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2006年6月27日 (火)

それでいいの?

働く女性の育児相談、上田理恵子のサポートします。
以前にも取り上げたことがある、この人の回答への疑問を再び。相談の内容は
「1歳8ヶ月になる男の子を育児所に預けて、職場復帰した女性からの相談。夕方に迎えに行くと、とても嬉しそうな顔をしますが、急に甘えてぐずり出します。朝の別れ際にも顔をしかめて耐えているように見えます。こんなに小さい時から我慢をさせて、成長や性格形成に影響が出ないか心配です、」というもの。

回答者は次のように返事する。《私の場合もそうでした。いつも後ろ髪を引かれる思いでしたが、気持ちを切り替え、出勤の道を急いだものです。ある日、あまりにも大泣きしたので「今日は会社を休もう」と、保育所に引き返しました。するとさっきまで泣いていた長男は、友だちと元気いっぱいの笑顔で走り回っているではありませんか。子どもも気持ちを切り替えて、楽しく過ごしているんだと思い、結局会社に向かいました。

他にも病気の子どもを自宅で預かるサービスをしているが、お母さんが出勤する時は子どもたちは大泣きしますが、少し時間が経つと笑顔を見せてくれます。スタッフはお母さんにはかないませんが、時には優しく、時には厳しく愛情いっぱいに接しています。子ども一人一人の発達や個性を考慮するのは、我々も保育士もきっといっしょです。スタッフを信頼し、安心して出かけて下さい。お母さんが不安な気持ちでいると、子どもたちも不安になってしまうものです。保育所に迎えに行ったら、たくさん抱きしめてあげましょう。ぐずるのは、しっかり甘えを出させている証拠です。「甘えてくれるんだ。ありがとう」と受け止めてあげてください》。が回答。

まだまだ乳飲み子の1歳8ヶ月、懐に抱かれて母親の肌に触れる時期だ、この子の母親は母乳だろうか哺乳壜だろうか。それとも卒乳しての復帰だろうか、無理矢理の断乳だろうか。相談して来た女性は職場復帰したのはいいが、他人に預ける育児に不安を抱えての相談だ。「成長や性格形成に影響が出ないか心配です」と。それを自分のことを例に上げて他人の育児に押し付ける。どんなに泣叫んでも知らぬ顔がよろしい、と。あなたの子と相談者の子は受け継いだDNAも違います。何処の子も同じではないはずです。何処の子も同じなら誰も苦労はしません。あなたがそうであったから、どこの子もあなたの子と同じようになるものではありません。相談者の心配は正当です。前にも書いたことだが、日本では『三つ子の魂百まで』、西洋でも『揺り籠で学んだことは墓場まで忘れない』、と言われるように(バカな神話、と蔑む人もいますが、私は真実だと思います)動物の子が、人となる過程で形成されていく人間形成の1番大事な時期なのです。欲しがればおっぱいも2歳になっても3歳になっても上げなさい、(昔の育児は皆そうだった。年子を生めば両の乳房が塞がった)1時期、1歳程度での断乳をすすめた時もあったようだが、最近ではWHOでも3歳位いまで飲ませましょう、とさえすすめている。

それを回答者は、子どもは泣きじゃくっていてもけろりと忘れ、お友だちと仲良く遊んでいます、という。それがそっくり母親の愛情の断絶、とは取らないのだ。保育士が、どんなに可愛がろうが、叱ろうが、母親ではあり得ないのです。

女性が働くことを全て“善”として諸施策が施されていく。働くのに邪魔になるからと言って、子どもを預ける一時預かり所が増えれば増えるだけ、与えられる愛情が希薄になる子を増やすだけだ。子供達の家庭は寝るだけの家となる。親と遊ぶ時間は当然短くなるか無くなる。迎えに行った時だけ甘えさせなさい、ぐずらせなさい、では猫の仔と変わりません。これでは甘えさせることが躾になってしまいます。今の世の中、このような親子関係が生んだ子どもで溢れ返っています。そうです、我慢することを教えられていない子、本気で叱ってもらったことのない子、1対1の会話(スキンシップ)が無いから人の話が聞けない子、結果は我がままですぐにキレる子になっていく。

今回の回答は、本当に、それで良いの?

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