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2006年2月14日 (火)

スクランブル

日本と云う国はおかしな国だ。朝からあちらの局、こちらの局で“今日はバレンタインデーです”が繰返されたり、新聞を開くとチョコレートの写真が掲載されていたり、女性国会議員までがチョコの袋を抱えて右往左往しているかと思うと、航空会社では乗客にチョコを振舞ったりする。キリスト教国でもない国の大騒ぎは可笑しくて仕方ない。おまけに一方で国はひな祭、端午の節供をジェンダーだ、ジェンダーフリーだと大騒ぎする。

世界一速い男、日本のお家芸、メダル、メダルと前宣伝で賑わった男女が次々と醜態をさらしている冬期オリンピック。この選手たちを見ましょうとこれも前宣伝に賭けた家電業界。シドニーオリンピックの年、爆発的な売れ行きを示したカラーテレビの伸びに期待して柳の下のどじょうを追った業界だろうが、今の所これほど惨めな選手たちを見るには綺麗な画面は必要ないだろう。技術革新ばかりが先行しても碌な施策も市場調査もしないで高価なデジタルテレビが売れる訳がない。

「2011年7月24日、この翌日から、いま国内にあるテレビの大半は、粗大ごみになる」、今年早々(1/5)毎日新聞がショッキングな書き出しで始め、現在も『テレビが消える日』が連載されている。日本からアナログ波によるテレビは姿を消す。2005年12月1日、東京・お台場のフジテレビに集まり、すでに実験的に先行して地上デジタル放送を開始している東京、大阪、名古屋の代表たちの2周年を祝う会で、地上デジタル放送推進協会の中村理事長が参加者約700人の前で挨拶した。「2011年のデジタル化は国策です」と。この協会は放送・通信・家電などの主たる受益業界で構成されている団体だ。

ところがこの数カ月前(05/3)に、デジタル放送の旗ふり役の総務省が、全国の15歳以上80歳未満の男女3965人を対象に「地上デジタルテレビジョン放送に関する浸透度調査」を行っていた。国民の周知度を調べたのだが、この調査データに、記事通りに書くと「関係者は蒼白に」なったらしい。
 地上デジタル放送の認知度は 73.0%
 アナログ放送の停波について 66.4%
その時期が2011年であることを知っている人はわずかに 9.2% しかいなかった。協会関係者は「全くの想定外、まさか一割に満たないとは、『9.2%ショックが走った』と振り返ったという。

毎日新聞も独自に世論調査を実施。当然起こって来るデジタル対応の受像機の買い換えや、アナログテレビには必要になるチューナーの購入などの対応を調査している。(全国の電話帳から無作為に選んだランダム・デジット・サンプリング法による、1,057人からの回答)
  デジタルテレビで見る          37%*
  チューナーをつけてアナログテレビで見る 17%*
  家ではテレビは見ないようにする      2%*
  しばらく様子を見る           43%*
     (*男女別から合計だけで表示した)
 テレビ本体の買い替えが厳しい生活保護世帯や低所得者層を対象に、アナログ放送終了後もテレビが見られるように、チューナーの購入補助や無償配布を求める声に関して国の支援策の是非んいついては
  賛成  68%* 
  反対  28%*
   (*男女計)

1996年のCS放送開始があり、地上デジタル放送については1997年旧郵政省がデジタル化のめどを2000年とし、1998年10月、スケジュールを発表、11月には東京タワーから実験電波を出す。2000年12月にBSデジタル放送が開始され、2001年6月に地上アナログ放送の停波が決まり、7月に2011年の最終停波の期日が決められた。

大型家電店には昨年暮頃まで並んでいたテレビ受像機はアナログが圧倒的に多かった。デジタル化の振興にも拘わらず、余りにも高額(20,30万から100万円以上)の受像機は購買層からそっぽを向かれ、比較的手ごろなアナログに触手は延びていた。銀塩写真がデジタルフォトにとって代わられたのとは逆に、アナログのデジタル化になるが、1万円代でも購入可能なアナログテレビとうん十万円のデジタルテレビ、大きいことは良いことだ、と買ったは良いが耐震偽造にあった人たちのようなことにならないとも限らない。たかだか10年程度で買い換えが必要な電化製品だ、高額投資を急ぐことはない。

また、複合商品としての機能も盛り沢山になり、双方向でのやりとりも可能になるが、高齢化社会に突き進む昨今、アナログテレビが消えるとなれば、眺めて楽しむことができるだけで良いテレビに盛り沢山の機能は、使い切れない携帯電話を持たされて、突然鳴り出す呼び出し音にあたふたするお年寄りには到底禦し切れない機能になるだろう。現在何不自由なく取り扱うことのできる子どもが、その世代の老人になる将来には恐らく心配はいらないのだろうが。

我が家は度々ブログにでも述べて来たことだが、当地は極めて受信状態のよくない地域、従ってケーブルテレビでないとまともな画像が見られない。幸いにも現在魁けて地上デジタル放送を享受している。アナログテレビで高画質ではないが受信料に含まれてチューナーもカードも無料で取り付けられている。1ミリ以下の誤差で生命が左右される手術、顕微鏡でなければ区別出来ない世界を眺めるのではない、近視の、遠視の、と見る人の差だってあることだ。大きは必要だが画質など問題じゃない人だって大勢いる。まだ5年ほどあるが、我が家のテレビが壊れたら、やはりもう一度アナログにするだろう。

それに放送事業者の意図に反する視聴を防ぐため、画像を乱して表示させなくする処理(スクランブル**)やコピーガードが掛けられ、ダビングに制限が加わり、従来のような気軽な作業も不可能になる。
 **【スクランブル】
従来この語は ①スクランブル飛行、②スクランブル・エッグ、③スクランブル交差点などと云った ①の接近する②炒り卵③の歩行者がどの角度にも横断できる などでしか知らなかったが、放送用語になると英単語本来の「引っ掻き回す」がよく理解できる。盗聴を防止するために信号を組み換えてしまうのだ。結果、画像を乱して表示させなくするのだが、アナログでは画像が乱れるだけになるが、デジタルになると全く何も映らない状態になる。これを解除するのに専用の器機が必要になるのだ。

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