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2007年3月 8日 (木)

続・クラスター爆弾と「オスロ宣言」

2月23日、突然のミス・タッチで原稿の後半を失った。末尾に早ければ5月、リマで開催される会議に合わせて取り上げる予定を書いた。それまで待てなくなった。3月7日、8日と毎日新聞紙上に私に近い世代の老人2人の投書が載った。どちらも2月23日のクラスター爆弾の使用、生産を禁止する条約創設を目指す「オスロ宣言」の採択に、日本政府が態度を保留したことに対する失望を強い怒りをもって綴っておられる。

東京都町田市・遠藤幸男氏(80、無職)から「(前略)会議に集まった49カ国の中に、米・露・中の不参加があったが、欧州主要国は賛成、日本は支持を見送った。その理由は、「人道上と安保上のバランスを考えねば」と実に奇怪なものだった。かつて対人地雷の禁止条約の際には、時の故・小淵恵三首相がリーダーシップを発揮し日本の名を上げたが、今回はどうしたことか。(中略)安倍晋三首相は、日米同盟を優先させる政策のようだがら「オスロ宣言」を見送ったのであろうか。外交政策はいつでも憲法を国是に、軸のぶれることのないようにすれば、わが国の国際的位置づけも高まるであろうし、本当に美しい国といえよう」と。

昨日7日には、東京都板橋区・久保田智子(71、無職)さんは「(前略)クラスター爆弾の残虐性・非人道性はいうまでもない。日本政府が態度を保留したのには失望と、強い憤りを感じている。この「宣言」を採択することは、恐ろしいクラスター爆弾の製造を国内で許し、自衛隊が所有している政府にとって都合が悪いのか。参加していない米国への遠慮なのか。
 どちらにしても、女性ばかりか人間の命を軽視する安倍晋三内閣の姿勢の問題である。
 そもそも「専守防衛」を掲げる自衛隊がクラスター爆弾を備蓄し、使用も辞さないというのは許しがたい。不発弾が多く、戦争中に加え戦後にも被害者を生み出し続け、長く苦しめる爆弾は、対人地雷と同様に即刻禁止、廃棄するよう政府も努力すべきだ」と書いておられる。

参照「クラスター爆弾と「オスロ宣言」07/02/23 に引き続き、先日の後半を再び書いてみよう。

そしてまた、日本の航空自衛隊がボール状の子爆弾が広範囲に飛散する「クラスター爆弾」を、1987年度から16年間かけて数千発、計148億円分も購入し、各基地に配備しているのだ。また、陸上自衛隊も同じような子爆弾を持つミサイルを保有していることも判明している。これについて政府は「専守防衛であり、よその国に持って行っての使用は考えていない」と、うそぶくばかりだ。言うことはあいも変わらず仮想敵を北朝鮮に置き、迎え撃つということらしい。実際に軍事行動を想定すれば、日本の海岸線に攻めて来る(実際の戦争はロケットやミサイルが空中を行き来するだけのものではない)敵から国を(第二次大戦時と同じく国民ではない)守るためには、上陸してきた敵を叩くために、日本本土でもクラスター爆弾は使用することを前提として考えていることなる。すでに各地の戦場跡で問題になっている戦争終結後に起る不発弾による被害は、子どもや一般市民を巻き込んだ犠牲者を増やしているのだ。日本の自衛隊が保有していることは、有事の際、日本国民の頭上に降り注ぐことを覚悟しておかねばならないのだろうか。

クラスター爆弾は劣化ウラン弾とならんで、1996年国連小委員会で非人道兵器と決議された。この時、米国だけが反対している。会議に出ていた日本はこの時「棄権」しているのだ。こっそりと大量のクラスター爆弾を購入し、国民の目から隠し持っていたのだ。当然お世話になっている米国の手前もある。

同じことが2月23日に採択された「オスロ宣言」のクラスター爆弾禁止条約創設に、態度を保留した日本政府の姿勢に見える。バカの一つ覚えのように「専守防衛」をかざし、爆弾を保有している日本としては、会議に姿を見せない米国への配慮を抜きにしては‘はい、わかりました’とは表明できないだろう。22日には逸早くオーストリアは使用停止を表明したことを明らかにした。クラスター爆弾についてはベルギーで製造・使用を禁止する法律が成立。ノルウェーも使用停止を宣言している。オスロ宣言案に難色を示していた英独やイタリアなど主要国は、ノルウェーによる修正案を受け入れて最終段階では宣言受け入れに転じている。

