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2006年7月 5日 (水)

慰安婦問題

アメリカの独立記念日、延期されていたスペースシャトルが打ち上げられたほぼ同時刻に、北朝鮮が発射したミサイルに関する報道で目を醒した。5発目、6発目はその後の朝食をとっている頃のことだった。
いずれも日本海に落ちているが、方向は日本に向けたものではない。ロシア南部のウラジオストックを抜けてアラスカ、果てはアメリカを意識したと考えてもいいだろう。今、日本政府も、メディアも上げて騒然としているが、(テレビが7発目を発射した、とたった今:p.m5:40報じた)騒ぐことはない。北朝鮮が核実験をしたという情報もないし、スカッドも、ノドンもテポドン(2)も核弾頭を積んだものではない筈だ。打ち上げ花火の域を出る物ではないと考える。

恐いのは北朝鮮の挑発に乗る対応だ。万景峰の半年間の入港禁止措置、送金禁止措置などはいいのだろうが、『日本にテポドンが落ちたら』と、仮説の話が始まり、仮想敵国としての恐怖を煽りたてる動きだ。民意操作の奥の手で、憲法改正、再軍備許容へと世論を導きでもしたらそれこそ大変なことになる。騒がないことが最良の対応だろう、と私は思う。

扠、閑話休題 
去る6月27日、埼玉県議会でのこと、質問に答えた上田清司知事の「慰安婦はいても、従軍慰安婦はいない」について、7/3日、あらためてコメント「いわゆる従軍慰安婦問題に関する私の考えについて」を出した。それによると、上田知事は、「慰安婦はいた。慰安所もあった。しかし、軍が徴用した従軍慰安婦はいたという証拠はないのです」と、従来の主張を繰り返し、強制連行を事実上認めた1993年の河野洋平官房長官(当時)の談話に対しても「背景に外交上の思惑が隠されている」として「耐え難い思いをされた女性の方々の心情を思い、あらためて深い憤りと悲しみを感じざるを得ない。女性の尊厳を踏むにじるこのようなことが、二度とあってはならない」とも述べている。

知事に対しては発言撤回や謝罪を求める抗議文が計18団体から寄せられている。また公聴広報課によると、発言に対しての県民から、賛成231件、反対67件 の反響が寄せられている。

知事が言う「従軍慰安婦がいたという証拠はない」は敗戦直後、証拠隠滅に狂奔した当時の為政者の行動を想像することは容易いことだ。反対に、「いなかった」という証拠も出しようがない。アメリカ軍によって撤収されるまでの敗戦直後数日間のものは、触れられて不利な軍事、軍略、外交など多くの機密書類の山は、夜をかけて焼却処分されているのだ。

ただここで従軍慰安婦がいても当然だろうと思われる明らかな証拠がある。それはポツダム宣言を受け入れた直後から国政を与る為政者たちが、占領軍の日本進駐を見越してアメリカ軍将兵の性の捌け口としての慰安所を全国に設置することを検討していたのだ。それは早くも敗戦の詔勅が出て3日の後のことだが、「占領軍の進駐時に合うように進駐軍将兵用慰安施設の設営を急げ」なる内務省通達が発令され、全国の警察に通達、設置を急がせたのだ。

そして27日には東京・大森で「小町園」が最初の慰安所を開業しているのだ。しかし、南方方面軍が進駐して来ると同時に性病を持ち込み、瞬く間に蔓延を広め、わずか3ヶ月で閉鎖に追い込まれることになった経過まで分かっているのだ。「良家の子女を守るため」とした慰安所は、芸妓、公娼、私娼妓、女給、常習淫売者らを優先的に充足させ、足りない分には一般の募集まで行った事実が各地の警察の記録で保管されているのだ。当時の戦後の食べるにも事欠いた混乱した時代、応募せざるを得なかった家庭の子女を売春に走らせる結果を招いたとしても不思議ではない。それでも全国のアメリカ軍の日本子女への強姦事件は後を絶たず発生し続けたのが実態だ。(このことは敗戦後60年以上を経過した今日でも、沖縄でアメリカ軍人のレイプ事件が起こっていることを見ても理解出来るだろう)

戦時の日本軍人の性欲の処理の捌け口に、軍のある所、軍人のいる所に慰安設備があることは当然必要として存在していたとする方が自然のことだ。それも為政者の思惑で国是として警察権力を用いて設けられたとしても少しも不自然ではない。それが日本人の子女であっても、徴用された朝鮮人や中国人であってもだ。

埼玉県知事の言うように「慰安婦はいても従軍慰安婦はいない」、また従軍という言葉は後に作られたものだという説もあるようだが、同じ言葉を使った職業は戦時中他にも存在する。曰く、従軍画家、従軍記者、従軍看護婦などだ。不利な文書を隠滅する風習は、今も昔も日本の為政者の得意とするところだけに、真実は見えにくいが捜せば見つかる資料があるのは明確だ。


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