紀子さん懐妊
このテーマは2月11日(建国記念の日・敗戦までは‘紀元節’と呼ばれ、今から凡そ2600年以上も前、初代神武天皇が橿原宮で即位したとされる日。この日は全国の小学校では紅白の饅頭が配られてお祝いした)に予定していた。
女性天皇の議論の雲行きが危うくなって来ている。紀子さんの懐妊が明らかになったからだ。本日の夕刊にも頑固な小泉でも「国会の議論を見てから」と一歩後退した感がある。だが、私見だが、女性天皇出現には全く異論はない。長い天皇家の歴史の中で、過去には複数の女性天皇の存在があるし、それを配慮しなくても現行憲法で云う男女同権を考えれば、国民の象徴としては尚更に女性が天皇になってはならない理由はない。
現在の日本歴史は「古事記」や「日本書紀」に書かれてあっても、第29代欽明天皇(?〜571年)からは認めるがそれ以前の神武から28代までは不確実なものとして取り扱いが杜撰だ。それでは飛鳥時代から順に女性天皇を列記してみよう。第33代推古(すいこ)、35代皇極(こうぎょく)、37代斎明(さいめい)【35,37は同一人物の重祚(ちょうそ)】、41代持統(じとう)天皇の3名、続いて奈良時代には8名の歴代のうちほぼ半数。先ず第43代元明(げんめい)、44代元正(げんしょう)、46代孝謙(こうけん)、48代稱徳(しょうとく)【46,48は同一人物の重祚】それから時代は下って江戸時代になる。第106代明正(めいしょう)、117代後桜町(ごさくらまち)の実在があり、8名で10歴代天皇がいる。
当時占領軍最高司令官のマッカーサーは日本のことをよく知ったアメリカ人、という見方がされていて、彼が云う‘日本人は天皇を中心に国家として歩んで来た、その拠り所の天皇を、ソ連が云う戦争犯罪人として裁判に掛けることはこれからの再建が困難になるだろう’が国体護持に血眼になっていた敗戦処理内閣、日本政府の思惑と一致した。彼らには敗戦後も天皇は神であったのだ。彼らが守ろうとした国体は日本国を指すのではなく、天皇その人を指していた。例えば敗戦後間もなく(1945・9・27)天皇がGHQへマッカーサーを表敬訪問した際、モーニングで正装して気を付けの姿勢で固くなっている天皇の横に、寛いで両手を腰にした司令官が並ぶ写真は不敬罪に当るとして政府はマスコミに掲載の禁止を指令したが、マッカーサーに掲載禁止を取り消されている。
1947年5月3日に施行された現皇室典範は憲法下では法律として制定され、皇室の制度そのものに国民が国会を通じて関与することができるとなった。施行されるまでの経緯は、当時まだ帝国議会と呼ばれ、衆議院、貴族院の2院制の時代だ。憲法と同じく皇室典範の草案はアメリカ側で作成され、それには“国会の決議した皇室典範”となっていた。明治憲法下では同格として扱われていた旧皇室典範は国家基本法とされていたため、日本側は国会の支配下に置かれるのかと詰め寄ったが、GHQは“皇室典範も国会が制定するのでなければ『天皇の地位は主権の存する国民の総意に基づく』とした国民主権の精神にそぐわない”として認めなかったからだ。
女性天皇の問題だけではなく、万世一系(ばんせいいっけい)については私なりに疑問を持つ。『日本書記』に記された過去における天皇家の重ねて来た殺戮の残虐行為や近親相姦などの不道徳な行為は、中国やイギリスを始めヨーロッパにはもっと残酷なも王家もあるが、悪逆無道と云われた第25代武烈(ぶれつ)天皇には子がなく、殺し合いが続いたために他に後を継ぐ皇子がいなかった。そのために12代前の第14代仲哀(ちゅうあい)天皇の5世孫が丹波の国にいるのを探し出して口説いたが、断わられ、それではと今度は11代前の第15代応神(おうじん)の5世孫、男大迹王(をほどのおおきみ)の説得に成功し、第26代継体(けいたい)天皇として即位させた。11代前の天皇の5代目の孫なんて他人に等しい、これは王朝が代わったと見るのが真っ当だろう。
今回の紀子さんの妊娠は余りにもタイミングが良過ぎる。天皇の二人の男の子に計3人の子がいるが、何れも女性だ、雅子さんには第2子が期待薄となり、紀子さんにはまだ高齢(現在39歳)ではあるが第3子は可能性がある、と考えた当時の湯浅利夫宮内庁長官が、早手回しに03年12月には定例会見で「(秋篠宮ご夫妻に)3人目のご出産を強く希望したい」と云い、男女何れになるかも解らない問題に賭けた言葉を発している。兄皇太子の雅子さんへの思いやりの発言にも兎角もの云う弟君が、それではと、12年振りにお励げみになった結果としか思えない。
明治天皇から皇后は1人となったが、それまでは複数の女性を側に置き、天皇は沢山の子をなした。男系が途切れる心配は全く生じなかった。1人の女性が生涯に子を産む数は知れているし、男を産むとは限らない。(まして昨今国民の間では男女産み別けなる珍現象が流行し、女性優位になっている)女性天皇はよい、女系天皇は?断絶を防ぐには上に書いた11代も先の天皇の、それに5世の孫までを含めて考えると、男系天皇の男の子、男の孫は簡単に見つかるだろう。その時皇室に招けばいい。そうすれば男系が途切れることはない。
これから先の歴史には必ずついて廻る問題だ、早めに法制化して女性天皇を認めれば良い。
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