痩せすぎモデル
昨年9月にスペインのファッションショーで、痩せ過ぎのモデルの出演禁止措置が取られ、フランスのモデル業界でも波紋を巻き起こしたが、今度は同じくファッションでは世界をリードするイタリアのファッション界のデザイナーたちが騒がしいようだ。スペインでは痩せたモデルに憧れて、過度のダイエットを行い、行き過ぎて拒食症などの健康被害を生じるものも出て、つい先日政府がスタンダードを発表した。それによると、洋装店の店頭には日本の規格で言う9号以上でないと飾れなくなり、それ以下のサイズは店頭には出せなくした。同時に、いわゆるL、LLサイズもウインドーに出すように指導した。
毎日新聞(2/5)から
スペインの若い女性の健康を優先させる政府の取り組みから、イタリア政府が、痩せ過ぎモデル対策として独自の指針「マニフェスト」を作成したが、ファッション界のデザイナーたちから反発を買っているということだ。イタリア政府も社会全般の拒食症をなくそうとキャンペーンを進めているところだ。昨年のスペインのショーで痩せ過ぎモデルが出演禁止となった措置を受けて、伊青年・スポーツ省がマニフェストを考案、同12月にミラノ、ローマの各ファッション協会と合意した。
イタリアでも一般の少女が過度のダイエットを行う傾向を憂慮し、「健康的なモデルの美」を提唱。16歳未満がショーに出演することを禁じたほか、ボディーマス指数(BMI、体脂肪指標)を参考に、それぞれのモデルが食事面でも問題がないよう、健康診断書を提出することが、「好ましい」とした。
ところが初めてマニフェストが適用されるケースとなった1月末のローマでのファッションイベントで論議が湧き起こった。担当大臣の説得も「診断書の提示はプライバシーにかかわる」(モデル業界)、「診断書ではねられたモデルは心理的に傷つく」(心理学者)などの反論が出、結局は「16歳未満の出演禁止」以外の条項は強制力がないため、多くのショーで痩せたモデルが例年通りに出演した。デザイナーの1人は「健康診断書を求めるなどばかげている。拒食症はなくすべきだが、極端な規制はおかしい」と語っている。
統計によると、イタリアでは約300万人が拒食症か過食症に悩み、うち95%が女性であるという。メランドリー青年・スポーツ相は「ファッション関係者の良識に委ねたい。マニフェストは解決のためのあくまで第一歩で、先行きは長い」と理解が広がることに期待する様子だ。
パリ・コレにしろ、ミラノ・コレクションにしろ、テレビに映る画面には次から次にキリギリスかカマキリのような姿の女性が、異様な歩き方で出ては引っ込む。見ていて少しも美しいとも綺麗とも思えない。彼女たちが日本にやって来て同じことが起る。日本人モデルも混じるが、今にも折れそうな細い腕、細い脚。ショーの終わりには日本人の女性デザイナーが誇らしげにモデルに混じって舞台に現れる。海外にも名前は知られているというが、まるでビール樽が舞台に置かれたような見事な体躯の持ち主のこともある。キリギリスのためのドレスもいいが、3L、4Lのドレスも必要のはずだが、スタイル画が描けないのか、そのドレスにつくブランド名を気にするのか。
中肉中背に短足、典型的な日本人女性の体型だが、デザイナーたちは競って長身痩躯の絵を描く。想像上にだけ存在するような極細のキリギリスを。モデルは無理にもデッサンやドレスに合うように身体を作らねばならず、嫌でも細く細くを目指すことになる。実際には一般の女性の誰にも着られないドレスが仕上がる。着ようとすれば痩せる以外にはない。そして無理なダイエットが流行り、不健康でも痩せることに精を出す。遂には拒食症に過食症に陥って、憧れのドレスにも手が届かないで諦める。
女性のダイエットが引き起こす拒食症や過食症はどうやらファッションを衒(てら)う世界的な傾向のようだ。スペインやイタリアが国家的な問題でもあるように、日本も、痩せ過ぎるモデルには健康的な美の欠けていることを、また、ファッションリーダーたちにはスタンダードの見直しを求めていくような指導をするべきだろう。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
そんなにモデルのこと非難すんのってむかつく・・・
キリギリスって;;;;
少しも美しくないとか・・・・・
努力してんのにそこまでいわれると悲しいね
投稿: YUKI | 2007年2月19日 (月) 14時36分
うん、美しくないよ。
言い方悪いかもしれないけど、痩せすぎは気持ち悪いもの。つまり無駄な努力ってわけ。
しかしファッションショーは何のためにあるのだろう?
細すぎるってのもあるけど、デザインからして街で着ている人を見たこと無いぞ。
投稿: 七誌 | 2007年4月15日 (日) 17時19分
投稿: いい | 2010年8月10日 (火) 09時16分