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2006年12月 9日 (土)

何で今?

1941年12月8日、この日、日本はハワイの真珠湾を攻撃した。ちょうど65年の前になる。翌日の大本営発表の輝かしい戦果を知った日本国民は、こ踊りして喜んだ。町中がバンザイ、バンザイで溢れ返った。それから僅か4年、原子爆弾が落ちた日本は、敗戦の現実に見舞われた。6ヶ月前には硫黄島の激戦で、無惨な敗北を味わい、続いて沖縄では民間人が巻き込まれた惨めな戦を挑んでいた。それでも軍部は戦争の終結の呼び掛けに応じず、最後の一兵まで戦え、と号令を掛け続けた。結果は2発の原子爆弾が落ちることになった。

この開戦の12月8日、日本では細々と民間人の中で、戦争を語り継ぐ運動が続けられているが、メディアは口を閉ざしたままだ。8月の原子爆弾の落ちたことに大騒ぎし、地球上で唯一の被爆国を訴えるのもいい。しかし、それ以前に軍部や為政者は、戦争を中止するべき戦況を見誤っていたことで、原子爆弾の何十倍もの国民の命を失わせているのだ。次から次に玉砕の島から退却(軍は撤退と表現した)を繰り返し、神風を信じさせ、本土防衛のかけ声で、竹やりを振るわせる狂気の指揮を取っていたのだ。このような国是に全面的に協力(言論弾圧、検閲制度が存在していたにせよ)していたマスメディアとしても、12月8日と言う日を反省の日とする社説ぐらいは著わしてもよかろうのに、ただの一行も触れることもなかった。

《閑話休題》
そして昨日今日、硫黄島が繰り返し記事になった。たまたまアメリカ映画の封切りに合わせたような企画だ。毎日新聞の記事に明らかな間違いがある。(8日の鳥越俊太郎と論説委員の布施広との対談)今日9日から上映される映画「硫黄島からの手紙」についての鳥越の発言の中にある。
 鳥越 特に「硫黄島からの手紙」は日本側に2万人、アメリカで7000人亡くなってる激戦だったんですね。・・・」は彼の歴史知らずか、勘違いか、負けた日本軍の方が当然多くの犠牲者がでた、との思い込みか?
事実は彼の言葉の反対で、日本軍の死者約20000人、アメリカ軍死傷者約28000人だ。それにしても何故、今硫黄島なのか。アメリカの映画人に教えられるまで誰も見向きもせず、自衛隊すら駐屯して実戦訓練に励んでいるのに、その地に眠る戦死者の遺骨の収集もしていない。その数およそ10000体にのぼる。

政府のこの姿勢は、10月のパラオ共和国のペリリュー島の戦没者遺骨収集事業の不手際を見ても、如何に戦後の戦争収拾に対するいい加減な態度かが分かる。この島には戦時中、東洋最大とされる日本軍の飛行場があった。1944年9月、連合国軍が上陸作戦を展開、日本軍の守備隊約1万2000人が玉砕した。遺骨の収集は52年から始まり、約7600人分の遺骨を収集したが、まだ約2600人分が残るとされている。この時に訪れた厚生労働省派遣団が、パラオ側の許可を取っていなかったため、収集作業ができずに、現地を見ただけですごすごと日本に戻っていたのだ。

同省によると、派遣団は10月21日〜31日の日程で、同省職員、戦争体験者とその家族でつくる戦友会、日本遺族会、遺骨鑑定人ら計12人が参加していた。同島のイワマツ塹壕などに埋まる数十人の遺骨を持ち帰るはずであった、という。同省の杜撰な計画で、現地で交渉したが認められず、計画どおりの滞在をし、遺骨の収集はできずに帰国していた。費用は約700万円かかっており、国費から支出されたものであった。

なんと言うことない、映画の宣伝をしてやっているようなものだ。「涙がボロボロ出た」、「人間が描かれている」、司令官栗林中将は「“サムライ精神”の武人」などと、映画をほめるのもいいが、この戦争は実際に日本の本土東京都の島、『硫黄島』で65年前にあった歴史の中の事実なのだ。イーストウッドの監督手腕を誉めるのもいい。反面、現代の若い日本人がつくる戦争ドラマ『広島・「昭和20年8月6日」』にしろ、「火垂るの墓」にしろ、余りにお粗末な歴史認識には、学校で或いは自ら歴史を学ばなかった無知が露呈するのも仕方がない。

現在安倍が躍起になっている下らない教育基本法改正には、反対する人たちも大勢いる。何で今?って。もっと日本の歴史を日本人自身で見直す作業ができないものだろうか。その役目は社として当時、戦争協力にいそしんだ全国のマスメディアの取る責任でもあるのだ。

参照「硫黄島」06/11/18

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