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2006年12月20日 (水)

驚くことじゃない

毎日新聞(12/20)夕刊から
航空自衛隊浜松基地(静岡県浜松市)が、隊員の内部暴力の懲戒処分を発表する際、暴力を受けた男性隊員がそのご自殺した事実を隠して発表していたことが20日、分かった。男性隊員の両親は「先輩からのいじめが原因」と訴えていたが、同基地からは「行き過ぎた指導があった」としか説明はなかった。両親は「『いじめられれば泣き寝入り』ということかも知れないが、そうはしたくない」と話しているという。

同基地によると、基地内にある第一術科学校の30代の2曹が04年3月〜昨年11月ごろ、20代後半の男性隊員に対し、20〜30回にわたって殴る蹴るの暴行を繰り返した。同基地は今月15日「2曹に行き過ぎた指導があった」として停職5日の懲戒処分とし、報道機関に発表した。暴力を受けた男性隊員は昨年11月、浜松市内の自宅で自殺しているが、その事実については発表しなかった。

関係者によると、男性隊員は日頃から周囲に「隊内でいじめを受けていいる」と洩らしていたと言う。両親は「『人間性を失っていて生きていけない』等、2曹に書かされた『反省文』が残されていた。隊内のいじめが原因だ」と主張し、同基地に説明を求めていた。

同基地は、男性隊員の自殺から一年以上過ぎてようやく2曹を処分したが自殺には触れなかった。両親は「(処分翌日の)16日に術科学校長が説明に来たが、『行き過ぎた指導』というだけで、最後まで十分な説明がなかった」と憤っている。

空自第一航空団指令部は社の取材に、2曹の暴力について「仕事熱心のあまりの行為で、いじめではないと聞いている。被害者に外傷などがなく、長期間気づかなかった」と説明した。男性隊員の生死については、「処分とは関係がなく、個人も特定されるので答えられない」と回答した。

以上記事の全文だが、未成年者と同じように、全く顔の見えない報道だ。「個人が特定されるので答えられない」とは個人のプライバシー保護が便利に使われ、隠蔽を助けるいい見本ではないか。隠すまでもないことだろう。階級の存在する組織で、権力を嵩に着る弱いものいじめは下は小学校からすでに始まっている。上級生が下級生を、上司・上官が部下をいじめるのは至極普通にあることだ。アメリカの海兵隊の同様の問題は、映像に撮られて報道され、明るみにでたこともあったが、特に軍隊の組織は明確な上下関係が守られ、ある意味ではそのために乱れることのない規律が確立されることにもなる。

日本の軍隊の暴虐さは有名だが、それが日本軍の一糸乱れぬ統率の取れた軍律として評価されてもいた。その悪しき習慣が、強さを維持するための簡便な手法として生き続けて来たものだ。自衛隊に止まらない。例えば高校野球の世界を見れば一目瞭然の事実として、来る年も来る年も、何時果てるともなく繰り返し、暴力、いじめは存在している。特にスポーツには“しごき”と称する暴力、いじめと判別のつけにくい独特の鍛え方がある。科学的手法も同時に発達してきているが、昔ながらの“しごき”は権力を行使できる立場からは最も魅力的な指導方法になる。この魅力に取り憑かれると、止まるところを知らずにエスカレートして行く。その結果は、日本の軍隊にも多く出たのと同じように、今度の自衛隊のような結末を迎えることも起こりうるだろう。権力の魅力は魔力でもあるのだ。こんどのことは偶々表に出ただけだが、隠れたところでは日常茶飯事にあることだと思えばよい。

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