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2007年2月28日 (水)

カネボウ 7月から社名とブランド変更

東武鉄道伊勢崎線で浅草を出て、4駅目に鐘ヶ淵という名の駅がある。云わずと知れたこの辺り一帯の地名から名付けられた駅名だ。この地、東京府南葛飾郡田村、通称鐘ヶ淵(当時)に1887(明治20)年、東京綿商社として創立、紡績会社として創業した企業がある。1893(同26)年、鐘淵紡績株式会社に社名変更。1936(昭和11)年、鐘紡絹石鹸を発売・化粧品事業の基となった。1939(同14)年には日本初の合成繊維(ビニロン)の製法を発明するなど、戦前の繊維産業は、鉄鋼や現在の自動車産業に匹敵する日本の基幹産業であった。鐘紡は第二次世界大戦直前には国内企業売上げ第1位を誇る日本最大の企業に成長しており、隆盛を極めていた。

毎日新聞(2/28)から
栄枯盛衰は世の常とは云いながら、創業からおよそ120年、04年からは産業再生機構の支援を受け、05年12月にカネボウ化粧品は花王に、カネボウ本体はユニゾン・キャピタルなど3投資ファンドに売却されることが決定。化粧品以外のブランド、社名の使用期限は08年1月末と決められていた。

「カネボウ」ブランドの日用品と食品、製薬の3事業を展開するカネボウ・トリニティ・ホールディングスは27日、ブランド名を7月1日付けで「クラシエ(Kracie)」に変更すると発表した。社名も「クラシエホールディングス」と変更する。今後、カネボウの商標と社名は、花王が買収した化粧品事業(カネボウ化粧品)にのみ使われることになる。「クラシエ」は消費者の生活を豊かにし、快適な楽しい「暮らしへ」という願いを込め、社内公募とアンケートなどで決定したという。《クラシエ=Kracie=暮らしへ、ということか》

カネボウ・トリニティは日用品と食品、製薬の3事業で経営再建中。小森社長は、06年度の売上高は前年度の845億円から800億円程度へと減収になる見通しだが、営業利益は約3%から6%程度に改善する見込みであることを明らかにした。

日本の経済を戦前支えていた繊維産業では、鐘紡のほかには富岡製糸場や岡谷製糸がある。小学校を終えたばかりの12、3歳から14、5歳の女の子が、1日の労働時間14、5時間を働き通すいわゆる女工哀史の時代である。現在「富岡製糸場と絹産業遺産群」として世界遺産に暫定リスト入りした。群馬県富岡市で1872(明治5)年操業を開始。官営でスタートしたが1893年三井家に払い下げ、1902年、横浜の生糸商原合名会社に渡り、1939(昭和14)年片倉製糸紡績会社の所有となる。1987(昭和62)年までの115年間、製糸一筋の操業を続けた。

敷地面積約1万5千坪に開設当時の東・西繭倉庫、操糸場、事務所、外人宿舎などの煉瓦建物群がそのままの形で残っており、重要な日本の近代化に貢献した遺産として知られている。2005(平成17)年、「旧富岡製糸場」として国の史跡に指定、翌年には1875年以前の建造物が国の重要文化財に指定された。現在2005年9月30日付けで地元富岡市に寄贈され、翌10月1日から市が管理している。

元に戻って地名から採った「鐘ヶ淵」という駅名は、現在の東京都墨田区隅田。これでは地域の歴史が消えて行く。日本中に荒れ狂った市町村合併とは関係ないのだろうが、名前の由来や謂れは駅名とともに、カネボウも、忘れ去られて行くことだろう。極端なひらがなやカタカナ(アルプス市など滑稽以外にない)にした市や町は、地域の歴史を放棄したようなものだ。『そうではないぞ、歴史はこれから始まるのだから、これでよいのだ』と云うかも知れないが。それにしても、たかが100年、されど100年の思いが強い。

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