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2006年9月22日 (金)

身勝手に過ぎないか

毎日新聞(9/22)から
米カリフォルニア州司法省から「自動車排ガスが地球温暖化を引き起こし、環境被害を受けた」として損害賠償請求訴訟を起された、と報じている。同州は伝統的に排ガス規制が厳しいが、定められた規定に従って車を販売して来た各社、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車が、ゼネラルモーターズなど米ビッグスリーとともに今回の強行手段に驚きを隠さない。日本企業3社は21日「訴状が届いていない」として正式なコメントは避けたが、米国は3社の収益源であるだけに、影響の拡大を懸念し情報収集を急いでいる。

カリフォルニアは、大都市ロサンゼルスなどでの排ガスによる大気汚染が全米でもひどい地域で、連邦政府に先立って排ガス規制を始めた。全米で唯一、州独自の排ガス規制を持ち、他州にも強い影響力を持っているという。

地球規模で世界の4分の1の温室効果ガスを吐いておいて京都議定書の参加どころか離脱さえ表明した国だ。アメリカは発展途上国が削減義務を免れていることに不公平だと難くせを付け、人口1000人当たり1台にも満たない国にも公平を要求しているのだ。1000人当たりの車485台を持つ大国が吐き出すCO2の問題は、カリフォルニアという小さな州の範囲の問題ではないはずだ。世界が協力して温暖化を解決しようとしている時、自国の都合だけのエゴで世界に背を向けるのは、車大国アメリカの取る態度ではないだろう。このような自国の姿を知りながら、今度のカリフォルニアの訴訟は片腹痛いと言うほかない。

汚染の改善が進まない現状に業を煮やした州政府は04年、09年モデルから二酸化炭素炭素などの温室効果ガスの排出量を15年までに乗用車で25%削減することを求める世界で最も厳しい排ガス規制の導入を決めた。また、州議会は先月、20年までに温室効果ガスを現状より25%削減することを製造業などに義務付ける法案も全米で初めて可決した。

同州は西海岸の経済の中心で、全米で最も人口が多く、地理的に日本から車を送り易い。日本車メーカーは同州を重要市場と位置づけ、同州や全米の排ガス規制の強化を見越し低燃費の小型車を相次いで投入して来ている。トヨタとホンダはガソリンエンジンと電気モーターを併用するハイブリッド車の拡販もすすめるなど、温室効果ガスの排出削減には率先して努め、「環境対応には優等生だ」との自負もあった。それだけに小型車中心のトヨタなど3社の日本のメーカー側では、大型車の比率が高い米メーカーと一纏めで訴訟対象になったことに、困惑が隠せないでいる。

訴訟好きのアメリカ社会、吸い過ぎは健康によくない、と明記されたタバコを吸った結果、体を害したと、難くせをつけて訴え、億単位の大金を手にすることの可能な国だ。どう転ぶか分からない。今回の動きが同州特有の事情によるのか、他の州に波及するかは今のところ不透明だが、損害賠償にでもなればその請求額は数百億円になる可能性が高く、3社は当然抵抗するだろうが、米国事業で新たな難題を抱えることになったようだ。

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