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2006年7月 3日 (月)

学区と学校選択制度

毎日新聞(7/3)を見るまで迂闊なことに、日本の公立小・中学校で親や子供が行きたい学校が選べることを知らなかった。かといって何処にでも好きなところという訳でもないようだ。

1967年に仕事の都合で移り住んだ東京近郊の市は、当時市政を引いたばかりで、仕事からの帰りには、田圃では賑やかに食用蛙が大合奏をして迎えてくれるような、寄せ集めの人口がやっと7万人の名ばかりの村と呼ぶ方が相応しい田舎だった。翌年生まれた長男が小学校へ上がる時には、近くには通える小学校はまだ1校だけであった。地価の安いこともあって東京のベッドタウンとして驚くほどの急激な人口の流入があり、長男が2年生になった時には自宅により近いところに2つ目の小学校が建った。学区制の割り振りで2学期からは新しい方へ移ることになった。やっと友だちも出来、機嫌よく通っていたことで、期日を無視して従来の学校の方へ通わせていたが、市から喧しく指導が来て逆らうことも不可能になり、転校することになった。今では市の人口も30万人を超え、学校の数も増えている。勿論のことだが、蛙の大合唱もいまは聞きたくても田も畑も消えている。

いまでも学区制は厳しく存在しているものと思っていた。ところが学区域ごとにあらかじめ決められた指定校以外に学校を選んで入学できる『学校選択制度』があるという。00年度に東京都品川区が小学校で導入したのだという。04年度11月1日現在の文科省の調べでは、小・中学校がそれぞれ2校以上ある自治体のうち小学校8・8%、中学校11・1%が実施している。ただし、選択範囲は自治体ごとに異なり、一様ではない。
 ①隣接校に限り選べる
 ②自治体内で自由に選べる
 ③生徒数が減少し、存続が危ぶまれる学校が自治体全体から生徒を募集などする「小規模特認校」
などの施策が取られている。

一方、制度導入後、入学者が減り、極端に児童生徒数が減少した学校もある。マンションラッシュの都心部では児童の集中する地域がある反面、生徒集めをして最小限の生徒数の確保に努力する学校もある。東京の荒川区立第2日暮里小学校(吉野一平校長、児童数54人)は区が学校選択制を導入した03年度に「新入生ゼロ」を経験している。危機感を持った校長ら職員は次年度入学予定の自宅訪問をし、学校の良さを保護者らに訴えた。その年は14人が入学したが、各学年一クラスだ。職員たちは特色のある学校づくりをするために、ほぼ50名の全校生徒を10のグループに分けた。授業の始まる前に15分間、1〜6年生のグループごとに行う自習時間を設けてみた。副校長は「上級生が下級生をの面倒を見てやり、自信をつけている」「担任が子どもの変調によく気付いていると感じる。全校生徒が互いを知っていて職員とも気軽に話ができる」と話し、吉野校長は「小規模ならではの特色ある学校づくりを行って生徒数を増やしたい」と意気込んでいる。

以上見たように学区外の学校への入学・通学が認められることが多くなってきているが、大阪市や大阪府下などでは「しない させない 越境入学*」を掲げて、学区外入学.通学を従来どおり原則認めない方針の自治体もある。大阪市の教育委員会は越境入学防止啓発を行っている。
 越境入学は、法律に違反するだけではなく、教育の機会均等、人間尊重という教育本来の目標を歪めるものである。
 市では越境入学を防止するため、次のような措置を取っています、として次のように言う。
 ♦ 入学前に居住確認の調査を行い、保護者と子どもの実際の生活地域の学校への入学手続きを取る
 ♦ 現在通学中の子でも越境が明らかになった時点で、適正な学区へ転校させる

大阪では高層マンションの新築ラッシュで、小学生の人口増加が激しいため、越境取締りがますます厳しい状況が発生しているようだ。希望校の学区の不動産を購入・賃貸しただけでは認められず、入学前に家庭訪問があり、「冷蔵庫内・洗濯物置き場・浴室・光熱費請求書を見せて下さい」とまで言われるとか。冷蔵庫の中に家族全員分の食料があるか、洗濯物はあるか、浴室の使用感があるか、光熱費の消費なども調べられる。これを拒んでも「越境ではないと確定判断できず」と認定され、民事調停にかけても覆せずに諦めた人もいるほどだという。

【越境入学:学区域外入学のこと】本来通学すべき学区の公立の学校に行かず、別の学区の学校へ行くこと。同じ区内でも本来通うべき学区でなく、別の学区の小・中学校に行けばそれも、越境入学であるし、他区の小・中学校に行けば、当然それも越境入学となる。

学区制がスタートした当時から越境をさせたい親が考えた手段に「寄留」(実際に住んでいないのに、その地に住民票を移すことは、「住民基本台帳法」に抵触する違法行為となる)という手があるが、いざという時の健康保険や、扶養の問題、発覚した時の子への影響など考えればもともと違法行為はしないに越したことはない。

東京でも住居地域でなくなり、子どもが激減した中央区では、04年度から「越境通学に厳しい態度で臨む」とし、「職員の訪問調査などを必要に応じて行い、居住実態を厳しく確認する」とも明言している。

いずれにしてもこの学区制、学校選択制は自治体によって学区外入学、通学の許容については地域差が見られる状況だ。


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