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2006年12月15日 (金)

次は「陸・海軍省」か

毎日新聞(12/15)を読んで。
12月14日の参議院外交防衛委員会で可決され、本日にも成立しそうな防衛庁の省への昇格問題。小泉から引き継いだ安倍の、恐ろしい内閣の誕生を憂えたが、事実はそのとおりになってきた。教育基本法と併せて今日にも成立しそうな勢いだ。A級戦犯をどさくさで免れた祖父岸信介の思想を引き継ぎ、またもや日本を戦争のできる国へと導こうとしている。目指しているのは防衛庁の昇格では足りない。憲法9条の戦争放棄の条文がある限り、省と名を変えても日本を守ってくれているアメリカさんへの協力は中途半端にならざるを得ない。政府はことあるごとに拡大解釈をし、それを前提とした次ぎの解釈を上積みしては既成事実として認めさせてきた。結果、現在の自衛隊は陸自、海自、空自にしろ強力な軍隊以外の何ものでもないところまで膨張を続けてきた。

この先は海外でも戦うことのできる軍隊にすることだ。これまでにも憲法を捩じ曲げて、共産陣営を仮想敵とし、それらの国からの防波堤を口にすることで自衛隊を増強し、軍隊化することに努めてきた。安倍は幸運にも北朝鮮のテポドンに次ぐ地下核実験で日本国民の恐怖を煽り、拉致問題を表面に持ち出すことで一層の反朝を利用して、日本の再軍備を急速にすすめることの可能なタイミングを捉えたことになる。

政府は「給油中に並走する米艦艇が攻撃された場合、自衛艦が援護すれば集団的自衛権行使に抵触しかねないため、援護できない」と言うが、自民党内にはこの解釈に対し「自衛隊は米艦艇を見捨てて逃げるしかないのか」と疑問の声が根強くある。同じようなことは「周辺事態」でも想定されることだ。安倍は海外での武力行使の問題とともに集団的自衛権行使の解釈の変更をも研究対象とすることを表明している。

従来の本来任務は自衛隊法第3条で規定され「わが国の防衛」が明記されている。今回の法案ではこれまでは「雑則」に分類され、「南極地域観測に対する協力」などと同じ位置付けであったものを、周辺事態への対応と国際平和協力活動を同3条の第2項として追加する。その具体的な活動には、国際緊急援助活動、国連平和維持活動(PKO)、テロ対策特別措置法に基づく活動、イラク復興支援特別措置法に基づく活動などを盛り込む予定だ。第3条の第1項に「主たる任務」、第2項を「従たる任務」として追加する。

ただ自衛隊が憲法上、他国軍と比べ現行憲法下では制約を抱えたまま活動する状況にあることには変わりない。このギャップを疑問視する安倍は、海外派遣のための「恒久法」制定論議とともに、憲法9条の解釈変更に関する研究を加速させる考えのようだ。本来国際平和のための軍隊であるはずのアメリカが、現在世界で戦争を展開させる軍隊になり、今までのような日本の自衛隊では、正当防衛・緊急避難以外の危害射撃は認められておらず、外地へ派遣された陸自は、近くで活動する他国軍が攻撃されても援護のために武器を使えなかった。安倍は「外国の部隊が攻撃された時に救出することが憲法に違反するのか」と強く疑問視し、憲法9条の解釈に変更の手を加えたくて研究テーマにしているのだ。本音のところでは、特にアメリカさんへの協力がいつまでも中途半端になることを懸念しているからだ。

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