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2006年10月 6日 (金)

北朝鮮の核実験予告

今回のニュースを耳にして、真っ先に思い浮かべたのは安倍新内閣に好都合だな、ということだった。今年7月のテポドンとミサイルの発射を受けて、日本の好戦派の連中は、必要以上の反応をみせて国民の恐怖感と反感をあおり立てた。それは、戦争を知らない世代の共感を呼び、世論調査でも憲法改正派を増やすのに効果を上げた。国会での心強い味方を増やしたことになる。

日本海の沖何キロ、とはいってもすべてのロケットは日本に向かって発射されてはいない。北朝鮮とロシアの沿岸であり、この国の海岸までを日本海と言うのでない限り、決して日本海という言葉で表現される海域ではない。北朝鮮を擁護するつもりはさらさらないが、日本の騒ぎぶりは極端であった。すでにこの時期、先の総理小泉は次々と国費乱用の、文字通りの外遊に耽り、国内外のことには上の空、声明は出しても空虚で虚しく響くだけであった。騒げば騒ぐほど北朝鮮のほくそ笑む姿が見えるようだ。

そして、安倍が新総理になった。彼が目指すのは憲法改正で自衛隊の格上げ、軍隊にすることだ。今回の北朝鮮の地下核実験の予告は、そのような安倍にとっては好機到来ではないのか。「だから言ったじゃないか、北朝鮮と言う国は、こんなに恐ろしい国なんだ、一日も早く日本も軍隊を持つべきなのだ」と正面切って言えるからだ。自民党の憲法改正案には明確に書かれている「非常事態に備える」ための改正案で、「国民しあわせ憲法」だと。しかし、そうは言っても憲法改正には衆・参議院議員の総数の三分の二以上の賛成が得られなければ成立しない。そこで自民党の憲法改正案では姑息にも、“三分の二以上”を不可能と見て、“過半数”とした法案にして何が何でも通過させようとの魂胆は見え見えだ。

今度の北朝鮮の核実験の予告には、日本としてはアメリカという大きな傘の下で、アメリカを後ろ楯にした制裁決議の提出が限界だろう。海を挟んだ日本が大騒ぎする以上に、陸続きの韓国、最大の友好国中国はもっと問題だろう。アメリカが広大な砂漠の地下や、大平洋の岩礁で(近辺の島々への多大な被害を生じるにも拘わらず)核実験をやるのとは違う。北朝鮮外務省は声明を出している。
 一、北朝鮮科学研究部門では今後、安全性が保証された核実験を実施する
 一、北朝鮮は、絶対に核兵器を先に使用しないし、核兵器を通じた脅威と核移転を許さない
 一、北朝鮮は朝鮮半島の非核化を実現し、世界的な核軍縮と終局的な核兵器の撤廃を推進するため努力する
というのもだ。絵空事ではなく確実に守られれば問題はない。

安倍は「断じて許せない」というが、結局のところ「国際社会全体で厳しい対応を取ることになるだろう」としか言えないのが実際問題だ。 すでにパキスタンもやった、インドもやったが、最も多く繰り返すのはアメリカだ。その結果作った爆弾を世界で唯一使用したのもアメリカだ。

憲法改正が成り、自衛隊が軍隊になる。後ろ楯にアメリカさんが付いていてくれば将に鬼に金棒だ。な、安倍君。

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