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2006年7月14日 (金)

高校生9人死傷に懲役16年

昨年10月17日、横浜市都筑区の私立サレジオ学院北門前で、下校中の高校生の列に乗用車(毎日新聞はスポーツカー)が突っ込み、当時高校1年の男子生徒2人を死亡させ、5人に右足切断などの重傷、2人に軽傷を負わせた事故で、危険運転致死傷罪に問われていた元警備員、小泉祐一被告(24)に対し、横浜地裁(栗田健一裁判長)は13日、懲役16年(求刑20年)を言い渡した。小泉被告側は判決を不服として即日控訴した。

判決によると、被告の運転する乗用車はサレジオ学院北門前で、右カーブする制限速度40キロの市道を時速100キロ以上で走行。レーシングカーのように高速でカーブを曲がる『アウト・イン・アウト』と呼ばれる危険な走行をしていた、と認定した。そのためカーブを曲がりきれずに高校生を次々に跳ねたものである。

栗田裁判長は、車のタイヤ痕や破損状況などから、時速100〜120キロで走行していたと認定し、弁護側の時速65キロだったとする主張を退けたものである。その上で車の「進行を制御することが困難な速度で走らせ、進路外へ横滑りしながら歩道上に暴走させた」と指摘した。

検察側の求刑は同罪の法廷最高刑だったが、裁判長は、被告が被害者らに謝罪の言葉すら述べていないことを批判した上で、量刑判断について「他の事案との均衡をふまえ、最上限の懲役刑は躊躇を覚えざるをえない」と述べている。

判決後、会見した被害者の家族は「被告が反省しているとは思えない。判決では悪質性は認めてもらえたが、求刑どおりの判決を下してもらえなかったのは残念。何人死ねば最高刑になるのか、減軽された4年分とは何なのか、具体的に説明がほしかった」と述べている。

被害者の家族ならずとも、将来のある少年たち2人の命を奪い多くに傷を負わせた事件だ。被告が言う「65キロだった」にしても制限速度は40キロの公道だ。今は余り口にされなくなったが、車の事故が悲惨なために、称して「動く凶器」と言われた時があった。横浜のこの事故は将にこれだ。公道でサーキットさながらの暴走をし、道交法を無視した殺傷事件ともいうべきものだ。被告の被害者らへの謝罪の言葉のないことには驚く他ないが、さらには小泉被告は懲役16年の判決を不服として、即日控訴したという。自分のしたことの罪の重さを全く理解できていない。裁判長も言うように、「危険運転行為について故意であったことは明らか」と断じたのなら、なぜ、求刑どおりの20年が判決とならなかったのか。遺族の嘆く「16年は短かすぎる」というのも頷ける。

次から次に優れた性能を備えた車が生産される。ただ狭い国土の日本ではスポーツカーを性能どおりに走らせる公道はない。スポーツカーを購入する側でもそのことを知って手に入れる筈だ。そうであるならば、公道を走らせるときには細心の注意で運転するように心がけることが大切なことだ。反省のない被告は16年経ってまた、戻ってくる。

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コメント

16年経ちました。
未だに暴走車両の事故は後を絶ちません。
運転をしている人間だけでなく、この状況を放置している警察や役人に心底腹が立ちます。

投稿: | 2021年9月29日 (水) 21時12分

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