海外の日本食優良店
毎日新聞(3/17)から
この問題を持ち出した人間の頭の中が理解できない。言い出したのはやはり‘あの’なんとか還元水の農林水産省の親分、松岡利勝なるけったいなお人だ。何でも昨年11月のことになるらしい、海外の日本食レストランには日本食と呼べない料理を出す店も多い。として考え出したものだという。早速有識者会議をつくり、「日本食レストラン認証制度」の検討を始めたのが切っ掛けであるらしい。
ヘルシーということで海外でも人気を呼ぶ日本食、いわゆる日本食店のその数も全世界で約20,000店、アメリカだけでも約9000店に上り、最近の10年間でおよそ2・5倍に増加している。
2006年12月22日、農水産省は19年度予算案で認められなかった上記の思いつきについて、財務省と復活折衝を行い、計上した予算の2億7600万円の全額復活を発表した。農林水産省の有識者会議(座長・小倉和夫国際交流基金理事長)は、07年3月16日、素案にいう「認証制度」を和らげて、民間主体で設置する組織が「推奨マーク」を与える方式が望ましいとする提言をまとめた。
政策目標とするところは『海外における日本食の信頼性を高め、日本食ファンを世界に拡大』することとし、その内容については次の2点をあげる。
1、海外日本食優良店についての調査の実施
♦海外日本食優良店についての基準策定等のための基礎調査を実施します。
2、海外日本食優良店に対する支援の実施
♦海外日本食優良店についての具体的な基準の策定及びその普及促進のための広告宣伝の実施、日本食の技術の普及のための料理人講習会の開催等を行います。となっている。
《要するに、億にのぼる税金を使って海外で食べ比べをして歩きます、ということのようだ》
推奨の基準は国や都市ごとの組織が個別に決めるとし、世界統一の基準は見送った。「スシ・ポリスではないか」「税金の無駄遣いだ」の国内外の声に押された結果だが、「推奨マーク」の提言に欧州の日本食レストランを経営する宮川正行さん(52)は「日本食を広めるきっかけになればよい」とした上で「外国人の評価する日本食と生っ粋の日本食は異なることを理解してほしい」と注文をつける。一方、英ガーディアン紙のロジャー・トゥース記者は「醤油だけで味付けするチェーン店も多い。日本が推奨マークを出すことは意義深い」と評価する。
また、よく日本食レストランに行くという銀行員、本多秀俊さん(42)は「人の味覚に政府肝いりでとやかく云うこと自体がおかしい」と強調するものもいる。
《私自身はブログにも載せているローマの日本食店「六甲」と「濱清」には2度づつ、ギリシャ・アテネの「風林火山」にも行ったが、どこも申し分なかった。3店とも日本人調理人が顔の見えるところで応対し、すしをにぎり、煮炊きをする。日本国内にあって、私など近寄ることも出来ない特別高級な構えの店でもなく、至って庶民的な店構えである。
国会議員の顔を出すような料亭の日本料理、北大路魯山人レベルの口にしか合わないような料理を日本食と呼ぶのなら、我々庶民が口出しする問題じゃない。しかし、現在の日本人はその魯山人時代の食習慣はとっくの昔に捨て去っている。特権階級の日本人の口に合うものを日本食と云うのなら、今現在、日本国内でも日本食レストランの殆どは失格だろう。特に海外の日本食レストランで話題となるのが「すし」だろう。この「すし」が曲者だ。
生魚を嫌った初期の外国人は、自分達の食習慣にあわせた「にく」をすしに使った。「すし」は海外に出た途端に、日本食は名ばかりの生っ粋のものではなくなっているのだ。物まねのうまい日本人はこれを逆輸入した。現在カリフォルニアロールと名がついて日本人の多くが口にする食べ物になっている。
特に現在の日本人の大部分は、米食、魚、野菜中心の食習慣から離れ、肉やパンなどを中心とする西欧の食習慣に慣れ、純粋の日本食を知る機会もなくしている。ある家庭の子どもの好きな巻きずしのネタが、1にウィンナー、2にハンバーグ、3にはアボカド(投書による)と聞いたなら、松岡は一体何を思うだろうか。また、ご飯にマヨネーズをかけて食べる人間さえいるのだ。
『巻き寿司』1つとっても、ネタや味付けになる材料には、驚くほどの西欧のネタが取り入れられ、日本国内で商品化され、人々の胃袋に吸収されているのだ。順不同で挙げてみよう。
マヨネーズ、カレー粉、胡椒、ツナ、スライス・チーズ、ハム、ビネガー、ウィンナ、パスタ、トマト、レタス、パプリカ、ケッパーとマヨネーズのソース、牛肉、キムチ、サラダ、とんかつ、メンマ、チャーシュー、クリームチーズ、納豆、天麩羅、明太子パスタなどなど、私などは、このような巻き寿司は、目にするだけで吐き気を催すものばかりだ。
これを現代の日本食と云うのではないのだろうか。現在のように流通網が張り巡らされ、自由に文化の交流が行われ、食文化もすでに国境のないものになっている。今度の問題の中にも海外の日本食店で料理やすしを作るのが日本人でないところのあることが、話題にもなったようだが、では、日本国内の外国料理店は皆、その国の人がやっているのだろうか。そんなことは決してないはずだ。日本人が、例えばフランス料理を日本人向けに味付けし、アレンジするのが普通だろう。外国人が日本食を料理してもおかしくはない。そして、その国の材料を使うこともまた、極々自然のことだろう。その国に馴染んでその国の人たちの口に合う食べ物になれば良いことだ。日本国内でも私の世代には反吐がでるような巻き寿司でも、多くの日本人の口には定着した日本食として愛されているのだから。いまに、高級料亭、高級寿司屋にしか残っていないようなものが日本食では、この先、食の博物館でだけ食べられるものが、日本食の名で食べられる料理になるのじゃないだろうか。
《けったいな男の思いつきで集められた有識者という名の愚かな人たちが、税金と時間を無駄に使って、益のないことをやるほど馬鹿らしいことはない。》
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