北朝鮮をどうする
毎日新聞(2/10、12)から
またもや世界中の巨頭たちが金さんに振り回されている。いつもと全く変わらない虫のよい話しで来ることは分かり切っているはずなのに、アメリカを始め他の国は、極めて楽観的な見通しで6ヶ国協議に臨んだ。
6カ国協議は2日目の9日には早くも議長国・中国が提案した合意文書案の討議を始める異例のスピード展開になった、と報じた。核問題をこれ以上悪化させたくない米国と、金融制裁の打撃を緩和したい北朝鮮がともに歩み寄った結果であり、文書採択に向けて細部で合意できるかどうかに焦点は移ったかに見えていた。
10日に入って中国は素早い合意文書案を提示したものの、各国からの異論が相次いで出され、「一つの問題がか一決したら、新たな問題が浮上することもある」(米・ヒル首席代表)などと口にしなければならないムードに変わった。協議開始前、議長国中国の武大偉外務次官は「3日間で十分だろう」と話し、自信を見せていたが、いざ協議が始まると、楽観ムードは一気に消えることになった。早速北朝鮮が核廃棄の「初期段階措置」に踏み切る見返りとして、電力200万キロワット相当のエネルギーを、60日以内に、使えるかたちで提供することを要求して来た。
6カ国協議に入る前の先月中旬、ベルリンでの米朝の間に一定の合意が出来ていることの裏づけがあったものの、蓋が開くや否やいつもの北朝鮮の要求がとてつもないものになって出て来たのだ。そうなると、他の参加国からも自国の利益を主張して注文が続出し始めることになった。支援を分担することになる5カ国の腹の探りあいという複雑な状況をもたらした。米国務省当局者も「支援の規模は論議されない」と語っていただけに、北朝鮮が出して来た200万キロワットの要求は米国にとって誤算だった。また、北朝鮮への支援を牽引してきた韓国は、他の国から負担を全面的に押し付けられそうな雲行きになり慌てて、10日には「単独支援はない」(韓国政府当局者)と牽制を始めた。
〈中国が提示した合意文書要旨〉
♦北朝鮮は寧辺(ニョンビン)など五つの核関連施設を2カ月をめどに稼動停止する
♦北朝鮮以外の5カ国は北朝鮮へのエネルギー支援を同時に履行する。数値は明記せず
♦朝鮮半島の非核化、経済・エネルギー支援、日朝関係正常化、米朝関係正常化、北東アジアの保安協力の五つを議題にした作業部会を設置する
♦これらを核廃棄に向けた「初期段階で取るべき措置」とする
因に200万キロワットとはどれくらいのものなのか?
○日本の家庭の標準的な契約電力は4キロワットからすると、約50万世帯に供給する電力量相当、
○愛知県のトヨタ自動車直営12工場の合計消費電力量は50万キロワット、
○100万キロワットの発電能力を持つ最新原子炉2基分、に相当する
日本の対北朝鮮支援について「まったく関与しないのは難しい。」として作業部会の設置のためには支援も必要とするが、外務省幹部の中では「話し合いだけで『進展』と認めたら、こちらが譲歩したように見える」と指摘する。国内の対北強硬派から「拉致での成果がないのに支援」と批判されることへの懸念は、政府内にも根強いものがある。塩崎官房長官も8日の記者会見で「拉致解決に向けて前進していると思えなければ意味がない」と述べ、作業部会の場で拉致問題の進展を得ることが、日本が実際に支援を行う場合の前提であることを強調した。
一方、北朝鮮の姿勢は従来のように、6カ国協議の場を核問題に絞り、朝鮮中央通信は9日、「世界の多くの国々が朝米間の核問題を根源的に解決しようとする我々の原則的立場に共感を表示し、朝鮮半島非核化に実質的に貢献する結実ある協議になるのを期待している」と評価し、この会議で拉致問題の解決を主張する日本を「朝鮮半島の核問題解決に関心がない」「会談を故意に妨害しようとしている」「日本はこのような国際社会の流れに逆行している」と批判した。
北朝鮮が今回、6カ国協議にあたって事前の2国間協議を日本だけに応じず、6カ国協議自体は北朝鮮への見返りが中心になっており、拉致問題を提起する糸口さえ掴めずにいる。認めるか認めないか、或いは好むと好まざるとに拘わらず、今や核保有国として片足を踏み込んだ北朝鮮は、国際的には日本などより遥かに強い発言力を持つ国として、認めざるを得ない。北朝鮮にとって、日本の拉致問題一辺倒の国是など痛くも痒くもない問題であろう。日本が拉致問題に拘(こだ)わっているうちに、世界を相手に、北朝鮮は独自の路線を走り始める危険性が極めて高い。
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