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2006年4月25日 (火)

銀座ぶらり

4月15日夜、パソコンの故障が発生してから10日経つ。
年金生活とは不便なもの。まだ車を利用するのに無理を感じないため、税金、維持費が重なる。重量税、任意保険に続いて7月には車検が待っている。検討中のパソコンの新機種への買い換えは到底無理、とした。秋葉原へも出掛けた、銀座のマックストアにも顔を出してきた。高級機種は別として、購入可能な予算内では従来構成していたクラシック環境が構築可能な機種がない。すでにMac・OS9は過去のものになっている。しかし、私にはOS Xよりも使い勝手がよかった。どうしてもクラシック環境を復活させたい。

中古か修理かになった。中古の保証は部品は90日、本体は別料金を納めて2年。それでもほぼ8万円になる。決めた、修理することに。27日にアップルへ修理依頼する。約一週間で戻って来る予定。

秋葉、銀座へ出掛けて目についた風景。天候も良かった土曜日。子育てに励む父親の家庭サービスが目立っていた。銀座の街を乳母車を押して颯爽と闊歩するお母さんとも何人もすれ違う。かと思うと、お父さんの胸に抱かれて(腕じゃない)“ねんのこ”の中で居心地よく守られている赤ちゃん。私自身の子育てで、自分の腕に抱いて歩いたことを書いた(3/22)が、今時のお父さんたちは、私には恥ずかしくて纏えなかった“ねんねこ”(今風にはスリング、或いはベビースリングと呼ばれている)で抱いてだ。アメリカ風に子どもはお父さんに背を向けた状態でスリングに腰掛けていたり、目を会わせられる向い合せであったりするが、夫婦連れ立っての散歩か、買物かでお出かけだ。こう見てみると、世の男性諸君、結構家庭サービスには勤めているらしい。

海外旅行で仕入れたものかと思っていた買い物袋、今まで何度も見かけた‘Harrods’のロゴ入りだ、何と云うことない三越で幾らでも売っているものだった。ブランドに弱い日本女性、CCの目立つロゴのついたカバンもそうだが、デパートやメーカーの宣伝をするのが余ほど嬉しいのだろう。昔懐かしい山野楽器店、中の様子が一変している。所狭しと並んでいたLPレコードが全く見えない。時代の移り変わり以上に己の時代錯誤に驚愕することになった。やはり銀座はモガ、モボ(モダンガール、モダンボーイ)の昔から若者の来る街のようだ。

アリダ・ヴァリ(伊・女優)が84歳で世を去った。ヴィスコンティ監督が、出自の世界、貴族の没落を描き続けて作品を作ったが、その中の一つ、『愛の嵐』(1954年)*で年若い青年将校に捨てられて、独り夜の街なかを狂気に取り憑かれたような声を絞り出して消えて行くシーンは、寒気すら感じさせる鬼気迫る名シーンだった。若い頃のイギリス映画「第三の男」(1949年)で初めて接した。麻薬を売る恋人の逮捕に協力したアメリカの通俗作家が、彼女の好意を期待して待つ前を、カメラがロングで引いた道の向こうから、コートを纏った彼女は徐々に大きくゆっくりと近づき、男の前をちらとも見ることなく無表情に取り過ぎて行く。その後「かくも長き不在」(1960年)で探し当てた男が戦場の恐怖から記憶を失った夫だったが、その男との触れ合うことのできない心のすれ違いの交流を味わう女を演じた。イタリアを旅行するとガイドは何処かで必ずヴィスコンティの「ベニスに死す」に触れるが、男色を臭わすこの映画、私は好みではない。それに比べると、ノイシュバンシュタイン城を建て、ワーグナーとも関係の深かった「ルートヴィッヒ(神々の黄昏)」(1972年)や、「山猫」「家族の肖像」がずっと面白かった。それにしても当時の映画はどれも面白かった。現在では特にアメリカ映画など、CGで拵えた紙芝居の域を出ない駄作ぞろいだ。

*恥ずかしいミスを訂正(5/4)
アリダ・ヴァリの出演作、『夏の嵐』を有ろうことか、その後観たもう一つのイタリア映画、ナチズムを追求した女流監督の『愛の嵐』と題名を取り違えていた。アリダ・ヴァリを好きだったから、内容の取り違えをしなかっただけ耄碌も軽い程度、と、ご勘弁を。平身低頭、低頭。

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  4月22日にアリダ・ヴァリが亡くなりました。大好きな女優さんの一人だったので大変遅くなりましたが、やはり彼女について書いておこうと思います。代表作は何といっても「第三の男」。あの長い長い並木道、傍らで待つジョセフ・コットンに一瞥も返さず毅然として去っ...... [続きを読む]

受信: 2006年5月 2日 (火) 22時07分

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