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2006年3月26日 (日)

女子監禁事件

3月24日、メディアが一斉にアメリカで起こった女子監禁事件を報道した。
21日、ペンシルベニア州ピッツバーグ近郊マキースポートで10年間監禁状態にあった女性(24歳・ターニャカーシュ)を保護したと報じた。彼女は自宅から3キロほど離れた男(48歳・トーマスホーズは元中学校の警備員)の家に14歳から10年間に亙って監禁されていた。

最初テレビで報じられた彼女の姿は、衝撃的な話題とは似ても似つかない、日本で以前あった監禁事件と同じ女性への虐待とは思えない別次元の事件のように見えた。女性の派手な化粧、爪に施されたマニキュア、ヘアスタイル、衣服やスタイルを装おう見事に健康そうな体など、とても監禁されていた女性が救いを求めたとは想像できない姿だった。

続報でその辺りの状況が少し読めてきた。彼女が監禁されたとされる当時は、14歳の中学生で、監禁した当時38歳の中学の警備員とは恋愛関係にあり、96年2月から男の自宅に住み始めたのだ。彼女は少女らしい好きな男との愛の巣を夢見たであろう。ところが豈図らんやであった。それからほぼ4年間、男は彼女を寝室に閉じ込めたまま、飲み水には汲み置きを飲ませ、排泄はバケツでさせ、「逃げたら殺す」と脅迫していたと云う。

この間に親たち、地元警察の捜索がどのように行われたのかは全く不明だ。そしてその後は外出が許されているのだ。6年間は街の人は彼女が楽しそうに通りを歩く姿を目撃し、あちこちの商店では買い物に来た彼女との会話もしたことを街の人は語っている。まして自宅まではたった3キロしか離れていない。歩いてでも帰れる距離だ。テレビに写った彼女の姿からは、何度となく美容院にも出入りしていたと想像するしかない美しいヘアスタイルなのだ。とても監禁から救われた女性には見えない。父親と逢って彼女は「パーティーにも行けず、悲しかった。私の大事な時間が失われてしまった」と涙ながらに話している。

一方性的虐待容疑で逮捕された男の弁護士は「強制的に住まわせた事実はない」と話している。私見だが弁護士の云う言葉に真意を見る。男であれ、女であれ、14歳という異性を意識する思春期、性に関心を持つのは洋の東西に変わりはない。年長の男性に甘い言葉で誘われてついつい愛情と勘違いをし、ついて行ったとしても不思議はない。

日本の現実も、パソコンや携帯電話による出会い系サイトに係わる犯罪は枚挙に暇がない。そこに付け込む男どもがいる。少女漫画のあくどい性描写、女性週刊誌は男の読む低俗な雑誌以上に露骨だ。目覚めた性を誘う携帯電話に入って来る広告を目にし、興味本意でアクセスすることになる。出会い系サイトでの犯罪件数は携帯電話の普及、低年齢層に行き渡って急激に数を増やしている。
 年度 2000 2001 2002 2003(警察庁データより)
 件数  104  888 1731 1746
実際に出会い系サイトの利用を見れば
 15歳以上の男女5,000人(有効回答数3,247)対象
  実際に利用したことがある 2・5%
  見たことがある     10・3%
と比較的少ないが、これを年齢・性別に見てみると
 20〜29歳・実際に利用したことがある 男 11,8%
                    女 8,3%
       見たことがある      男 36,4%
                    女 25,0%
 15〜19歳・実際に利用したことがある 男 12,6%
       見たことがある      女 7,4%
と回答し、出会い系サイトを利用することについて
 兎に角利用するのは良くない、と答えたのは全体の59,7%
    利用することは構わない、と答えたのは  17.9%だった。年齢・性別では
 15〜19歳・利用することは構わない  男 31.6%
                    女 25.9%
 15〜17歳・利用することは構わない  男 34,5%
                    女 30,0%
となっており、10代20代で実際に利用することを容認する傾向が強くなっているようだ。利用者のモラルの向上は当然のことだが、育児中の子どもに対する親の監督責任はもっと重い。小遣いがどれほど潤沢に与えられているのか知らないが、中・高生で電話料金の支払が滞りなく可能だとは思えない。親は子どもの通信相手を知る権利があり、監督する義務がある。上の数字を見ても親が放任しておいては責任が問われる事態が起こる可能性を秘めているのだから。

さて本題に戻ってアメリカの女性だが、男の家に住み始めてから5年目には外出することが出来るようになる。19歳になった女性の目に街の若い男たちが飛び込んで来る。少女であった彼女も大人に近づいている。20歳を過ぎ、年の経過に連れて少女から大人の女へ変身した彼女の男の価値観、価値基準に変化が生じて来て当然だ。子供心に憧れていた男からどんどん魅力が薄れて行くのを覚ることになる。年々老いて行く男から逃れたい気持ちが生じて来る。そして10年目、買い物に寄ったコンビニエンスストアの店員に「“尋ね人”に自分の顔が載っているはず」と暗示めいた表現で監禁の事実を遠回しに訴えることしかできなかったのだ。報道を聞いた時点で余りの不自然さに‘こりゃ変だな’と思ったのは恐らくこんな経緯(いきさつ)のあったせいだろう。

彼女が云うように寝室に閉じ込められて4年間の男の「殺す」が真実であったとしても、スタートは自ら望んで始めた同棲のように思える。老いてきた男に嫌気がさして逃げ出したくなった結果と思えば納得が行く。裁判はこれから始まるのだろうが、結末は自己責任の問題として解決するより他にない気がする。


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