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2007年4月23日 (月)

代理出産「公募」

毎日新聞(4/13、14、15)から
諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長が12日、東京都内で会見し、不妊の夫婦の受精卵で、妻に代わって出産する「代理出産」を引き受けるボランティア女性を公募すると発表した。根津院長は「緊急避難的な実施が必要な患者さんもいる。少しでも患者の役に立ちたい」と訴えたが、専門家からは「代理出産する女性には危険が伴い、公募は問題だ」などの批判が上がっている。

根津院長は5例の代理出産を実施したことを明らかにしている。不妊の夫婦の体外受精した受精卵で、夫婦の姉妹が妊娠・出産してきたが、姉妹に妊娠・出産の経験がなかったり、母が高齢の場合は実施してこなかったという。

根津院長は「こうした夫婦に力を貸しても良いという方を募り、子どもを持ちたい夫婦を助けるシステムを作りたい」と語った。妊娠・出産中の事故に対応する補償制度についても保険会社などと検討するという。根津医師自身も会員の日本産婦人科学会は現在、代理出産は認めていない。日本学術会議は、代理出産の是非を含めた生殖補助医療のあり方について検討そている。

科学史家の米本昌平さんは「近親者による代理出産なら、代理出産する女性に危険があっても許される例があったかもしれないが、広く公募するとなると話は違い、大きな問題だ。厚生労働省が事情を聞くなど、正負としての対応も必要ではないか」と語る。

早速、この日の夕刊で、柳沢厚生労働相は、閣議後の会見で、現段階では「公募はまだ思い至っていない」として否定的な考えであることを示した。そして、日本学術会議が代理出産の是非を含めた生殖補助医療のあり方を検討しているとして、「その経緯を尊重して欲しい」と述べた。

翌日14日の新聞紙上には代理出産の呼び掛けに7、8人の女性が応募してきたことを明らかにした。根津院長によると、ボランティアの募集を発表した直後から13日までに、諏訪マタニティークリニックには電話や電子メールで申し出があったという。「ニュースで募集を知り、切実な願いを持つ人の役に立ちたい」(根津院長言)という女性からだった。

会見では「募集は40代から50代」としていたが、応募者はほとんどが30代から40代で、「30代ではいけないのか」という問合せもあった。根津院長は「代理出産を願う人がいながら外国に依存している現実をおかしいと思い、危険を顧みず、声を上げてくれたことに感謝している」また、「この気持ちを生かせるようにしたい」とし、応募女性による代理出産に前向きな姿勢を見せた。

柳沢厚生労働相が公募に否定的な考えを示していることに根津院長は「日本人が海外でする代理出産を国は看過していた」と反論した。そのうえで「公募は時間的な猶予のない患者さんのために決断したもので、思いつきではない」と語った。

《根津院長の言うとおりだと思う。どうしても子どもを願う人たちは、海外へ出向いて代理出産で子を授かっている。05年9月のブログ「代理出産」でも触れた、国内でも法の整備を前提として、代理出産を認めるべきだと思う。》

ところが15日の新聞紙上で日本産科婦人科学会(理事長=武谷雄二・東京大教授)は14日、京都市内で理事会を開き、同学会会員である根津医師が、夫婦の受精卵を他の女性が妊娠・出産する「代理出産」を繰り返したことに対し、厳重注意処分とすることを決め、同日の総会に報告した。

《代理出産する女性の体に危険があることを論(あげつら)い、海外に出かけてまで自己責任で代理出産する女性たちをだまって見てきた日本産婦人科学会のお偉方たち考えて欲しい。皆んなで申し出れば怖くないで、つい先ほどまで大騒ぎした離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子の問題。往時なら重大犯罪であった姦通罪こそなくなったが、問題の子たちはすべて婚姻関係が継続中に性衝動にかられて拵えたものだ。人間の妊娠期間が10月10日が崩れない限りにおいて、あり得ない出産になるのだ。それでも、公的には子どもに免じて親の不道徳な間違いまで有耶無耶にした結論を出した。ただし、民法733条、772条の改定は見送った。当然のことで絶対に改定してはならないのだ。

しかしそれに比べ、根津院長が禁を無視してまで行おうとしていることは、遅れている日本ではまだ手掛けていないだけで、海外では代理出産はすでに早くから行われ、子を欲する夫婦からは感謝されている医療なのだ。海外まで出かけることもなく国内で代理出産が可能になるよう、今ある日本婦人科学会が03年に作った代理出産を禁じる指針など反故にして、速やかに代理出産を認めるための法整備を進めるべきなのだ。》

日本産科婦人科学会の根津医師への処分内容とは次のようなものだ。
 ♦指針に違反する代理出産を実施
 ♦ボランティア公募は指針違反を前提にしている
 ♦非配偶者間体外受精の実施で除名処分を受け、その後復帰する際に学会と交わした「指針を遵守する」とする約束に反する
との理由から、処分相当とした、とするものだ。厳重注意は、同学会の処分では最も軽い。

また、この日の総会で、凍結保存した精子の扱いについて、「本人が死亡した場合は廃棄する」とする新たな指針を決め、根津医師が04年に死後生殖を実施したと公表したことに対して吉村倫理委員長は「今後、この会合に違反することがないよう強く要望したい」とし、学会として「死後生殖」を正式に禁じた。

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