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2007年4月25日 (水)

「出世したい」日米中韓高校生比較

文部科学省所管の財団法人「日本青少年研究所」(千石保理事長)の「高校生の意欲に関する調査—日米中韓の比較」で、日本の高校生は米中韓よりも「出世意欲」が低いことが数字に表れた。

同研究所は同様4カ国の高校生(中学生を含む場合もある)を対象に「高校生の学習意識と日常生活」(2004年)や「高校生の友人関係と生活意識」(2006年)などの調査を行っている。
今回の「高校生の意欲に関する意識調査」は、06年10〜12月、日米中韓の高校生計5676人を対象に実施したものだ。設問は、将来の進路や人生目標、職業意識などについて聞いた。所属する高校を通じて実施したため、回収率は100%になったという。

「偉くなりたいか」の問いに、
    「強くそう思う」は — 中国 34・4%
                韓国 22・9%
                米国 22・3%
                日本  8・0%
「将来就きたい職業」(複数回答)では、日本は99年調査よりも弁護士や裁判官、大学教授、研究者の割合が低下した。特に、公務員は前回の31・7%から大幅減となる9・2%だった。逆に「分からない」を選んだ生徒が6・2ポイント増の9・9%に上った。

千石理事長は「食べることに困らなくなり、今の高校生は『偉くなりたい』という意欲がなくなってきている。また、(従来『出世』と考えられてきた)職業に魅力や権威がなくなっている」のではないかと分析している。

《ずっと昔、そう、まだ私が小学生だった頃のことだ。当時の男の子の夢は「大将」になることだった。陸軍か海軍かは問わない、兎に角「大将」だ。1番偉い兵隊さんということでの憧れの対象であった。勲章を一杯胸につけ、立派な髯を生やし(当時の日本の陸海軍の将軍たちの多くが厳めしいカイゼル髭〈ドイツの皇帝をカイゼルと呼んだ〉を蓄えており、子供心にいかにも偉そうに映っていた。それは何の疑いもなく軍国少年として育っていた時代のことだ。

《ある日教師が人間の欲望について話すことがあった。人間には3つの大きな欲望がある、それは生きるために何かを食べたい、という欲望、疲れた時に眠りたい、という欲望、そして偉い人になって出世したいという欲望だ、と。さすが小学生相手に子孫を残すための性欲に触れることをせず、太平洋戦争の始まったばかりの戦意高揚の高まりの中で、軍人指向を子どもの心に燃え立たせるように話してくれた。

《当時の旧中高校生の思考状況は悲しいかなはっきりしたことは、小学生であった私には想像できない。国民皆兵で徴兵制度のある中、若い先輩たちは志願して予科練に、幼年兵にと飛び込んでいった。その当時の若者たちが正しいか間違っていたかは今は問わない、皆が国を憂い、家族や恋人を守るために戦場へ出ていった。若者たちは生きるために死ぬことを選ぶしかなかったのだと思う。

《幼かった私は海軍大将になることを夢見た。そして、1945(昭和20)年の敗戦で全てが無となった。すべての価値基準を失ってそれ以来私は出世とは無縁の生き方を選んだ。人生の目標とするものは何もなくなっていた。生きる意味なんてある訳もなかった。小学校で教師が口にしなかった性欲の結果生まれたに過ぎなかった。性欲に、食欲、睡眠欲は人間の本能の欲望だ。性欲と置き換えて教師が口にした「出世欲」は文化、或いは社会欲とでも呼ぶものだろうか。敗戦後の私には無用のものだった。

《今回の調査による出世欲の衰退は、世の中に次々に起る不祥事に絡む公務員の姿を見てのことだ。誰が出世の対象に置くことができるだろうか。或いは「せんせい」と呼ばれる失言続きの無能議員たちのレベルの低さ、完全に権威の失墜を毎日のように見聞きする。江戸時代に戻ったかのような金、金の世の中だ。千石理事長も言うように、親の脛を齧っていれば困ることがない。「衣食足りて・・」いい加減に生きていても食うに困らない。偉くなる必要がない、金の亡者は別だが、普通に生きている人間が、人生を賭けて目標にする夢などどこにもないのが現在の日本の現実の姿だ。

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