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2006年7月31日 (月)

梅雨明け

東北地方を除いて梅雨も開け、全国的に好天になった30日、海に川に出かけ、19道府県で水難事故が多発して全国で15人が死亡、5人の行方不明などが出ている。昨日書いた高校野球につき物の不祥事のように、夏は水難事故がつきまとうようだ。親の不注意で、命を落とす子どもたちの不幸な事故もあるが、同情することもない勝手に死なせて置けばよいようなものもある。

例えば静岡県下田市白浜の白浜大浜海水浴場で、午後0時半ごろ、南東約50メートルの岩場(岩場というよりも高さ約1・5メートルの小石の上だ)から東京都豊島区西池袋の会社員、三吉正さん(35歳)が飛び込んで溺れた。彼は間もなく救助されたが水死した。県警下田署の調べでは、友人3人と海水浴に来ていて、正午過ぎから飛び込みを繰り返していたという。彼は朝から缶ビールなどを数杯飲んでいたらしい。彼が遊んでいた場所は飛び込み禁止の看板がありロープも張られていた、という。死ぬのは当たり前だ。酒をくらった間抜けというより他ない。バカでも分かるようにロープまで張られて禁止されている場所と、行為を自分から破っているのだ。おそらく彼は自殺でも望んでいたのだろう。

また別の場所では若い女性の滝つぼへの飛び込みによる死亡もあるようだ。普通滝つぼは内部で渦を巻き、巻き込まれると浮かぶのは不可能と言われている。誰でも知っている常識と思う以上、この女性も自殺志願者だったのだろうか。滝と聞いて思い浮かぶのは1903(明治36)年5月22日、日光華厳の滝へ投身自殺をした旧制第一高等学校生・藤村操(17歳)のことだ。大平洋戦争で死と向き合う年齢になったころ、彼が身を投げる前に傍らの木にナイフで刻んだ『巌頭之感』は疾うに諳(そら)んじていた。

 悠々なる哉天譲、
 遼々なる哉古今、
 五尺の小躯を以て此大をはからむとす、
 ホレーショ*の哲学竟(つい)に何等のオーソリチーを値するものぞ、
 万有の真相は唯一言にしてつくす、
 曰く、「不可解」我この恨みを懐いて煩悶終に死を決す。
 既に巌頭に立つに及んで、
 胸中何等の不安あるなし、
 始めて知る、
 大いなる悲観は大いなる楽観に一致するを。

*シェークスピアの「ハムレット」の中でハムレットがホレーショに言う「君なんかにはわからない事もあるんだ」と言うくだりで、俗物、俗人にはなかなか真実は見えて来ないもの、という例えで引き合いに出された。

秀才の頭脳とはどうなっているのだろうか。死の直前、17歳にして幅広い知識と豊富な語彙。

酒を飲んで海に飛び込むぼんくらの命などどうでもよいが、彼の死は惜しまれる。夏目漱石は「我が輩は猫である」の中で彼の事件に触れる一行を入れているが、後年漱石が鬱病になった一因とも言われる話がある。高等学校で彼のクラスの英語を担当していた漱石が、自殺直前の授業中に予習をしていなかった藤村を叱っていたという。

明日から8月だ。長雨で遅くなった水遊びは精々あと半月、毎年同じような無責任な親による子どもの被害はこれ以上起こらないように注意してほしいものだ。

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