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2006年6月23日 (金)

特別な1日

今日を特別な1日、と書いて何を思い浮かべるか。
新聞は何処を開いても賑やかにブラジルに負けた弱い国の写真で一杯だ。日本を出る前から興味もなく、期待も奇跡も信じない新聞購読者には紙代、印刷代を払うのが癪に触る。オリンピックと同じマスコミと共に踊ったファンのお祭り騒ぎがやっと沈静化する、と思うとほっとする。ばか騒ぎの尺度は度を超している。何処の外国人プレスも大抵は4、5人。それに比べ、日本人プレスは烏合の衆が100人近くもドイツ入りしていたとか。これであの絶叫型の放送を聞かなくて済むのが助かる。

こんなばかな騒ぎを言いたい訳ではない、今日の特別な日の意味は、『沖縄の慰霊の日』だからだ。今から半世紀以上も前、1945(昭和20)年6月23日、沖縄を守備していた日本軍の組織的戦闘が終末を迎えた日なのだ。島を取り巻くアメリカ海軍連合艦隊の艦砲射撃、上陸して来た部隊の銃砲火に逃げ惑い、日本軍以外の民間人、9万4000人の人たちが亡くなった日であり、それから15年後の同じ日6月23日、新日米安保条約が発効した日なのだ。毬を蹴って遊んでいる日の写真どころではない筈だ。だが、毎日新聞は写真1葉の掲載もない小さな記事を載せただけだ。

関連した写真はある。日本軍が沖縄の島民を見捨てた日にも学徒動員の‘ひめゆり’学徒隊にいた宮城 清子さんの顔写真が1葉ある。現在80歳になるかの女には『基地が消えない限り 沖縄の戦後は来ない』と言う。
 包帯の下で、音を立てながら患者の肉に群れるウジ。骨を切断する際の、のこぎりのきしむ音。19歳の時、動員され、南風原(はえばる)陸軍病院壕で負傷兵を看護した時の話だ。この忌わしい記憶は今でも夢に出るという。米軍が移設予定地にしている普天間飛行場の建設反対に関わり続ける彼女は「命を奪い、尊厳を奪い、海までも奪おうというのか。戦後も基地の重圧を背負わされた私達に、国と内地はなお負担を迫ろうとするのか」、語り終えた口は、震えていた。

もう1つ別の記事。同じく戦争体験をしてきた世代(76歳男性)の語りだ。沖縄で戦没者の遺骨を捜し続ける男性に関連して。敗戦から60年(私もそうだが、この世代は終戦と言う言葉を嫌う、責任を見のがしている語感を伴うからだ。)今でも「鉄かぶとをかぶったままの頭蓋骨。火炎放射器で褐色に染まった岩陰で折り重なる遺体」のこと、今なお4000人に余る未発見の遺体があるということ。そして、大戦の後始末もできない為政者が、平和憲法や、教育基本法などを改悪し、「海外で戦争のできる国」にしようとしていることは許せないことだと。

沖縄県知事の平和宣言に続いて、小泉のあいさつは、‘終戦’から61年の年月が流れた現在も、沖縄の人たちの決して癒えることのない心の痛みは消えない。私達は二度と戦争することのないよう、平和を大切に守っていかなければならない。沖縄は今も米軍施設が集中し、県民生活の負担となっている。政府は負担軽減のために米国政府と協議を重ねて来た。今後とも地元・沖縄の理解と協力を得られるように協議をしていく。今日の日本の平和と繁栄は、戦没者の尊い犠牲の上に築かれている。わが国は、再び戦争の惨禍を繰り返してはならないとの不戦の誓いを堅持し、国際社会の一員として世界平和の確立に全力を尽くす。そして、ご遺族のかたがたの今後の御多幸を心からお祈り申し上げる、と結ぶ。

先の女性、男性に比べ、なんと白々しいことか、あちらの基地をこちらに移す、日本から出て行く費用を何から何まで面倒を見てやる。まだ土の下に眠る多くの遺体の集骨もせず、頂上から命令して国民を死に追いやった戦犯の居座る靖国に、平然と出かける。あれもそれぞれ、これもぞれぞれ、と宣(のたま)って。

悲しいことに同じ日、この小泉の靖国参拝(2001年8月)を巡り、憲法判決を求めた原告の訴えを、最高裁判決は「門前払い」にした。今までにも幾度となく大阪、松山、福岡、東京の地裁、高裁で審議され、違憲をだした判決もあるが、今回の最高裁の判決は違憲の疑いを残したままだ。ベテラン裁判官は「社会的影響が大きすぎるため、最高裁が靖国問題で本来不要な憲法判断を示すのは困難だ」との声もあるようだ。

靖国問題になると取り上げるが、麻生太郎が22日、自民党の「アジア戦略研究会」で靖国問題について「国がきちんとやるべきまつりごとを一宗教法人に渡していたのが問題だ。靖国神社も真剣に考えなければならない」と述べて、同神社を「非法人化」した上でA級戦犯合祀問題を解決し、政府が維持・管理に関与するべきだとの考えを改めて表明した。

(参照) 「1945(昭和20)年 8月」(2005/8/16)

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