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2007年2月 8日 (木)

離婚後300日問題

どうも威丈高になって声を上げているのは毎日新聞だけなのか。社の姿勢なのか、今回の取り上げ方はどうもいかがわしくなって来た。民法772条を取り上げて、故意に733条を問題にしないところがある。私のブログでは当初から772条よりも、733条に重きを置いた主張を展開して来たが、荒れ果てた現在の日本の性モラルを正常とするような毎日新聞の主張にはどうしても納得がいかない。

前婚の解消以前の性交渉を、当然とする主張なのだ。毎日新聞2月8日では、離婚.再婚する人たちの割合は年々高まっている。「離婚に至る大部分のケースで、別居が先行したり、訴訟などに持ち込まれる場合には、夫婦関係が長期間ないのは常識」という、昨年3月15日の法務委員会での枝野幸男(民主)議員の法務省の姿勢批判の言葉を持ち出している。続いてその場の法務大臣とのやり取りを記しているが、「規定は離婚直後の妊娠でも前夫の子だ。否定するには、前夫の協力を得て裁判をしなければならない」という枝野に対し法相(当時)は、「ご指摘のような事情は特異のケースだと思う。見直しには慎重の上にも慎重に検討するべきだ」と答えている。

枝野がいう「離婚直後の妊娠」とは一体なんだ。民法733条でしてはいけないとする離婚後6ヶ月の経過を待たずにできた懐胎だ。離婚するのは本人の自由で勝手だ。どうしても性衝動が抑えられないのなら、妊娠しないこと(避妊)を心掛けるのが当然だろう。これを法律がいけない、とするのは勝手に過ぎる。

しかし、毎日新聞は「300日規定」の主な問題点、として次のように書いている。
♦「前夫の子」となるのを拒んだことにより、戸籍のない子どもが存在する
♦今の夫の子とするため前夫を巻き込んだ裁判が必要
♦DNA鑑定など科学的証明があっても、規定が優先
♦裁判で現夫の子と戸籍登録できても前夫の名が残る
♦離婚後に妊娠しても、早産などで300日以内に誕生するケースがある
♦規定が周知されていない

ここに列記されていないが、民法733条の条文を意識して書かないのだ。これこそが現在混乱を生んでいる元凶なのに、法と実態の乖離を主張したいがために目を瞑っているのだ。モラルを持たないものの味方を装い、法治国家であることを疎かにしようとしていることになる。

最後の項目は特におかしい。知らないことで済むなら何をしてもよいことになる。また上のいずれの項目も、すでに全て私のブログでは民法733条に違反したことが原因であることを書いた。法的には前夫との婚姻関係にあるか、離婚後6ヶ月を経過しないうちの性交渉の結果だ。前の夫との婚姻関係が解消されないうちに妊娠したケースが幾つもある。これは考え方によっては一妻多夫を地で行くようなものだ。完全に法律に違反していることになる。これらのこともふまえながら、毎日新聞は、大見出しに『実態と法 かけ離れ』と書いている。

道徳を大目標に掲げる安倍内閣に、道徳や法を無視する性の乱れに加担しているのが、現在毎日新聞がやっている、社のいう「300日規定」問題だ。懲りずに繰り返し書いて来たことで、法務省が「ここへ来てようやく実態調査に乗り出した」と自画自賛している。

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