戚筋には癌で亡くなった人が多くいたため、自分も長生きできない、と思い込んでいたが、もう肉を断って40年になる。野菜と魚で助かったということらしい。)だからといって、私は何をどうするつもりもない。頭が痛くても、腹が痛くても、風邪を惹いても、熱が40度あっても、歯が痛くても、寝込んだことはない。アスピリンを飲んでおけばけろりと治る。親や妻の心配をよそに、小学生の頃から決して丈夫な体でもないのに皆勤に次ぐ皆勤で、サラリーマン時代も有給は殆ど消化した年がない。
さて、本題に入ろう、毎日新聞(4/13)から。痩せ過ぎの怖さについて記事になった。
「生活習慣病予防のため、肥満改善に取り組む人が増える一方、痩せている女性が増加している。ところが海外では、若い女性への影響を考慮し、痩せ過ぎのモデルにショーへの出演を禁止するケースも出てきた。専門家が指摘する痩せ過ぎの怖さとは、という内容」。
「肥っていないと思うけれど、痩せたい」という茨城県内の女子大学生(20)は身長161センチ、体重50キロの体型だが、炭水化物を避けたり、特定の食物だけをとるなどの減量法を繰り返してきた、という。競技スポーツをしているので体力が落ちるような極端な減量は最近避けているが、「テレビに出ている人はみんな細くて憧れる。夏までにあと4キロ減らしたい」と話した。
《痩せ願望を持つと、見る目が限られてくる。テレビに出ている人はみんな細くて・・」とは肥った人を見ないようにしているだけで、肥った人もたくさん現れる。それだけ視野が狭く、それ以外が眼中になくなり、現在の自分の問題点、より痩せて細い人を探しては自分と比較することになる。その先にある極端に細い物体がモデルというキリギリスのような病的に細いものになる。
私の美の基準は女性の本質、母体としての肉体を見る。昔の日本女性の肉体の基準は、下半身がしっかりと太く備わり、両足は踵をつけ足先を60度に開いて直立の姿勢を取った時、太ももから脹ら脛までが一直線になり、隙間のないのが体型美とされていた。今、それは、針金のような脚の間は開きに開いて後ろの景色が丸見えになる体型がもてはやされ、見るも無惨なキリギリスの脚となっている。とても「美しい」と表現できる代物ではない。》
新聞の記事も同じことがイラストで書かれてある。「女性は下半身太めが健康的?」と。
下半身の太めには心筋梗塞などのリスク因子*が少ない
細いと心筋梗塞などのリスク因子が多い。
*リスク因子 - 高血圧、高コレステロールなど
痩せている若い女性が、ここ20〜30年間増え続けている。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割ったBMI(体格指数:ボディーマス指数)が18・5未満の「痩せ」の割合は、
84年は14・8% だったが
04年は21・4% と5人に1人を超えた。
一方、男性は若年層でもほぼ横這いで、30代は減少傾向にある。佐々木敏・東京大教授(社会予防学)によると、男女の傾向が逆になるのは世界的にも珍しい、という。「痩せた女性が増えているのは食習慣の変化によるのではなく、憧れる体型の変化など社会的要因が大きい」と話す。
《日本人特有の「みんながやっているから」「みんなと同じでないと」の烏合の衆心理から来るものだ。私だけ痩せていなくては恥ずかしい、誰かに肥っていると見られたり言われるのが嫌だ、という心理。‘あるある’の納豆に引っ掛かるのも同じ心理だ。チョコレートに大豆、小豆にサプリメント、宣伝に踊る没個性の人格ばかり、卒業式や成人式に羽織袴がその典型だ。没個性と見栄っ張りが共存する。あの幽霊のような長く伸ばした髪もそうだ。他人は他人、私はわたし、人それぞれが守れるか、流されるかだ。朱に交わっても赤くならない強さが必要だ。男の髯やハリネズミ頭も同じだが。》
具体的な因果関係は不明だが、肥満だけでなく痩せ過ぎでも死亡リスクが高くなる。国立癌センターは、40〜59歳の男女約4万人を対象にBMIと死亡率の関係を10年間追跡調査した。BMI23〜24・9のグループを基準にすると、男女とも「14〜18・9」「30以上」の死亡率はそれぞれ約2倍であった。
【低体重による体の異常】
(鈴木真理・政策研究大学院大教授による)
標準体重の80%以下 拒食症の診断基準
75%以下 低身長、骨粗鬆症が悪化
70%以下 最低限の日常生活のみ可能
(スポーツ、重労働は困難)
65%以下 通常の食事では体重増加が困難
60%以下 低栄養による合併症のリスク増
50%以下 低血糖で昏睡の危険
(参考)標準体重(キロ)の計算方法
身長160センチ以上は :(身長-100)x0・9
150超から160センチ未満 :(身長-150)x0・4+50
150センチ以下 : 身長-100
(例):160センチの場合は(160-100)x0・9=54キロ
痩せ過ぎが招く危険の1つに、骨密度の低下による骨折がある。米国で65歳以上の女性を対象に、体重と大腿骨骨折の関係を調べたところ、
「とても軽い(57・8キロ以下)グループは
「とても重い(73・3キロ以上)グループより
骨折した人が2倍も多かった。肥満で骨に負担が掛かるよりも、痩せ過ぎで骨密度が低下することの方が骨折の危険度を高めていたとみられる。
肥満でも痩せ過ぎでもない、健康な体を保つにはどうしたらいいのだろうか。大蔵倫博・筑波大講師(健康体力学)は「どうしても体重を減らしたいなら、腹部を中心に。下半身は太めの方が心臓病につながる危険が少ない」と話した。
「痩せ願望」の女性は多いが、3カ月以上標準体重の80%以下の状態が続き、月経がないのに異常と思わないようなら、拒食症の可能性もある。鈴木真理教授(内科学)によると、拒食症は単なるダイエットの延長ではなく、心理的な原因があるため、心身ともに早期の治療が必要だと言う。「過激な減量後のリバウンドは体が正常な証拠。痩せ過ぎで無月経になると閉経後とほぼ同じ状態になり、放っておけば子どもから一気にお婆さんになってしまうようなもの。若々しい時代を失うことになる」と指摘している。
《痩せていては美しい着物やドレスを纏っても、少しも美しい女性には見えない。弱々しく不健康に見えるだけ。男なら馬子にも衣装とも言えるが、女には、何と言えば良いのか、お線香に衣装だろうか。》
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