酒酔い運転で、死亡事故多発
8月25日、福岡県「海の中道大橋」で、一家5人が乗った車が追突され、車は海に転落、子ども3人が水死する痛ましい事故が発生した。追突した車になっていたのは福岡市西部動物管理センター職員・今林大(22)。彼は同乗していた男性らと3人で、追突寸前まで飲酒、県警東署に業務上過失致死傷、道交法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕された。
飲酒運転に関しては、1999(平成11)年、東名高速で酒よい運転のトラックに追突され、追突された乗用車が炎上、乗っていた女児2人が死亡した事件を契機に、2001(平成13)年の刑法改正で最高刑を懲役15年(05年から懲役20年)とする危険運転致死罪が新設されている。
【しかし、危険運転致死罪は、悪質運転手に厳罰を求めるものだが、加害者が逃亡して時間を稼ぎ、酒の酔いを冷まして出頭してからでは立件が難しく、これでは業務上過失致死傷罪の適用になり、懲役5年以下で済んでしまう。これでは逃げるが勝ちではないのか。
また、罰則を厳しくすることは「抑止力」とはなるだろうが、日本全体を覆う『酔っ払い天国』の“酒の上のことだ、許せ”“酒のせいだ、何も覚えていない”の風潮が蔓延っているようでは、抑止力も中途半端で終わるだろう。
もう一つ、酒を飲ませる場所、スナック、居酒屋、などに駐車場が備わっていることが最大の落とし穴になっている。ちょいと引っ掛けて気楽に車に乗り込む、酒を提供する方では、「乗るなら飲むな、飲むなら乗るな」を掲げ、口では説明しても酒飲みに通じることではない。
加えて、運転を替わって家まで送ってもらえば2000円〜3000円の出費になる。そんな出費を何度もする位なら罰金を支払った方が安上がりだ、との声さえある。道交法の改正で飲酒運転の厳罰化は酒飲みは誰でも知っている。その上で酒飲みは、どうすれば網の目を潜ることができるかを考えて飲んでいるのだ。】
異例に厳しい判決を下した裁判もある。
2001(平成13)年の暮れ、埼玉県坂戸市の市道で、土木建設機械メーカーに勤めていた男が同僚たちと酒を飲んだ後、酩酊状態でライトバンを運転し、歩行者3人を跳ねて逃走した事件があった。2人が死亡、1人が怪我をした。男は事故を起す直前まで7時間近く居酒屋などでビールの大瓶6本、焼酎ボトル1本程度を飲んで帰宅途中であった。
東京地裁で7月28日行われた裁判で裁判長は、一緒に飲んでいた同僚について「男が正常に運転できない状態と認識し、運転して帰宅することも予見できた。制止すべき注意義務があったのに怠った」と判断し、同僚及び車の所有者である元勤務先に対して、計5800万円の支払いを命じたのだ。
主な道路交通法違反の取締まり状況(平成13〜17年)から 《警察庁》
〈違反別取締まり件数〉
13 14 15 16 17
無免許、無資格運転 77,957 93 86 80 76
酒酔い、酒気帯び運転 222,301 95 79 69 63
最高速度違反 2,602,243 100 102 108 106
信号無視 610,008 103 110 113 113
一時停止違反 744,484 110 122 136 135
歩行者保護義務違反 32,666 99 108 128 142
駐停車違反 1,816,870 95 93 92 88
(13年の数字は実件数、14〜17年は13年を100とした指数)
指数の数字から見ても、取締りの厳しくなった項目の減少化は認められても、スピードや、信号、特に対人保護義務などについて、極端な増加が見られる。、マナーの欠落、車が如何に動く兇器になるかの認識が全く薄れているように思われる。酒だけを取り上げて問題視してみても、どうにもならない状況になっているようだ。
最近2年間の酒酔い、酒気帯びだけを見てみると
16年 17年
酒酔い 2,030件 1,675件
(死亡事故件数) 149件 138件
酒気帯び 150,793件 139,198件
飲酒運転で事故を起し、人を負傷させた場合、危険運転致傷で10年以下の懲役
飲酒運転で事故を起し、人を死亡させた場合、危険運転致死で1年以上15年以下の懲役
こんな軽い刑で済ます日本の酒飲みへの愛情では、これからも酔っぱらい運転が無くなることはないだろう。懲役後は2度と免許証を持たさない、或いは終身刑までを含めた極刑を導入するべきだ。全ては自分が招いたことの責任を取らせる、ただそれだけのことなのだから。
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