« 自分を見捨てた国 | トップページ | 最後の顔 »

2006年5月25日 (木)

心の傷

横浜市港南町の小森美登里さん(49)は、県立高校1年生だった娘の香澄さん(当時15)をいじめで亡くした。「アトピーが汚い」と言葉や態度によるいじめだった。「優しい心が一番大切だよ。その心を持っていないあの子たちの方がかわいそうなんだ」と、母(小森さん)に呟いた4日後の98年7月25日、自宅トイレで、制服のネクタイで首を吊った。

「娘の香澄は、いじめによって心を追いつめられて亡くなりました。いじめを受けるとわかっている学校へ向かうとき、どんなに辛かっただろうと今、想像しています。」「香澄を失い、香澄の体が焼かれてしまう、もう二度と抱きしめることはできない・・・・。人生で、あの時以上の苦しみはもうないと思います。」(中略)

「いじめられる側にも問題がある」と言いますが、人に傷つけれても仕方がない理由を持って生まれた人はいないはずです。人を傷つけても良い権利を持って生まれた人もいません。」「人はみんな違います。違うということは大切なことです。一人一人が違うことを認め合った時、人を傷つけることはなくなるのではないでしょうか」「人は一人では生きていけません。人とつながりながら生きていく時、何よりも大切なものが「優しい心」なのではないでしょうか」。

上は小森さんが、いじめをなくし優しい心を育てようと、全国の学校で講演活動を続けている中の、4月14日、横浜市南区私立関東学院の礼拝堂での公園の概要だ。

彼女は娘を亡くしてから夫の新一郎氏らと非営利組織(NPO)を設立。03年3月にNPOの認可を受けた。亡くなった香澄さんの「優しい心が一番大切だよ」から命名したのが「ジェントルハートプロジェクト」活動を始めて3年半が経つ、訪れた学校は200校以上、約7万人が講演を聞いている。子どもたちからは様々な感想が届いている。

何か違う気がする。第一、「優しい心」を『ジェントルハート』などと異様な言葉に言い換える必要がどこにあるのか。日本語のこれ以上ない「心」を映した「優しい」という語。わざわざカタカナ語にして世間を衒(てら)った“きれいごと”にしようとの魂胆さえ見え隠れする。こんなに子を失って悲しんでいる母を哀れにおぼしめせ、と。子どもたちは涙流して聞く子もいるだろう、聞きながらその時点では反省する子もいるだろう。文章にして誓う子もいるだろう。しかし、卑近な例になるが、私の少年時代、学校にはいろんな‘えらい人たち’がお話を垂れに来ていた。涙を流すような話こそなかったが、何一つ記憶に残る話を聞いた覚えがない。突然、はっとして聞き耳を立てたりしたが、それは‘えらい人’が言葉を知らないで間違って口にしたことぐらいだ。未だに当時の中学1年生の耳に飛び込んだ「はんしょう」の声が響く。誰でも知っている「反省」だ。それこそ何かを反省せよ、とのお言葉のはずだった。えっ、と一瞬目を剥いて壇上のおっさんを眺めたのを覚えている。聞き違いじゃない、2度3度繰り返した。鮮烈な記憶だ。それぐらいだろうか、小中学校での偉い人の話なんてものは。

それと話す相手が違う気がする。話さなければならないのはいじめをする子を育てた親に向かってだろう。子どもたちは、一時のその場の雰囲気の中で、話を理解した気になり、集団心理の中で同情し、私はもうやらないでおこう、おれももう止そう、とは思っても、一夜明ければ元の木阿弥になるのがおちだろう。しかし、本当にいじめを止めさせるには、いじめをする子の親たちがそれぞれに、自分たちの子を他人の心の痛みの分かる子に育てなければ、なくなるものではない。

親が仕事が忙しい、会社がある、で逃げている現状では、決していじめはなくならない。いつも言うことだが、いじめは学校教育とは何も関係ないし、先生の責任でも全くない。善悪の判断も躾けられない育児責任、他人の心の痛みも教えられない教育責任を放棄した、親の責任だ。

|

« 自分を見捨てた国 | トップページ | 最後の顔 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 心の傷:

» 痛みの記憶 [皆で幸せになろう♪]
今までに経験した様々な痛みの中で どれが一番痛かったかな? 考えてみた。 体の痛みは、その時は確かに耐えがたい痛みだ。 でも、時間が経つと案外忘れることが出来る。 それに比べて、こころの痛みは簡単に思い出すことが出来る。 だから、こころを病んでしまったり 心を閉ざしてしまう人が多いのだろうね。 確かに辛いかも知れない。 こころを閉ざすことは、その時の痛みから逃れられるかも知れないけど 実は返って引きずることになってしまう。 一生逃げ続... [続きを読む]

受信: 2006年5月26日 (金) 08時56分

« 自分を見捨てた国 | トップページ | 最後の顔 »