春・桜・酒
プレヤーに挟まれた水栽培のヒヤシンス
10畳のリスニングルームは1日じゅう馥郁とした香りに包まれている
今年になって初めて花を開かせたローズマリー
昨日の日本列島は異常気象の影響を受けて竜巻きや突風もまじり、各地に思わぬ被害を及ぼした。今日も予想は荒れると報じたが、有り難いことに意外なほどの好天に恵まれた。上野の桜は満開、酒飲みには底冷えの寒い夜桜見物になっただろう。土曜、日曜日は朝から家族連れの賑わいに混じって夜を待つ宴席の確保に新入社員、大学の新入りが目の色変えて陣取りに励むことと思う。
期が変わるといえばテレビが分かりやすい。このところ毎日のように2時間、3時間の特別番組がならび、夜は各局とも娯楽番組の花盛りだ。本当にデジタル時代になってまでも1億総白痴化を目指して努力しているように見える。ドタバタ漫才、会話の代わりに訳もない身体芸、それでも少しは関西漫才は健在だが。基礎の発声訓練もしないでぽっと出て来る幼稚な歌い手、常識を持ち合わせない芸人に気持ちの悪いおかまたち。
本論に入ろう。毎日新聞(3/24)に「一気飲み」の強要でわが子を亡くした親たちが、入学シーズンを前に「遺族をもう出さないで」と訴えている。静岡県富士市の石谷師子さん(62)は95年6月、大学1年生だった直之さん(当時21歳)を亡くした。「11年経った今も、1日前のように思い出すんです」「誰もがアルコール強要の被害者にも加害者にもなりうることを知って欲しい」という。彼は旅行サークルの合宿中に焼酎0.9㍑を一気飲みさせられ、急性アルコール中毒を起こした。また、96年、大学入学直後の長男丈祐さん(当時20歳)を新入生歓迎コンパでの飲酒強要で亡くした千葉県我孫子市の平賀之朋さん(63)は「今も、悲しい、悔しい、苦しい」と声を詰まらせたとある。
そもそも一気飲みは1985年ごろ、慶応義塾大学の体育会系の「イッキイッキ」が始まりと見られ、この年の流行語大賞を受賞したほどの現象にもなった。ところが急性アルコール中毒で死人が出る騒動が起こったことで注目を浴び、徐々に下火にはなっているが、上記のように10年以上も先輩風をふかすバカや阿呆な上司の犠牲は後を断たずに続いていたのだ。その後減って明らかになった死者はここ5年間で4人と報告されている。
日本人は遺伝的に下戸(アルコールの解毒能力が弱く、急性アルコール中毒に陥り易い人)が多く、約45%程度の人がいわゆる下戸、約5%の人は体質的に一切アルコールを受け付けないと云われている。これらの人に無理強いすることは「殺人行為に等しく、*アルコールハラスメントに関する最も深刻な問題となる。
【アルコールハラスメント】通称 アルハラというらしい。
何だかワーグナーの楽劇「ニーベルングの指輪」のワルハラ城と聞き違えて変な感じがするが、簡単に云えば
飲酒の強要
一気飲ませ
意図的な酔い潰し
飲めない人への配慮を欠くこと
酔った上での迷惑行為
などのアルコール飲料に絡む嫌がらせ全般を指す言葉で、社会的トラブルを含んでいるものである。
現役で合格し、大学生になれた秀才の年齢は20歳にはなっていない筈だ。ただ大学生になれたことで成人したと勘違いし、飲むこともまた、法律違反になる。飲ませる方も飲む方も忘れてはならない法律の壁だ。忘れたでは済まない罰が待っている。成人でも同じことだ。若しも無理強いして死なせてしまえば障害致死罪、或いは障害現場助勢容疑(罪)になる。
日本においては『酒に酔って公衆に迷惑を掛ける行為の防止等に関する法律』が存在し、酩酊者の行為規制や保護について規定する一方、同法第二条において、「すべて国民は飲酒を強要する等の悪習を排除し、飲酒についての節度を保つように努めなければならない」としている。この節度については特に公共の場での飲酒に付き物の、散らかし放題になるゴミの問題がある。毎年上野公園のゴミの量は半端じゃなく、トンで数える酷さになる。日本人はマナーという言葉を知らない状態だ。怒鳴り声、咆哮、無闇に大きいカラオケの音、喧嘩は当たり前のように賑やかだ。桜を見に来る人も恐ろしくて騒ぐ連中の近くは通れない。酷いのは目に見えるものだけ、耳に飛び込んで来るものだけじゃない。上野の山を覆い尽くす酒の悪臭だ、飲んで吐き出す息は辺り一面に這うように広がり、一度胃袋に入れた酒が地面に撒かれて放つ悪臭は鼻が曲がりそうになるほどだ。
それでも上野の山でテント生活している人のかき入れ時になり、一夜の所場代と称して面積を切り売りする。明ければ前夜のバカ騒ぎの残飯は、彼らの朝飯に早変わりして一年に一度の贅沢な食事をすることになるが。
季節は春だけれど、一句
しら玉の歯にしみとほる秋の夜の 酒はしずかに飲むべかりけり(牧水)
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