幼児の夜泣き
いつ植えたのか
覚えていないつつじだが、
サザンカの根本で
毎年奇麗な花を咲かせる
毎日新聞(4/1)から
紙面構成が多少変って新しく「子ども相談室」が設けられた。絶えることのない親の子ども虐待、生み捨て、殺人など、親になる資格のない人間たちのことが報道される中、子育てに苦しんでいる親たちに、参考になる事例が載ればいいが。
先ず最初に記事になったのが、1歳半になる男児の夜泣きに困っているお母さんからの相談だ。「1歳半の男児。生まれてからずっと、夜1時間おきに起きて泣きます。おなかがすいているわけではなさそうで、添い寝をし、おっぱいをくわえさせればすぐ寝ます。朝7時に起き、午後は1時間半ほど昼寝、夜9時には寝るというリズムはできています。外でも毎日、活発に遊んでいます。どうすれば朝まで続けて眠るようになるでしょうか。」(神奈川県・35歳女性)
答えるのは小児科医・加部一彦。
寝る前までは特に機嫌も悪くなかったのに、夜中に突然泣き出してどうにも泣き止まない、などという状態を「夜泣き」といい、「特に泣き出す原因が見当たらない」ことが特徴です、と言う。《こんなこと知らないお母さんがいるのかな? 突然泣き出して、何の原因も分からないから困って相談するお母さんが多いのだろう。》
一般に夜泣きは、生後2カ月頃から1歳半ごろまでの間にみられ、特に生後6〜9カ月ごろに多いといわれいますが、3歳近くなっても夜泣きが続く場合もあります。夜泣きが起る時間帯や泣き方は、お子さんによってさまざまですが、一度泣き出すとなかなか寝ついてくれないことが多いため、お父さん、お母さんにとって何とも厄介な状態です。
夜泣きは、子どもの睡眠サイクルが未発達であることが原因と考えられ、成長に従ってやがては治まっていきます。乳児期を過ぎても夜泣きが続く場合は、単に睡眠のリズムの問題だけではなく、日中の出来事(怖い目にあった、お母さんに叱られた、友だちと喧嘩したなど)が影響したり、「ゆめ」を見たり、おねしょがきっかけになって泣き出してしまう、などどいったことも考えられます。
「おっぱいをくわえさせればすぐに寝る」とうのは心理的な安心感を得ているのでしょう。「添い寝」や「添い乳」は子どもを甘やかすことになる、という意見もありますが、情緒安定のためには添い寝が効果的であるともいわれます。直ちに止める必要があるとまでは言えません。
《核家族の中で身近に弟や妹がいないで育てられたお父さんや、お母さん、乳飲み子の生態を知らずに子どもをもうけ、どうしていいか分からなくて困っている様子が伺えるが、乳飲み子が夜泣きするのは成長過程での当たり前のこと。乳飲み子は、泣く以外に運動のしようがないのです。24時間横になって寝ていては、多少のエネルギーも消費するだろうけれど、泣かなければお腹も空かない。泣いて運動し、おっぱいの要求をしているのです。よく泣かせればよくおっぱいも飲んでくれます。乳飲み子の泣くことを気にすることはない。
お母さんたちの子育てサイトでは「うちの子は2ヶ月でおっぱいを離れました」「うちの子は2歳になるのにまだおっぱいを欲しがります」などなど、賑やかだが、他人の子どもと比べるのは愚の骨頂です。先進国でも子どもの授乳は欲しがれば3歳になっても、それ以上でも与える方がいい、とさえ言われています。一般的には(飽くまでも一般的)離乳食が食べられるようになる生後9ヶ月頃には夜中の授乳は減ってくる。1歳半になってもおっぱいを欲しがる子どものどこにも変なところはない。人は皆個性を持って生まれて来る。他の子と違って当然のことだ。赤ん坊だから「こうあるべき」と言った基準はない。断乳の早いことは自慢することではない。2ヶ月だろうと、2歳半だろうと、それこそ人それぞれだ。
我が家の子の同時期は、ちょうど私の死ぬほどに働いていた頃だ。家庭を構ってやれない、遊んでやれないで当然の世代だ。夜中によく泣いた。夜勤もあった、子どもは泣き始めると止まらない。つい、かっとなって大声を出したこともしばしばだった。今にして思えば残酷だったが、妻は余りに激しく泣く時には、ねんねこにくるんで夜中でも子どもを寝かしつけるための散歩をしていた。しかし、お互いに子どもに八つ当たりしたことは只の1度もなかった。うるさいのは困ったが、泣くことが子どもの仕事、とさえ考えていたのが、夫婦の気持ちだった。普段は子どもが泣き始めると、泣き疲れるまでなかせておいた。やがて激しい運動量で疲れ果てて静かに眠りに入って行った。妻は100%母乳で育てた。目を覚ました時は勢い良く乳房に飛びついた、子育ての真骨頂の時間だ。》
再び加部医師に喋ってもらおう。
「毎晩泣く夜泣きに、残念ながら特効薬はありません。お父さんや、お母さんは、寝不足になり、疲れ果ててしまうかもしれませんが、夜泣きは必ず治ります。周囲の人たちがイライラすることが、かえって夜泣きを悪化させてしまう場合もあります。毎晩ですから、泣きっぱなしの状態で放っておくのはよくありません。子どもが安心感を得られるよう、子守唄などの歌をうたったり、静かな音楽を流す、お話をしてあげる、といった工夫が必要になります。」
《泣く子に困ってイライラして相談している母親だ。悠長に子守唄なんか歌えるか、泣く子に静かな音楽が耳に入るか、イライラして話す母親の話はかえって子どもの神経を逆撫でする。妥当な回答にはなっていない。ただ、夜鳴きに効く特効薬がないことだけは当たっている。そして、いつの間にか治まっていくのも事実だ。さあ、お母さんたち、がんばろう。決して足首つかんで振り回したり、つねったり、殴ったり、放り投げたりしないで。》
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