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2006年9月19日 (火)

シュレッダー事故に思う

忘れるほどに遠い昔、まだ幼稚園児だった頃にそれは起こった。
ある夏の熱い日、かき氷を買う小銭を手に店に走った。店には誰の姿も見えなかった。店には自分の頭ほどの高さの台の上に手回しのかき氷の機械が置いてあった。ときどき店の小父さんが捩じり鉢巻きでハンドルを回し、シャリ、シャリと音を立てて氷を削る姿を眺めていた。削られた氷が雪のようになって下に置かれた皿の上に積み重なって行く。小さい時からそのような大人の働く姿に見とれては時間を忘れる子だった。どうして氷が削られているんだろう、何であんなに白い雪のようになるんだろう。

店の中に誰もいなのを確かめると、いつも不思議に思っていた機械の仕組みに惹かれて自然に機械に手を伸ばしていた。雪のようになって落ちてくるところを確認するために、背伸びをし、頭を上げて削り口の刃を覗いた。二枚の金属の刃が光って見えていた。ここで氷を削るんだ、と思わず下からやっと届く位置の二枚の刃の間に指を差し込んだ。不自然な背伸びのまま刃の間に入れたのは左利きの手の小指だけだった。そっと撫でてみた。これで削るんだと確認してから、背伸びの踵を下ろすようにして手を引いた。何の抵抗も痛みも感じなかったが、小指の先から血が吹き出していた。70年以上経った今でもその時短くなった小指の爪は、右手の小指の爪の3分の2ほどだ。

最近話題になっているシュレッダーによる指先切断の事故を聞いて、子どもが目の前にある物の興味の向け方に、自分も辿った物に対する関心を思い重ねると同時に、家庭を持ち、育児に心掛けていた当時のことを思い出した。まだカラーテレビが一般家庭に行き渡っていなかったころだが、テレビの中身は真空管による回路設計が主流で、重いトランスやコンデンサー、抵抗などが使用されていて高熱を発する箱ものになっていた。放熱と持ち運びに便利なように函の側面には切り抜きになった穴が開けられていた。シュレッダーと同じようにメーカーからもメディアからも頻りに注意が呼び掛けられた。やっと掴まり歩きのできるようになった幼児が、口に咥えていたスプーンや、手にしていたスプーンをその穴の中に差し込むことで電気系統のショートを引き起こし、発火や事故の発生が続いていたのだ。当時はまだ現在のようなユーザーの物言う体制が確立していなかった。

わが家でもその頃やっと伝い歩きのできる幼児がいた。 念のためにテレビの中を確認してみた。あった!間違いない、スプーンが2本、シャーシー(配線や部品を取り付けるための金属の函)にくっついて落ちていた。間違ってショートするものの上に落ちていたら、子どもの命も家も消えていたかも知れないところだった。

今回のアイリスオーヤマなどによるシュレッダーの事故に関しては、製品の製造・販売業者は「製品欠陥ではない」として経済産業省に事故報告はしていなかった。その後の調べで、さきの乳幼児が指を挟まれて切断事故になった2件の事故以外にも、計17件起きていたと12日発表した。同省によると、乳幼児の指切断などの深刻な事故は計5業者の機種で発生している。このうち家庭内で事故が起きたのは2社。富士ゼロックスによると、91年3月、大阪で男児(1)が自宅兼事務所にあった業務用シュレッダーで右手4本を切断。同6月には東京で男児(4)が左手4本を切断した。富士ゼロックスは6月の事故以降すべての機種を販売中止にし、販売済みのものには投入口に安全カバーを取り付けて対応した。最大8ミリあった投入口の幅を3・5ミリ以下にした。

ナカバヤシも指欠損などの事故が03年〜06年に5件発生。同社は事故機を販売中止にし、希望者には無償で安全対策部品を取り付けて対応している。

このほかの業者は松下電器、リコー、カール事務機で、いずれも事業所内で乳幼児の指を切断するなどの事故が起きている。事故は大人を含めると33件に上っており、業界では再発防止策として安全基準を年内に作成する予定だという。

わが家にも家庭用のシュレッダーがある。会社勤めの癖からシュレッダーにかけることが多い。現在乳幼児はいないが、常に通電させておかなければならない機械ではない。家庭では特に毎日必要とする物ではない。電源はコンセントから抜いてある。例え乳幼児が遊びに来ても切断の心配はない。どこのメーカーのものでも同じだと思うが、小さくて細い指先も入る隙間はない。電源さえ落としておけば自動運転も掛からない。家庭兼事務所であれば尚更だ、1日中、機密書類を切り刻むことはないはずだ。乳幼児が近づく危険があるのなら、時間を決めて動かし、電源はこまめに切る習慣をつけることが大事だ。

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コメント

これはあきらか親の責任だろ。 電源コンセントつけとくのも悪い、そうゆう機械があるのに子供の目に付くとこにおいてて目を離す親が悪い。小さい子なんて何がどうゆうもんかわからんと遊ぶに決まってるやろ。 これは親の監視がきちんと出来てない証拠。親が悪い。

投稿: aa | 2006年10月20日 (金) 21時06分

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