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2006年6月22日 (木)

久し振りの名前

昨日は夏至の日、北半球では1年で昼が最も長いとされる日だが、このところ天候不順のせいで、日中からどんよりしていて昼の長さを感じられないままに過ごしてしまった。

今朝の新聞で、何十年ぶりかの活字(カナ文字)が目に飛び込んで来た。小さな記事だが敗戦直後に手にとって読んだB5版サイズの総合誌「リーダーズ・ダイジェスト」の名前だ。目に触れなくなって久しく、記憶に残るのはアメリカ文化(出版社か)が残して行った悪影響だけになっていたものだ。総合誌と銘打つだけあって掲載記事は幅広く、それがゆえに、底が浅く、何でも手っ取り早く知識として詰め込むことのできる手引書のようなものであった。難しい学術論文から文学作品や町の話題まで、とにかく簡単に誰でも読んだ後、他人に物知り顔に語って聞かせるのも可能な本の名のとおりの、ダイジェスト振りであった。

当然、学者と呼ばれる人たちでも学術論文の本文には目を通すこともしないで気楽に批評を加えたり、こき下ろしたりすることも流行った。長篇の文学作品など格好の題材になっていた。多分、当時の読者の中には知ったかぶりの話題にした文学作品は切りがないほどあるだろう。それほど総てを切り取り、エッセンスという言葉で纏め、小賢(こざか)しく表現された内容を多用した知識人も多くいる筈だ。

おっと、自分自身の説明が後回しになったが、アメリカ発(1922年発刊、現在でも国内だけで1250万部、4400万人の読者を抱え、アメリカ以外でも世界60カ国、19カ国語に翻訳されている)で、英語排斥時代の少年に、英文が読めるはずはない。当時(1946〜86年)はちゃんと日本語に翻訳されたものが売られていたのだ。昨日までの敵国であれ、カルチャーショックは興味に変わり、小遣いをもたない身の辛さは裕福な友人の読破後を借りてむさぼるように1、2年の間はページを繰っていた。

リーダーズ・ダイジェスト日本語版は1986(昭和61)年の2月号で終焉を迎えている。休刊直前でも発行部数は45万部を誇っていた総合誌だが、1975年頃から日本のオリジナル記事を3〜4割り掲載するようになり、続いて契約読者層を多数抱えていたことを利用して、さまざまな商品の通信販売に7割からの業務を充てるようになる。本来の雑誌出版の本業に力を入れず、社員の志気が低く、外資系会社の高コスト体質とくれば潰れるのは当然のような終末を迎えて潰れて行った。この後、アメリカ本社はこれに懲りて「日本には決して子会社を置かない」との方針のようだ。

今朝の新聞記事はそのリーダーズダイジェストが20日、世界の主要都市の市民の「親切度」に関する調査をまとめたものだ。「慌ただしい」「競争が激しい」といったイメージの強いニューヨーク市民が、予想に反して最も親切と判定される結果がでたようだ。
 ♦建物に入る時に先行した人がドアを開けて待っていてくれるか
 ♦書類を落とした際、誰かが拾ってくれるか
 ♦買い物の後に店員が謝意を伝えるか
といったゴミのようなことを、同記者が実際に確認したものらしい。その結果、
 1位 ニューヨーク(80%の市民、店員が合格)
 2位 チューリヒ・スイス(同じく77%)
 3位 トロント・カナダ(同じく70%) だそうな。
一方、アジア諸都市の結果は芳しくなく、日本の都市は調査の対象にもなっていない。20年前に支社を潰した腹いせなのかな。

リーダーズダイジェストから学び、今では日本文化ともいえるダイジェストを一層単純化した究極「ワンフレーズ」。古くは‘ベビーブーム’から続く‘団塊’、新しいところでは‘チルドレン’など。政治問題だけではなく、総ての物事や事象が面白可笑しく一言で表現され、メディアは繰り返しテレビで流し、活字に載せる。メディアに操作される恐ろしさは、この1世紀、日本人なら誰でも味わったはずなのに、マスメディアに携わる後輩たちはそこから何も学んではいないようだ。

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