「私の内閣」
毎日新聞(1/17)から
防衛庁を省に変えて、先週、ブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)に顔をだし、「私の内閣」が決めたからには、自衛隊は本来任務として、どんどん海外活動をしますよ、とNATOとの連携強化を約束して帰って来た。平和主義国家を軍事国家に衣替えしようと目論む安倍「私の内閣」のことを、イラク戦争をアメリカの他国侵略と見抜き、派兵を拒否した日本と同じ敗戦国となったドイツの新聞、ハンブルガー・アーベントブラット紙は「(日本を)平和主義時代の終わり」と書き、「冷戦終結と同盟国・米国の要求で日本はますます国際的なイニシアチブを発揮するよう求めれられている」と論評している。今直ぐにも海外派兵の軍事貢献はないにしても、これまでのように巨額の資金援助を、これまで以上に期待されることになるのは間違いない。
NATOは、日本では憲法が禁じる集団的自衛権を行使する最大にして最強の軍事機構だ。安倍は言う「憲法の諸原則を遵守しつつ」だと。たしかに、憲法だとて、今まで何度も屁理屈で拡大解釈をして運用して来た。殆ど憲法の精神は骨抜きに近くなっていたが、ここに来て、安倍は、完全に軍事国家への道を進み始め、戦犯祖父・岸信介の満州の、或いは東條とともに、大東亜共栄圏への果たせなかった幻想の実現に「私の内閣」を導いて行こうとしている。単なるアジテーターで終わった小泉に代わり、私はその実現を、『恐い内閣』と見た安倍の「私の内閣」が、いよいよ本性を剥き出しにして来た。
国民に向かっては、北朝鮮の拉致問題への取り組みで、人道的な面を強調してみせ、人気の凋落をなんとか食い止めようとするが、一方的に金さんに振り回されるだけで進展させることも出来ず、次々とほころび始めた閣僚の不祥事に人事掌握、統括の無能力を曝し続けている。
急遽「私の内閣」のこれ以上の不人気を煽りたくない安倍は、参議院選挙をにらんで「残業代ゼロ制度」の導入を盛り込んだ労働基準法の改正案は、次期通常国会への提出を断念せざるを得ないところまで追い込まれて来た。その以前、安倍は11日記者団に《「私の内閣」では、仕事と生活のバランスを見直して行こうと考えて行く》と話し、あくまでも提出を目指す考えでいたのだが。
「私の内閣」をわざわざ括弧をつけて書いて来たのにはそれなりの理由がある。内閣は「私の家族」や「私の妻」のように、彼のものではない。全ての権力を掌握したヒットラーのように独裁者気取りで口にするほど彼は、危ない男なのか、それとも私と内閣が区別できないほどバカなのか。
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