英独などと同様の立場で会議に参加したはずの日本は2日間の会議中、黙して語らずのだんまりを続けた。そして最後に、鼬の最後っ屁のごとき「幅広い議論が必要だ」とだけ述べて態度を保留し、支持を見送っている。日本の態度は極めて消極的であった。これに対して、各方面では日本を次のように見ている。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチの兵器問題担当者スティーブ・グース氏は「宣言を支持しないということは、クラスター爆弾の被害から市民を守る条約に参加する準備ができていないということだ」と批判。さらに「対人地雷全面禁止条約の時も、日本が参加する方向になったのは調印式の1ヵ月前。今回も時間が懸かるのだろう」と皮肉った。

一方、レバノン紛争で大量に使ったイスラエルは「1部の国の参加では問題の真の解決策を見い出すことは出来ない」(イスラエル外務省)と他人ごとのような発言だ。また、イラク戦争で使った米国も「クラスター爆弾は重要な軍事的効果をもたらす合法的な兵器である」(米国防省)とこれまた非人道兵器をもって他国を侵略中の米国は、その爆弾を合法兵器と臆面もなく口にする。

08年までの条約制定を打ち出した23日の「オスロ宣言」。採択後に会見したノルウェーのヨハンソン副外相は「対人地雷全面禁止条約と同じ153カ国」の加盟を目標に掲げて語った。

毎日新聞(3/7)から
レバノン南部に残された約100万発の不発弾による甚大な被害に世論が受けた衝撃は大きく、スイスでは国民議会(下院)でクラスター爆弾禁止する法律をつくろうという動きが進められている。クラスター爆弾禁止法はベルギーが昨年に制定しており、スイスの動きはそれに続くもので、今年6月にも同議会で審理され、採択される見通しという。スイス軍は、イスラエル企業とのライセンス契約に基づいて国内で生産されたクラスター爆弾の親爆弾20万発を所有している。スイス政府は子爆弾の数など詳細を明らかにしていないが、親爆弾一基には12〜84発の子爆弾が収納されており、子爆弾は総数で約1000万発に達すると推測されている。実際には最終的に立法が完了するまでには数年かかることもあるという。

《冒頭に引用した2人の日本政府に対する失望と怒りは、世代が近いこともあり、痛いほどわかる。71歳の女性が敗戦を向かえたのが大体10歳の頃になるはずだ。生活をしていらしたところがアメリカの空襲被害を受けていれば、火の海を逃げ惑った記憶は追い払うことも出来ないままに心に染み付いているだろう。80歳の男性は、恐らく兵役についておられた年齢だ。生々しい戦争の記憶をお持ちのことだろう。文字で伝え切れない戦争の体験者であろう。浄化され、或いは切り捨てられる歴史教育の及ばない陰の部分を覗いて来られた世代だ。憲法改正を、専守防衛を口にする日本の政治家の、1番耳を傾けねばならない意見を持っている世代だろう。》

付【オスロ宣言全文】
クラスター爆弾に関する「オスロ宣言」の全文は次の通り。
 賛同国、国連機関、赤十字国際委員会、クラスター爆弾連合及びその他の人道団体は22〜23日、同爆弾によって生じる人道問題に対して効果的な対策を論議するためオスロに集まった。同爆弾がもたらす重大な結果と迅速な行動を取る必要性を認識し、次の通り表明する。
 一、08年までに、以下の点で法的拘束力のある国際文書(条約)を制定する
 1、市民に受け入れられない被害をもたらすクラスター爆弾使用、生産、移動、備蓄を禁止する
 2、被害者のケアとリハビリ、コミュニティーの復興、汚染地域の(不発弾)除去、危険性の教育、備蓄爆弾の廃棄など適切な処置を保証する協力・支援の枠組みを創設する
 二、これらの問題解決のため、国内レベルの措置を考慮する
 三、国際人道法の枠組み及びすべての関係する議論の場で、同爆弾に脅かされる人道問題への取り組みを継続する
 四、07年5月、リマ(ペルー)、07年11〜12月ウィーン(オーストリア)、08年初めにダブリン(アイルランド)で会議を開き、議論を続ける。ベルギーの地域会合開催提案を歓迎する。


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