ホルミシス効果
知らないことが多すぎる。この言葉も初めて聞く。温泉ブームが長く続いているから御存知の方は多いのだろうが、私はブームになって一層温泉は避けるようになった。清潔を旨とする考えでいくと、湯に入る前の掛け湯をすることも知らない人間たちが、特に女性が海水着を着込んで温泉とは、不潔きわまりなく、それらと一緒に妻を湯に浸からせるなど、考えるだけで不快な気分になる。そう言う訳で、とんと温泉には興味を無くした私でも、どんな効果なのか調べてみたくなった。
「ホルミシス」という言葉は、「ホルモン」と同一語源のギリシャ語「hormo」から来ていて、“刺激”という意味であり、放射線による刺激作用を「Radiation hormesis(放射線ホルミシス)」と呼ぶ、とある。したがって、「ホルミシス」という現象は放射線のみが有する生体(物)影響ではない。
私の世代には放射線は原子爆弾と結びつく恐いものだが、微量であれば決して毒ではないどころか、却って生命の活力を刺激し、健康に役立つことの方がおおいことも分かってきた。放射線のホルミシス効果と言う言葉は、アメリカのトーマス・D・ラッキー博士(ミズーリ州・コロンビア大学)が、少しの放射線量だと、「体の健康に役立つ(放射線ホルミシス論)」と論文発表(1982年)したのが切っかけで、当時は画期的なものとして全世界に大きな波紋を投げかけた。その後は各国で盛んに研究されるようになっている。それ以来「ホルミシス効果」と言う言葉が有名になったという。
このような背景があって、テレビやマスコミで取り上げられ、特に注目を集めているのが、世界屈指と言われるラジウム温泉である玉川温泉(秋田県)だ。現在隠れたブームとなっている岩盤浴で知られ、噴煙と蒸気を上げながら地熱を発する北投石*と呼ばれる岩盤に横たわって体を癒すのだそうだ。その素晴らしい効果が口コミでも伝わり、大人気となっており、周辺の旅館も予約困難な状況が続いているらしい。
*北投石・・1907年、台湾の北投温泉で発見され、その名前がつけられたものだが、我が国では玉川温泉が唯一の産地。この石の大きな特徴は、放射性元素であるラジウムやトリウムなどを含んでいるため、通常の石の1000〜1万倍の放射線を発しているという。学術上貴重なものとして特別天然記念物に指定され、保護されている。昭和27年には国の特別天然記念物に指定され、現在は持ち出しは禁止されている。
この石は、100年以上も前から、さまざまな病気に対して大きな効能を発揮する「秘石」と信じられて来たこともあって、盗掘が絶えなかったが、1922(大正11)年以来、採掘が禁止されている。
また、湯舟の方の温泉に引かれる源泉の温度は℃98度、PH1.2(水道水が中性の7.0)という日本一強い酸性温泉だ。今では日本に限らず外国からも来る客で、賑わっているそうだ。
ブームの岩盤浴となると、エステには何処の国の女性よりも飛びつく日本の女性だ。どんな商売でも1人勝ちに指を咥えて見ていることに我慢ならない金儲けの亡者たちが、ただの岩石を並べて岩盤浴の宣伝を始めてカモを呼び込む。本物ブランドでなくても満足できる連中はワンさといる。金儲けの宣伝文句に酔って石の上にトドのようにごろり、と横になって汗を流し、年中通えない身でも、宣伝の中身の一つでも得られればと、何かを期待する、哀れだ。
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コメント
温泉大好きな家族ですが、おっしゃるように温泉でも、お風呂でもマナーが本当に悪い!『当たり前』の感覚がなくなってきてるのかしら?この日本では・・・と思うことがあります。昭和40年代のわたくしも思うのですから、そう思う方は多いはず。が!しかし、意外ともっとオバチャンの方が「ええぇ~」と思うことまでやってのけてしまうものです。温泉ブームと言えど、岩盤浴にもとっても興味がありましたが、そうとう・・・相当!細菌の培養場所になっているようで、白癬菌、要するに水虫などは、ものすごい勢いで移っているらしいです(コワイ) マナーを守り、お互いの心地よさを共有するように、楽しみたいものですね。
投稿: マツナリ | 2006年10月15日 (日) 11時02分
こんばんは、小言(?)こうべい様。ブログへのコメント、ありがとうございました。『年寄りの愚痴』だなんて・・・!!なんだか気持ちが引き締まる思いで読ませていただきました。食に関しても、教育に関しても、わたくしですら、これでよいものか?と思うことが多く、先輩のご意見を読むことで方向性が決められそうな気がします。これからの子ども達のために、わたくしたちの世代がしっかり方針を持って立ち向かわねば、『日本人はだめになる』(尊敬する幼稚園の園長先生がよくおっしゃられます)かも知れません。世間の『欲張り』な宣伝や、記事に惑わされることなく、ご自分の考えをしっかり伝えられるご姿勢に感銘を受けました。今後も、時間あるときに、読ませていただこうと思っております。
投稿: マツナリ | 2006年10月15日 (日) 18時32分
おはようございます!
ブログへのコメントありがとうございます。
お食事って、目でも楽しむものですものね。人にとって、動物にとって、必要な食。私は、五感で楽しめるものだと思っています。カレー=黄色いもの。
白かったら?ご飯を違う色にしてみようかなっって思いました。サフランの黄色、イカ墨の黒、パセリのグリーン。さて、どの色がホワイトカレーに似合うのでしょうか?お皿は、真っ白なものより、やわらかいお色が似合いそう。お皿、きっと奥様もお好きでしょうね。わたしも大好き!懐石で出てくる色とりどり、形もニュアンスも違うお皿にいつもウキウキしています。作る側が楽しめば、食する人も楽しんでくれるのでは?
いま、ブームの食育もわが息子には、ママ流で行こう!と考えています。
さて、問題(?)のホワイトカレーのお味。普通かな・・・でもお色の加減でなんだかやわらかくクリーミーな気がします。色の持つ特性でしょうか。
投稿: マツナリ | 2006年10月16日 (月) 06時22分