トイレットペーパー
毎日新聞「1/14)から
愛媛県西条市でパートで働いていらっしゃる50歳女性の投書が載った。「日本人の公共マナーの低下に、この国の将来を憂えます」と。デパートか、駅か、公園、遊園地のトイレを掃除していらっしゃるのか書いてないが、投書の文章からはどうやら女性用のトイレが書かれているいると思われる。
それにつけても思い当たることがあった。昨年の暮に、用あって神保町の図書街に出かけた日のことだ。午前は10時ごろだった、地下鉄の乗り換え駅で便意を催し、中年の女性が清掃中であったトイレに頼んで入らせてもらって用を足した時のことだった。水が撒かれた床を滑らないように足元に気をつけながら奥へ進んだ。トイレの中は例のアンモニアの臭気が満ちていて、鼻を突いた。小用を済ませ、足元を引いて手洗いに向かうため、振り返った先の4室の個室のドアが開いているのが目に止まった。しまった!、見ないでも良いものが目に飛び込んでしまった。そこには用を足した後、流すことのマナーさえ躾けられていない文字どおりの“糞っ垂れ”が使用した1室に汚れたままの金隠しがあった。思わず清掃中の女性に声を掛けて作業をねぎらった。
「すみませんね、こんな同性の後始末をしてもらって」しかし、それに続いた女性の言葉に仰天した。「ありがとうございます、男のトイレはこれでもまだキレイですよ、女のは・・・」と口籠った。洗面で手を洗いながら話を続けた。「そうですか、女性がね」「そうですよ、よほど男性トイレの方が汚れてないですよ。今の女の子たちはどうしようもないですよ。駅はまだ良い方ですよ、今までデパートのトイレだったんですが、それは、物凄いですよ」「まさか」「本当にどうしようもないほど・・」それ以上は話を続けることはしなかったが、男女共に公共のマナーを躾けられていないことは間違いないだろう。そして、「ご苦労さんです」とねぎらって地上へ出た。
夫婦で外出することが多くなった最近は、トイレタイムが頻繁になった妻を待つことが多い。時には同じトイレでも珍しく綺麗だった、という言葉はそれでも10回に1回はあるが概ね顔を顰めてトイレを出て来ることになる。
投書の女性は毎日の現場での体験を元に書いておられるから現実味がある。『トイレットペーパーの取り口を、小さな三角に折っているのを、よく見かけます。次に使う人のための小さな気配りかなと思うぐらいで、今まで別に気にも止めませんでした。それが、数カ月前から、仕事でトイレ掃除の係りになり、いろいろな場面に遭遇し、あまりのひどさにあぜんとすることがしばしばあります。』そして冒頭に書いたマナーを憂う言葉になる。『ひどい人たちはさておき、注意して見るとペーパーをちぎる時、床にたくさん落ちるんですね。自宅のトイレなら落ちないようにちぎるはずです。そうした状況を少しでも回避しようと掃除をする人は、小さな三角を作るのだと、この年になって悟った次第です。皆さん、公共のトイレを利用する時、出来れば小さな三角を作って下さい。そして掃除をする人の身になって、きれいに使ってあげてください。』
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