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2006年4月 3日 (月)

住職になりませんか

3/27日、テレビが後継者に困る新潟市の日蓮宗・妙光寺(小川英爾住職・53歳)が住職の一般公募を呼び掛けたことを報じた。

同寺は1989年、少子化、核家族化が進んで行く時代に合った新しい墓の形として、祭祀を継承する子孫がいなくてもいい、新しい永代供養墓を全国に魁けて始めた住職の寺である。これまでの寺は世襲か縁故で後継者が決められていたのが常識であった。今回の試みは1989年以降の脱「葬式仏教」を掲げた新しい時代の寺院作りの基盤が整ったことにあるようだ。

そのような志を継げるのは、先入観のない教団の外部にある人材と見込んだためだ。募集の対象は25歳〜30歳ぐらいまでの大学卒で実社会での経験がある人で、性別や国籍を問わないとしている。3、4人を採用し、3ヶ月間の研修、候補生として2人程度を本採用。その後、仕事や実務、他所の寺での研修など凡そ3年間決められたプログラムを終えて6、7年後に1人が副住職につく計画である。残りの候補生たちは寺に残り、寺務職につくか、他所の寺の住職を目指してなお研修を続けることになる。研修中は月3万円の研修費、候補生になると給与として月額12万円が出る。

新しい仏教の形を唱える町田宗鳳・東京外語大教授(比較宗教学)は「宗教の世界ではモチベーションが大事で、それが僧侶の資質を決定づける。一方で世襲などで住職になる場合は知識も社会体験も少な過ぎて信仰の受け皿になり得なかった。この公募で面白い人材が集まれば全国に広がる可能性がある。日本仏教改革野」切っ掛けになって欲しい」と期待している。

全国に7万5000からあるお寺。(因に神社は凡そ13万5000)寺に生まれればそのまま僧籍に入ってきた今までの後継者作りでは、大した努力もしなくてよい結果の「坊主まる儲け」なる陰口も出る背景となっていたのは事実だろう。寺によっては檀家との結びつきに苦し紛れに寺をコンサート・ステージにしてみたりして、信仰心の薄れた現在人の心を引き止める方法を模索してきた。冠婚葬祭以外は見向きもしなくなった現代人、寺は葬式とだけ深く結びつく。

日本に仏教を根付かせたいにしえの仏教びとたちが現在の日本のお寺を見れば何と云うだろうか。仏でもいい神でもいい小銭を持ってお正月行事の初詣にだけは人は群がる。お賽銭を投げるのは仏にか神にか。

日本の心の‘もったいない’を外国人から教えられている現在、ひょっとすると‘仏の心’も青い目のお坊さんから教えを受ける時代が来ることになるかも知れない。それも空しく昔ここはとっても栄えたお寺という仏教寺院だった、と過去の遺跡としてだけ残ることになるかも知れない。妙光寺の住職の試みが成功することに期待するのみか。

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