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2007年1月10日 (水)

かね、かね、金

又もや欲に目が眩んで金儲けを企んだ情けない女性たちが詐取の被害にあった。総額4億円に上る絵画リースだ。

今を遡ること300年以上の昔、井原西鶴は“日本永代蔵”で如何にして金持ちになるかを描いた。先生は、西鶴を教え、かね、かね、金の人生を蔑んだ教訓として話した。たしか中学生の頃だった。明治時代の俄か成り金の話も聞かされた。芸者遊びの帰り際、うすぐらい玄関で履物を探すのに懐から財布の紙幣を取り出し、灯り代わりにマッチで火をつけ、揃えさせた、と言うものだった。

私の心にはそれ以来、余計な金を儲け、貯えることには一切無頓着な人生を歩んで来た。拝金主義者たちを軽蔑し、清貧を尊んで生きて来た。ニュースはそのような欲の皮の張ったものが受ける被害を繰り返し報道する。騙されるのは宝石であったり、金塊のように優越感をそそる物品であったり、今度の絵画のように金儲けの元手となるものであることが多い。(おれおれ詐欺、今を時めくネットオークションの落札詐欺、他愛ない「レッサーパンダの卵」詐欺などとは異質のものだが)

昨今のように、額に汗した労働の対価としての貨幣価値は、ITや、株の一獲千金が取って変わり、終日パソコンを睨み、金儲けを企む人種の根を広げ続けている。情報は街に溢れるが、知識やその情報を整理する能力を持たないままに、張られた網に飛び込むことになる。特に今度のような絵画には、真贋や価値を見極める確たる能力がなくては絵は持ち腐れになることが確実だ。それに需要先に付いての市場調査も知識も必要だろうし、何を持って行っても借りてくれるわけではない。人任せにすることは尚更だ。

山口組系組員らが嘘を付いて現金をだまし取ったとして10日、絵画販売会社「アートクラシックス」(東京都新宿区)の経営者佐藤幸雄容疑者(50)ら7人を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕した。指定暴力団絡みの今回の事件では、埼玉県桶川市の女性(25)ら4人に「絵画のオーナーになってレンタル会社に貸し出せば、多額のレンタル料が得られる」と持ちかけ、計470万円を騙し取った疑い。被害は現在までに28都道府県に及び、多くはキャッチセールスなどで「美顔器」と呼ばれる美容器具や高額化粧品を購入した経験のある20代の女性であった。

佐藤容疑者等は、このような商品の購入歴がある女性の名簿を入手し、商品購入での失敗を指摘し、損を取り戻せると勧誘していた。レンタル料は数カ月だけ振込み、事業実態があるように装っていた。4億円のうち、経費を除いた約1億3000万円が、佐藤容疑者を通じて組織に流れた疑いがあるという。佐藤容疑者は容疑を否認している。

女性起業家としての魅力が宣伝され、実際に成功した人たちのことが広く誌面でも紹介され、セミナーで聞きかじりの知識を元に、後に続く女性たちが輩出している。勿論成功している人たちも沢山いるが、専門知識の必要な分野の開拓は一朝一夕でできるものではない。楽して儲けようとの考えで、落とし穴に嵌らない知恵こそ先に身につけることだ。

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