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2007年1月 8日 (月)

離婚後300日以内誕生の子は前夫の子

酒乱、暴力、浮気など離婚(法的な婚姻関係の解消、或いは解消以前の別居)の理由はさまざまだが、離別後に早々に子をなし、出生届を提出しても、多くの夫婦が「今の夫の子」として受理されない例が増えている。「えっ、なぜ」と「法の壁」に戸惑っている。

厚生労働省の人口動態統計によると、04年の婚姻件数は72万417件あり、再婚率は夫17・8%、妻15・9%。94年の夫12・9%、妻11・4%に比べるとそれぞれ高くなっていることから、同様のケースは増えているとみられている。05年に設立されたNPO「親子法改正研究会」(大阪市)には、20件以上の相談が寄せられている。同会は「裁判など手続きの大変さから、子を戸籍登録しないままの人は少なくないのではないか」と問題の重大さを指摘している。

問題は重大であるかも知れないが、法治国である以上は現行法に従うのがもっと大事なことだ。ないも同然の性道徳、不倫、浮気を恋愛と呼び、男女の仲は乱れ放題の世の中だが、民法(改正第5編法律134号、施行2004(平成16)年4月1日)の第2章 婚姻、第733条(再婚禁止期間)には、◎女は、前婚を解消し又は取り消しの日から6箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。◎女が前婚の解消又は取り消しの前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。

とし、当然のことながら第3章 親子 第1節で定める 実子の項第722条(摘出の推定)で、◎妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子とする。続いて ◎婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取り消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する、とある。

異常がなければ通常は受胎の後10月10日して赤子は生まれて来る。法律を守れば、再婚の禁止期間を考慮に入れ、6ヶ月後に再婚しその日に懐胎したとして、どんなに早くても出産は前婚の解消後およそ480日後でなければならない。初婚であっても出来ちゃった婚がはやる当世だ、夫が暴力を振るおうが、酒乱だろうが、300日以内の出産は、前夫の子でなければ、古くは不義密通として、発覚すれば裸馬に男女後ろ手に縄掛けられて、市中引き回しの辱めの上、磔刑となるところだ。現在でも不倫であり、裏切りだ。それを『「法の壁」当事者に負担』とは勝手に過ぎる言い分ではなかろうか。再婚禁止の6ヶ月前の懐胎であれば、法律違反の適用をうけても文句は言えまい。

新聞には東京都世田谷区に住む女性(32)の相談がある。
03年8月、前夫と別居。離婚は04年6月だった。新しい相手は別居から4ヶ月後。1年間の交際を経て、離婚から半年後の04年12月に結婚。05年1月に女児を出産。《法的には前夫と婚姻中に、他の男性との間の子を懐胎したことになる。しかし、法としては婚姻中である前夫の子として受理することが正しい。これを次の夫との間の子として戸籍に登録するためには、前夫に「親子関係はない」と裁判で証言してもらうことが原則として必要になる。顔も見たくはない、と別居した前夫に逢わねば解決できない。この女性はDNAによる親子鑑定書などの資料をもとに、娘の親権者として今の夫を相手に認知を求める調停にこぎつけた。》
 前夫の証言がいらない手続きで、家裁からは「特別に事情を考慮した」と言われたという。05年4月から3回の調停で、6月に娘と現夫との親子関係が認められた。

次は盛岡市に住む女性(39)の例
17年間の結婚生活で子ができず、「どうしても子どもがほしい」と思っていた時、今の夫と知り合い、06年2月に前夫と離婚。離婚後266日に女児出産。こちらも再婚禁止期間を置いた少なくとも480日以降の出産ではない。出産時38歳を考えれば再婚を焦っていたこともあるだろうが、いとも簡単に男と女の関係に入れるものだ。民法の規定を知ったのは、夫が市役所に出生を届け出た時だった。12月に前夫を相手取り、親子関係不存在確認の訴えを家裁に提出。調停は4回ほどになるらしい。DNA鑑定も行うことになる。彼女は「裁判所とは無縁と思っていたのに、まるで悪いことをしたみたい」と言うが、《そのとおり、法律を破る悪いことをしたのだ。「知らない」ことで何事も済ませられれば気楽な世の中になるだろうが、世の中、そんなに甘いものじゃない。子づくりを急ぐ前に、男と女、結婚、離婚、性モラル、社会規範などのことをよくよく考えて行動することだ。》


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