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2006年9月13日 (水)

飲酒運転はなくならない

連日これでもか、というほど続いて飲酒運転による事故が発生している。どれだけ刑を重くしても、法の網を潜る輩は次から次に生まれる。それに環をかけるような法律が9月1日から施行された。

「酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法」が8月末日で失効したために、酒類販売の地域規制が撤廃された。今まで参入できなかったスーパーやコンビニエンスストアなどは、一斉に免許申請を行う構えだ。
 全国の小売業免許数は
  01年度末   15万1343件
  02年度末   15万4759件
  03年度末   16万5915件
  04年度末   17万1674件
一方、廃業や取り消し件数は
  01年度    3621件
  02年度    4587件
  03年度    6934件
  04年度    7206件
と、増え続けている。

コンビニ最大手の「セブンイレブン」は、全国約1万1300店のうち、規制で酒の販売が行えなかった約1400店が、同じく大手スーパー「イオン」は370店鋪のうち49店鋪が、10月2日までの申請期間中に全ての店鋪で免許申請を行う予定だという。他者も追随する予定でコンビニに行けば手軽に酒が買える時代になる。

この夏を振り返って、全国で発生した水難事故の多くに係わったと見られる飲酒が元の未成年者の数は、飲んで自らが招いたものだとはいうものの、子どもがしっかりと育てられないバカな親の無責任さを表面化したものだが、そうと感ずる風潮は依然として育っているとは言い難い。そのような未成年者の悪の温床となるような規制緩和、加えて現在まで地域に密着して町の人の情報交換の場ともなった「酒屋さん」が消えて行く。01年から04年の3年間で、倍の数の店が廃業し、或いは転業を余儀なくされたのだ。24時間営業のシステムで参入してくる相手には町の「酒屋さん」では太刀打ちできないことは赤子でも分かる。

コンビニもスーパーも未成年者対策は考えているようだが、現実には夏休み最後の日に川崎市の多摩川で死亡した高校生(15)たちに、夜を通して一人で500ミリリットルの缶ビールを5本以上を飲むほどの(持ちよりもあたが)ものを売り付けているのだ。「年齢が確認できないときは販売しないことを徹底する」というが、それでなくても夜間に店の前に屯する悪童たちだ、事件が起こる前に危険性のあるものは店に置かない方が良いに決まっている。泳ぎだけに限らない、自分が死んでくれるだけなら良い、他人を殺すことにつながる自動車、バイクなどを運転するものもののことを考えると、手軽に買えることになるコンビニやスーパーでの販売に、版図を広げるのではなく、逆に狭めることこそ筋ではないのか。

厚生労働省の平成17年度たばこ・アルコール対策担当者講習会資料によると、全国から300校無作為抽出)の1996〜2004年までのデータがあるが、やや減少傾向にあるので(2004年)だけで見てみると、
       飲酒経験  月飲酒  毎日飲酒(単位%)
 男 中1   47.6   16.5    0.2
   2年   55.0   21.6    0.6
   3年   57.3   23.6    0.4
   高1   70.0   30.5    0.4
   2年   76.5   37.2    0.4
   3年   79.8   41.5    0.7
 女 中1   51.4   17.4    0.1
   2年   57.5   20.8    0.2
   3年   61.2   21.6    0.2
   高1   72.4   30.1    0.3
   2年   77.7   35.3    0.2
   3年   82.1   45.2    0.3
1、飲酒経験:今までに一口でも飲酒したことがあ
2、月飲酒 :この30日間に1日でも飲酒した
3、この30日間に毎日飲酒した
となっている。

家庭では母や姉の飲酒が女の子にはより強い関連が認められ、親の飲酒、友人、などが要因となっているが、特に親の影響を強く受けていることが見られた、しかし、親の側では自分の子が喫煙や飲酒をしていない、と思っていることが分かった。飲酒の切っ掛けになるのはクラス会、打ち上げ、コンパ、の他に、堂々と居酒屋、カラオケボックス、のみ屋で、或いは誰か友だちの部屋で仲間、などがある。コンビニが言う、年齢確認がいかに頼りにならないものか、良く分かるだろう。

また、親もだ、このような子どもたちの実態を全く放置しているとしか思えない。男子の現在飲酒者の父親の38・4%、母の35・1%は子どもが飲んだこともないと思っており、女子ではその傾向がさらに強く、現在飲酒者の女子の父親の52.・6%、母の47・9%は飲んだことがないと思っている。これでは少年少女の飲酒対策が進まないのも当然だ。

日本には古来より酒の上の出来事について、大抵のことは許される不文律が出来上がっている。そう、「酒の上のこと」、酒は「百薬の長」だ。キリストの生まれる前のこと、紀元前45〜23年まで続いた「新」を建国した皇帝王莽(おうもう)が下した経済政策を徹底させるための詔勅の冒頭にある言葉が、漢書の中の「食貨志」に書かれて伝わったものだ。彼は巧みに世論を操作し、自分の子どもたちさえ殺して王位についたが、国を治めることが出来ず、赤眉、緑林に続く昆陽の乱で失脚する。その時のかれは酒に溺れ、奇跡を待ったが遂に全身を切り刻まれて死んでいった。彼が言ったのは「塩は食物に最も大事なもので、酒は多くの薬の中で最も優れており、会合で嗜むには良いものである。鉄は農耕の基本となり、名高い山や湖沼は豊饒の倉庫なのだ」と。

中国の酒の文化は仏教の伝来と同時に日本にも伝わり、広く根付いて行くことになる。仏教では戒律として酒を飲むことが厳しく禁じられていたが、12世紀の始め、浄土宗の開祖、法然は問答の中で「酒飲むは罪にて候か」の問いかけに「まことは飲むべくもなけれども、この世のならい」と応え、僧の飲酒をゆるすようになっていく。それでも禅宗での酒を飲むことは戒められていたが、薬として身体のために少しぐらい飲むのは良かろう、ということで酒として飲むのではない、という意識から、「知恵(人間の知恵ではなく、真実を見抜く悟りへの知恵)の湧き出るお湯の意味を持った」『般若湯』という名を付けたのだ。その後、法然の弟子、親鸞になって酒だけではなく妻帯さえも許される仏教の世界が新たに開かれることになる。

さらに下って吉田兼好(法師)になると、「百薬の長」はその逆を行く「百毒の長」という言葉になって出来てくる。1330年に書かれた「徒然草」の中には次の一文がある。
                 
                   ---- 続く

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