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2006年10月 8日 (日)

性関係急ぐ必要ない

今月、国連のエイズ対策本部に協力する組織「国連エイズ計画共同センター」に、京都大大学院医学研究科が指定された。国連は04年度から本格的なエイズ対策に乗り出すため、世界で共同センターの指定を進めており、京大の指定は世界で初めてである。研究科内に新設される初代センター長に木原雅子京都大助教授(社会疫学)が29日、就任した。

実はエイズ計画センターは10年前にWHO(世界保険機関)など国連諸機構でつくる専門組織「国連合同エイズ計画」(UNAIDS)を、欧米中心に44ケ所を創設していたが、活動成果が不十分だとして02年にすべて取り消していたのだ。その後、国際的実績など設置基準を明確にして定期報告義務を課し、3年ごとに指定を見直す等条件を厳しくし、新たに指定を始め、京大は今月、UNAIDSからの要請を承認したものである。木原助教授らは、国内で青少年の性行動調査や予防対策を進めており、その実績が評価されたとみられている。

木原助教授は29日、今後の取り組みを発表した。アジアで急増する感染を抑制するため、予防研究を最重点に活動する。各国の文化を考慮したプログラムを開発し、対策に取り組む人材の育成を目指す一方、予防に成功した事例を集め、研究結果は政策支部に向けて各国政府に提供していく方針だ。

2000年12月現在のデータだが、
 世界の*HIV/エイズ感染・患者総数は 3610万人
 2000年1年間の新たなHIV感染者数  530万人
 2000年1年間のエイズ死亡者数    300万人
 エイズ死亡者数累計         2180万人
HIV/エイズ等の新しい感染症や、結核、マラリアなどは近い将来克服されると見られていたが、再び大きな問題となっているようだ。

私自身の勉強のために言葉から理解して行きたい。
*HIV ヒト免疫不全ウイルス(通称エイズウイルス)Human Immunodeficiency Virus
エイズ(AIDS) 後天性免疫不全症候群 Acquired Immune Deficiency Syndrome
 Acquired   後天性・・先天的でない。遺伝でない。
 Immune    免疫・・・病気になるのを防ぐ。
 Deficiency  不全・・・不十分になる。働かなくなる。
 Syndrome   症候群・・複数の病気。一連の症状。
HIVは大変弱いウイルスで、空中や水中では生きていけないが、一旦人体内に入ると免疫細胞を破壊していく。
エイズはHIVというウイルスに感染して起きる病気で、主として血液、精液、膣分泌液によって感染する。

HIV感染者は、何の症状もなく、ウイルスに感染している以外は普通に日常生活を送ることができる。
エイズ患者は、免疫システムの働きが低下し、ひよりみ感染症*やカポジ肉腫**といった重い症状が出る。
そして、完全にエイズを治す治療薬はまだない。
 (*、**について、これ以上深入りすることは私には無理だ)

感染経路は3つに分けられ、
 性的接触・・これは感染者との無防備な(コンドームを使用しない、オーラルルセックスなど)セックス。
 血液感染・・感染者からの血液、臓器の提供や、注射の供用(麻薬の回し打ち)。
 母子感染・・感染している母親から妊娠中・出産時・授乳時に子どもへ感染することがある。

閑話休題(木原女教授の記事から)
高校3年生の性経験率は女子で39%、男子で30%(全国高校PTA連合会調べ、04年度)。
10〜20歳代のHIV感染者は96年度より3倍以上増加した。

《「大流行の可能性も否定できない。科学的根拠に基ずき、若者への予防教育が必要」という。元は癌研究が専門であった人だ。研究のためにと依頼すれば、患者のデータを手に入れられた。しかし、HIV感染は人の行動や意識に深く係わり、データの入手も容易ではなくなった。「医学的方法だけでは不十分。相手が何を必要としているかを理解しなくては」と、疫学に社会学的観点を加え、マーケティングの手法も取り入れた「社会疫学」を創始して、研究を実践してきた。

