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2006年2月22日 (水)

賞味期限・消費期限

普通じゃない女がいた。スーパーで飲料のパックが足元の低い位置に積まれていた。店員らしき女性が三段積みになった上の段を片付けている様子なので、同じものが欲しいこちらは後ろで待っていた。当の女性は次いで二段目の商品を半分ほど隣に移した一段目の商品の上に積み重ねている。三段目がむき出しになった。その女性は底から一個を取り出して隣で待つ若い旦那らしき男性のカートに放り込んだ。そこに到達するまでには優に二十個以上は上の商品を取り除いていることになる。穴が空いた底に無造作に手にした一つを詰めて何ごともなかったように又、隣に除けた沢山のパックを戻した。勿論店員が客のために整然と並べていた姿は消えていた。その後に同じものを手に取る勇気をなくしたこちらは買う気にもなれずに退散した。常日頃、目につくのは大抵の主婦たちが並べられている商品を手前から取らない。必ずといっていいほど身を屈め、手を伸ばして奥に置かれた商品を手にする。そして確認するのは賞味期限や消費期限だ。散らかした棚をきちんと戻す人は皆無だ。

そのことに無頓着な私が失敗した買い物があった。日本海側の漁師町に近い田舎で育ったせいで魚が大好物だ。なかでも魚卵類を好むこともあって先日珍しく生の鱈の子を目にし、2船のうちの1パイを購入した。見た目にどうも不安があった。新鮮でないようである、しかし、期限は明日までとなっている、パックを通しては無臭でそのまま家まで持ち帰った。早めに調理しようとしてパックを開いた途端に部屋中が例えようのない腐敗臭に巻き込まれた。むせ返る中でパックし直して早速スパーに電話を入れた。“レシートを添えてお持ちになって下さい、お取り替え品はありませんのでお代金をお返しさせて戴きます”言葉が丁寧だけにかっとなって言葉を荒げていた。ガソリン代、或いは電車賃を使って腐ったものを返しに来い、ということか、と。消費期限のラベルの工作をしていないか、問い詰めた。勿論否定することは判っていた。営業ストップにもなり兼ねない事の重大さを判らせるために保健所に持ち込もうかとも思ったが、スーパーの取りに行くとの返事で納めた。これほど無頓着でも困るが余りに神経質なのも困る。

賞味期限や消費期限、一体どの程度把握していればいいものなのだろうか。東京都品川区のPCN株式会社のhealthクリニックの健康用語辞典によると、賞味期限・消費期限は飲食可能な期限をあらわしたもので、
 ♦賞味期限(品質保持期限) 缶詰めやレトルトのように品質劣化が緩やかな食品
 ♦消費期限         弁当などのように製造日を含めて5日以内で期限になる食品
のそれぞれに対して表示していることになっている。

毎日新聞(2/14)が参考になる試食テストをしたチームを紹介している。神戸市の甲南女子大学人間科学部・奥田和子教授(食物学)がまとめたものだ。
教授が学生130人の家族を対象にアンケートを取ったところ、ヨーグルトやチーズなどの加工食品の賞味期限が過ぎたものに関して約4割が「賞味期限が過ぎたら捨てる」と答えた。教授は昨年10月から11月にかけて期限を過ぎた食品を学生7人と自分とで実際に食べてみた。

食パン、ヨーグルトなど9食品を開封し、冷蔵庫で保管しながら1週間ごとに食べ、いつまで食べられるか記録して行った。
 見た目の色や形
 におい
 うまみ
 酸味
 ぱさぱさ度
などを基準に5点満点で採点する方法である。(9食品について8人のうち6人以上が‘まだ食べられる’と判断した日数)
 『期限切れ後、何日まで食べられるか』
  品目     日数     保管法 
 食パン    6週間    冷凍庫
 菓子パン   3週間     〃
 納豆     3週間    5度で冷蔵庫
 絹ごし豆腐  3週間      〃
 ヨーグルト  3週間      〃
 チーズ    1週間      〃
 クッキー   6週間    22度の室温
 甘納豆    3週間      〃
 コーヒー   1週間    5度で冷蔵庫
*チーズはピザ用のとろけるチーズ、コーヒーはパック容器入り飲料
となった。

乳製品メーカーはこの結果を見て当然ながら「責任持てない」とコメントしている。実験のように庫内温度の設定にしても、一般家庭では頻繁に開け閉めする条件では同様にはいかないことや、ヨーグルトでは口の中に入れて雑菌の付いたスプーンで1度でも掬えば、実験通りにはならないなど、「消費者の保管状況はさまざまなので、何か起きても責任は持てない」と慎重な言葉を使っている。しかし、一般的には未開封の状態なら大抵の食品は賞味期限の1・5倍程度は大丈夫であり、それが常に念頭にあって私は賞味期限には比較的無頓着に(先の例のように失敗も稀に起こるが)過ごしているのだ。

数年前になるが、やはり菓子好きとメーカーの共同実験によるケーキの期限を調べたデータがある。来客で多くを買い過ぎたり、菓子も好きな私はメモをとってずっと冷蔵庫に貼ってある。肉眼で確認できる最小限の黴の発生(1個にでも)を基準としていた。(無菌室ではない室温22度のテーブル上で20個づつの実験)
   品目            日数    
 カスタード・クリーム      2日
 いちごショートケーキ      3日
 レアチーズケーキ        4日と12時間
 チョコクリームケーキ      7日
 アップルパイ         10日と12時間
 ベイクドチーズケーキ     12日と20時間
であった。
 
消費生活アドバイザーの若村育子氏は「賞味期限を過ぎたものでも、においなどで確かめなながらできるだけ早く食べるのが良い」と、少なくとも期限日で捨てる風潮は改めたいと話している。これもマータイさんの云うMOTTAINAIに触発された動きなのだろうか。この運動はいろんなところ、方面に広がっているようだ。
 

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