くじら
カリブ海の島国セントクリストファー・ネビスで開かれていた国際捕鯨委員会(IWC)総会は18日、82年に決定した商業捕鯨一時禁止(モラトリアム)は「もはや必要ない」として、商業捕鯨再開を支持する内容の宣言を採択した。カリブ海の魚を捕獲することで生活する人たちの、くじらが増え過ぎて、その餌となる小魚が激減し、食料確保が難しく、また漁業が成り立たない、とする意見も強く、再開に反対の英・米・オーストラリア等32カ国を一票上回る33カ国の賛成を得て決定した。
しかし、宣言に拘束力はなく、商業捕鯨再開という重要決定には3/4以上の賛成が必要であるため、実際の再開は困難とみられるが、日本の代表団としては「大きな前進」と評価している。今回の「セントキッツ・アンド・ネビス宣言」は、同国や日本など捕鯨支持派30カ国の共同提案で、日本の主張を色濃く反映した内容になっている。日本の提案の根拠になったものは、モラトリアムは科学的委員会の助言なく決定したもので、IWCが94年に、持続可能な捕鯨のための捕獲枠の計算方法、改訂管理方式(RMP)を決定したものであることなどを上げ、「一時的な手段であるモラトリアムは、もはや必要ない」とした。
当然、宣言採択に反捕鯨国側は一斉に反発した。今後、商業捕鯨の再開阻止に一層結束を固めるとみられ、IWCの将来は波瀾含みとなった。
今回の商業捕鯨再開を支持する宣言が採択されたのは、(鯨資源の)持続的利用の陣営にカンボジアとマーシャル諸島が加わって36カ国となり、反捕鯨の32カ国を上回った結果だが、実際の投票では棄権や欠席があり、1票の差となった。しかし、IWCはもともとは捕鯨国の集まりで、鯨資源の乱獲を防ぎ、長期的に利用するために締結された国際捕鯨取締条約に基づいて1948年に設立され、日本は51年に加盟した経過がある。
今回反対の先鋒にあった英.米・オーストラリアは1948年のIWC設立以前の捕鯨大国であり、大西洋のクジラを絶滅状態にしてしまった英国、後発ながら英国を凌ぐ捕鯨船団を抱えて手を広げたアメリカ、英米の捕鯨基地となっていたオーストラリアは過去の罪滅ぼしでもしているつもりだろうか。彼らがクジラを殺したのは、石油以前の燃料を獲得するためだけの殺戮が目的であった。日本人のように食料に、生活雑貨に、勿論燃料に、化粧品に、民芸品にと骨や髯まで捨てるところなく活用する知恵を待たない民族に殺されて来たのが過去の捕鯨だった。
商業捕鯨とは別に、日本は87年から南極海で、94年からは北西大平洋で、02年からは日本の沿岸でも鯨資源の目視と調査捕鯨により調査を続けて来た結果、シロナガスクジラを除いて鯨資源は回復基調にあることが明らかになった。その中でも特に南極海のミンククジラは76万頭に達し、IWC科学委員会は「毎年2000頭の捕獲を100年続けても資源への悪影響はない」としている。
しかしながらこの先、現実問題IWCで3/4以上の賛成を得られる可能性は殆どないにも拘わらず、商業捕鯨の再開を求め続ける日本の狙いは大きく2つあって、
♦ IWCの議論を鯨資源の管理を話し合う本来の場に戻したい
♦ それぞれの国の食文化を、一方的な価値観で押し付けて否定されることへの不満
である。
石油で鯨の代わりが足りるようになったから、鯨は利口な動物だし、鯨が可哀想だから、私たちの国では食べる習慣がないから、もう捕獲するのはいけない、良くないことだ、とは余りに勝手な言い分とは思いませんか。
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