99年、国内初の国民性行動調査を実施する。中高生対象のアンケートも22万件回収した。一つのグループが集めた数では世界でも例がないほど多い。正確に答えてもらうには入念に設問をつくる必要がある。生徒たちが分かる言葉か、気分を害するようなことはないか。それぞれに相応しい予防プロジェクトをデザインする。

依頼を受けて学校に出向き、講師を務めることもある。科学的事実を淡々と述べ、成熟度に応じて言葉を選ぶ。「寝た子が起きる」危険を考えるからだ、という。》

今の子どもたちが、寝た子ではないことを知った上での教育だ。小学生のころから目にする印刷物には、親が追い付かないほどの性知識が盛り込まれている。マンガから週刊誌、友だち同士、目に飛び込んでくるチラシ、映画の看板、子どもたちの関心を惹き、目覚めが早まるのは至極当然のことだ。耳にも飛び込む興味をそそる言葉、不倫、浮気、テレクラ、援助交際という名の売春。その結果が高校生たちの性経験率の高さだ。それも女子高校生の高率は、昔から言われる「女の子の方が早く大人になる」だ。

ここで「禁欲」を説いても利き目など生まれる訳はない。女の子たちが知りたいのは、もっと具体性を持った性の知識だ。月経、性病、妊娠に避妊、などだろう。あるデータによると、性体験の許容性でも避妊さえ完全であればセックスを容認する考えをもつ男子の19・9%に対し、女子は24・9%と性関係を急ぐ気持ちが現れている。

財団法人・日本青少年研究所が発表した「高校生の生活と意識に関する調査」によると
 「結婚前は純潔を守るべきである」(平成16年2月)との設問に答えた日本を含む四カ国の比較がある。

   全くそう思う まあ思う あまり思わない 全く思わない
日・男  11・4  29・5   38・1    20・7   
  女   6・3  22・9   48・0    22・2 
米・男  16・2  31・3   28・9     14・2
  女  21・8  34・1   27・8     8・2
中・男  40・2  32・7   17・7     7・7
  女  43・6  32・9   14・5     7・3
韓・男  28・5  42・7   20・5     7・8
  女  43・1  33・5   18・7     4・2
(単位:%・・それぞれの合計は無回答分を含んで100になる)
 * 日:日本、米:米国、中:中国、韓:韓国

それにしても諸外国と比較して、日本の若者たちの性モラルの欠除は深刻だ。性の解放を学んだはずのアメリカですら、高校生の性意識は日本より遥かに健全だ。また、他の国では純潔を守る、とするのは男子よりも女子に多いのに、日本では男女の数値が逆転している。援助交際という売春の横行する特異な日本社会がよく現れている。高校生の4人に1人、大学生の半数以上は性体験がある、といわれる日本では予想通りだろう。それに加えて無知、とくれば、よく言われる「買うものがいるから・・」は全くの逆だ。どんなに金を積んでも、ない品物は買えないのだ。

その結果、待っているのは恐いHIV感染症であり、エイズだ。他にも多くの性病の蔓延をみることになる。日本でも世界でも最も多い細菌性性感染症の性器クラミジアを始め、淋菌、梅毒、ヘルペス、膣トリコモナス、性器カンジダなど、口にのぼり、警告を発してからでも随分経過しているが、良くなるどころか悪化の一途を辿っているのが現実だ。

これも団塊の世代の教育をしなかった我々の世代の負の遺産だろう。何一つ躾が出来ない親が次の親を育てた。そのまた次の親が現在の若い世代の親たちだ。子どもがどうなっても何も出来ない、言えない。ただ見ているだけのことになっている。その親たちも一緒になって不倫だ、浮気だ、とお盛んなことだ。子どもに意見など出来そうもない。メディアに相談する悩みごとは、不倫のこと、浮気のこと、離婚のことになっている。

何時か先が見える時代が来るのだろうか。

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