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2006年8月22日 (火)

続々 多すぎる大学

情けない断末魔の世の中になったようだ。大学を出て、尊敬の眼差しを集めたのは遠い昔の話。敗戦後、続々と生まれ名ばかりの大学。ベビーブームの勢いに乗って増やして行った大学。それが出生率の低下と少子化の波に見舞われて、学校余り現象が出て来た。別の見方で言えば、誰でも望めば、いや、本人が望まなくても教育ママにせき立てられ、授業料の心配さえなければ、大学など難関でもなんでもなく、入ることが可能な世の中になった、ということだ。最近しきりにメディアが使用する「全入時代」がやってきたのだ。

8/19日の毎日新聞から。
この全入時代を控えた「主客転倒」の学生集めが始まったことを報じた。本来ならば、その大学で学びたい志の希望者は、その大学のレベルに向かって準備をし、決められた期日に出向いて試験を受け、その合否を期待と不安の入り交じった心境で指折り数えて待つ。しかし、記事によると、少しばかり様子が違うようだ。大学側は、受験生が試験を受けに来てくれるかどうかが心配で、待っておられないのだ。何が何でも経営が続けられる人数の受験生が、うちの大学に来て欲しい。来てくれなければ必要な授業料が確保できなくて足りなくなる。

そこで私の目には“珍現象”と映ったが、学校側から面接官がこれとおぼしき受験生の高校に出向き、そこで面接試験をする「どこでも*AO入試」を導入した大学があるという。静岡県富士市にある富士常葉大学の環境防災学部では、今年7月上旬からすでにエントリーを受け付けており、これまでにエントリーのあった約20人のうち富山県と沖縄県の高校生2人が「どこでもAO入試」を利用する可能性があるという。

*AO入試
学生の募集から入試までを担当する米国の大学の「アドミッション・オフィス」(入学事務局)が、名前の由来になっている。志望理由などを記した志願書(エントリーシート)を提出させ、面接や小論文で選出するのが一般的。日本では90年度、慶応大が初めて実施。05年度は国立大25校、公立大12校、私立大364校が導入している。

少子化は今年度の入学者定員割れの私大が4割を超える現実を見せ、各大学は学生の確保に躍起になっている。
今回の珍現象は、鉦や太鼓で受験生を誘き寄せ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい、のレベルにまで貶めるかに見える。どこの大学も新しく目を惹く学部の増設に大童だが、如何せん、頭数だけを頼みに広げ過ぎた大学は、新聞が書くように「受験生は神様です」と、全員入学が可能であっても入れ物が余るのは避けられない。今以上に傷が大きくならぬうちに淘汰する方策を考えるがよい。何しろ大学の数は多すぎるのだから。

文部科学省は「試験として機能していれば問題はないが、面接官が個別に(受験生のところへ)行くのは、聞いたことがない」と話している。

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